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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第17章 塔と代弁者と愚か者たち

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(4) 新たな妖精たち

 ゴーレム一号の様子を見ていた考助に、シルフが唐突に言って来た。
「ねえ、兄様。他の子達は呼ばないの?」
「・・・はい?」
 唐突な言葉に、考助は面食らった。
 シルフが突然現れるのはいつもの事だが、あまりにも脈絡のない言葉に意表を突かれたのだ。
「他の子達って、何のこと?」
「他の子達は、他の子達のことよ!」
 シルフが力説するが、それだと分からないので聞いたのだ。
 残念ながらシルフに関しては、言い回しが独特だったりするので、このように話が通じないことがたまにある。
 何とかシルフの意図をくみ取って理解しようとしたが、早々に諦めた。

「・・・エセナ、助けて」
「はい、兄様」
 考助が呼びかけるとすぐにエセナが姿を現した。
「またシルフが何かをしましたか?」
「ひどい。私、何もしてないのに」
 シルフがぷくりと頬を膨らませた。
「はは。いや何もしてないよ。そうじゃなくて、いつものように通訳お願い」
「ああ、そういう事ですか。・・・今回は、何と言ってきましたか?」
「私、変なこと言ってない! ただ、他の子達を呼ばないのかって聞いただけ!」
 その「他の子達」が、何のことを指しているのかさっぱり見当がつかないので、エセナを呼んだのだ。
「と、いうわけなんだけど・・・わかる?」
「ええ。他の妖精石の事を言っているんです」
「他の妖精石って・・・え? 呼ぶって何?」
「召喚の事だと思いますが? シルフの時と同じように」
「え? 呼べるの?」
 最近は妖精石のある場所には、ほとんど足を運んでいなかった。
 一言で言えば、忘れていたと言ってもいい。
 それだけゴーレムに熱中してたとも言えるが、あまりに変化がない妖精石に飽きていたとも言える。

「ぶー。兄様、忘れてた?」
「え? いや、うんまあ、そんなことは無いよ? 他で忙しかっただけ」
「むー」
 シルフの視線を避けるように、考助は横を向いた。
「シルフ、それでは他の子達の準備は出来ているのですか?」
「うん。もうあとは兄様の許可をもらうだけだよ」
 妖精二人の会話に、考助が置いてけぼりになった。
「ええと? どういうこと?」
「妖精石の準備が整ったようなので、最後の一押しをお願いします」
 首を傾げた考助に、エセナが説明を補足した。
「つまり、妖精石に触れればいいわけ?」
「そう!」
 ようやく考助に話が通じたと理解したシルフが、嬉しそうに返事をした。
 エセナと言う通訳を挟まなければ、絶対に通じなかったんだろうなあ、と思いつつ考助は妖精石を設置している各階層へと向かうのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 妖精石のある階層へ向かう前に、ちょっとした出来事があった。
 二号のゴーレムを作っていたコウヒとミツキが、ちょうど手を離せない作業をしていたのだ。
 それならコウヒもミツキも連れずに行く、と言った考助に、二人が「絶対にダメ(です)!」と主張したのだ。
 過保護だなあ、と思った考助だったが、二人に睨まれて逆らえるはずもなく、コウヒの手が離せるようになるまで待つことになった。
 待つと言っても一時間ほどだったので、魔道具作りをしたりしていたらすぐにコウヒが呼びに来たのだが。
 そんなわけで、コウヒを伴って妖精石が設置してある各階層へ向かう。

 まずは<火の妖精石>が設置している第四十六層。
 以前の時と同じように、<妖精石>に手を触れて神力を送り込む。
 するとシルフの時と同じように、小さな火の妖精が出現した。
 一緒に来ていたエセナとシルフに促されるままその火の妖精に神力を渡す。
「兄様、よろしく頼む!」
 なんとも男勝りな妖精が誕生し、サラと名付けた。勿論サラマンダーから取っている。

 次は<水の妖精石>がある第四十八層。
 第四十六層と流れは一緒だった。
 まずは<妖精石>に手を触れて神力を流し込み、最後の一押し。
 そのあと生まれた水の妖精に、考助の神力を直に渡して成長。
「よろしくお願いします、お兄様」
 挨拶をされた後で、ディーネと名付けて喜ばれた。

 続いて<地の妖精石>がある第八十一層。
 ここでは、まず<地の妖精石>の所に向かう前にひと悶着があった。
 ナナの突進攻撃を考助が食らったのだ。
 転移門から一分もたっていないのに、速攻でやってきたナナに、考助は心の中で称賛した。
 そのナナを加えて<地の妖精石>の元へ行き、先ほどまでと同じ手順で地の妖精を誕生させた。
「兄様、よろしくお願いしますね」
 四人(?)の中で、姿が一番年長のように見える地の妖精に挨拶される。
 名前はノーミードを少し変えて、ノールと呼ぶことに。

 最後に<風の妖精石>がある第八十層。
 シルフと同じように風の系統の妖精が出来るのかと思っていたのだが、以前の火の妖精と同じように飛龍の元へと向かっていた。
 その対象になったのがコーだったのだが、偶然だったのか必然だったのかは、エセナや四属性の妖精たちに聞いても分からないという事だった。
 風の妖精と合わさったコーは、鳳凰ペアが生まれた時と同じように、進化していた。

 固有名:コー
 種族名:聖飛龍
 固有スキル:噛みつきLV8 飛行LV8 索敵LV7 風魔法LV6 言語理解(眷属)LV6 神力操作LV6
 天恵スキル:意思疎通LV5 風の恩恵LV1 風属性LV3
 称号:考助の眷属 風の聖獣

 他の飛龍たちに比べて一回り身体が大きくなっていた。
 それでなくても飛龍たちは身体が大きいのだが、さらに威圧感が感じられるようになっていた。
 ただし考助の前では、その威圧感が吹き飛んでしまうようだったが。
 ちなみに身体が大きくなっても鳴き声は以前と同じ「キュオ」のままだったので、思わず和んでしまった。
 考助を背にのせて飛びたがったので、小一時間ほど空の散歩を楽しんだ後、管理層へと戻った。

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 具現化した四属性の妖精をいきなり連れて帰った考助を見たコレットが、眩暈を起こして倒れかかった。
 隣にいたシルヴィアが、慌てて支える。
「ちょっとコレット、大丈夫ですの?」
 コレットの目の前で、シルヴィアが手を左右に振っている。
 それをはた目に見ながら、シュレインがこめかみを押さえながら言って来た。
「・・・現人神になった時も驚いたが、今回はそれ以上だの」
「え? えっ!?」
 二人の態度に考助が慌てた。
 考助にしてみれば、シルフと同じように他の妖精を加えただけで、これほどの反応をされるとは思っていなかったのだ。
 ただ、今回に限っては、そう思ったのは考助だけではなかったらしい。
「それほどの事ですか~?」
 ピーチが首を傾げつつシュレインに聞いてきたのだ。
 見ればシルヴィアも同じような表情になっている。
 巫女のシルヴィアにしてみれば、現人神になった時以上の驚きと言われてもピンと来なかったのだ。
「吾等のような精霊を扱う者にとっては、妖精自体が伝説の域の話だからの。ましてや四属性すべてを従えるなど、精霊神に匹敵する快挙なのだぞ?」
「なるほど~」
 シュレインがこうして落ち着いていられるのは、それ以上に取り乱しているコレットがいるからだ。
 精霊に一番近しい存在と言われるエルフであるコレットが、ここまで取り乱すのもよくわかる。
 いまだに首を傾げているシルヴィアに、シュレインがなおも補足した。
「下級神をいきなり目の前に四柱連れて帰って来たら、そなたでもこうなるだろ?」
「・・・なるほど、納得しましたわ」

 いくら元々シルフがいたとしても、四属性全ての妖精を目の前にするとインパクトが違うのだ。
 例え<妖精石>があって、こうなることが予想出来ていたとしても、実際に目の前にするとその衝撃は大きかったらしい。
 何も言わずに、いきなり連れ帰ったのも悪かったのだろう。
「あー、えっと、ゴメン。それで、コレット大丈夫?」
「だだだ、大丈夫よ! ちょっと驚いただけで!!」
 そう言いつつ何とか起き上がったコレットだったが、もう一度四属性の妖精たちを見てふらりと倒れ掛かり何とか踏ん張った。
 流石に二度も同じようなことにはならないように、理性が働いたらしい。
 シュレインが、同情するようにそのコレットの肩をポンとたたいた。
「いっそのこと、今以上の事を覚悟しておいた方がいいかもしれんの」
「今以上と言うと、あれ?」
「あれ、だの」
 二人の間で交わされた不穏な会話に、考助は突っ込むかどうかをしばらく悩んで、結局やめておいた。
 何となく二人の視線が、これ以上聞くなと言っていた気がしたのであった。
放置してあった<妖精石>回収話でしたw
<妖精石>が回収できるようになるタイミングは、実は精霊神であるスピカくらいにしかわかりません。四属性の霊神たちでも微妙です。それくらい環境に左右されて複雑なのです。
一度回収できるようになれば、戻ることはありません。
回収できるようになれば、妖精であるシルフやエセナでも感じ取ることが出来ます。

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設定資料集(?)の方にちまちま作っていた登場人物紹介ですが、やっと本編に追いつきました。
つきましては、こちらの方にもアップした方がいいかご意見が欲しいです。
全部の章の分がまとまっているので、上げるとすれば、一番最初に上げることになると思います。
+注意+
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