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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第16章 塔とゴーレム

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閑話 ランクアップ試験

 セシルとアリサは、第五層のクラウン本部を訪れていた。
 ごく普通に受けた依頼を完了させるために窓口へ報告しに来たのだ。
 最近の二人は、覚えた精霊術を実践で生かせるように、クラウンの冒険者部門に登録をして依頼を引き受けていた。
 ただし、ずっと依頼をこなしているわけではなく、神社の管理と半々くらいの割合で活動している。
 神社の管理に関しては、サキ・ミキ・エリの三人組が頑張っているため、セシルとアリサはほとんど手を出さなくてもよくなっていた。
 代わりにこうしてクラウン経由で依頼を受けるようになっていた。
 受けている依頼は、実は管理層で使うものをセシルとアリサが指名依頼されているという形になっている。
 以前はそうでもなかったのだが、最近では定期的に必要な物の依頼が来るので、冒険者活動と神社の管理が半々になっているのだ。
 ちなみに、考助達が依頼を出すものは急がない物だ。
 緊急で必要な物は、コウヒとミツキがさっさと回収してしまう。
 道具の開発や研究材料で定期的に必要な物を採取するような依頼を出している。
 ちなみに、考助達が直接依頼を出しているわけではない。
 考助達はシュミットに依頼をしているのだが、そのシュミットが冒険者部門、というかガゼランに依頼しているのだ。
 そのガゼランがセシルとアリサに対して指名依頼を出していた。
 勿論セシルとアリサは、常に依頼を受けているわけではないので、管理層からくる依頼の全てをセシルとアリサがこなしているわけではない。
 タイミングのあった時だけ、指名依頼という形で依頼を受けているのだった。

 今回の回収した素材と依頼表をカウンターへと置いた。
 それを受け取った受付嬢が、確認作業を始める。
 ほどなく結果が出たのか、すぐに受付嬢が戻ってきた。
「依頼達成確認いたしました。・・・すごいですね」
 今回受付にいた女性は、セシルがアリサがこの本部で仕事をしていた頃にもいた者だった。
 部署が違っていたので、長く話したことは無かったが、顔を合わせたことがある程度の認識があった。
 最初に気付いたのは、受付嬢の方だった。
 セシルとアリサは全く気付いていなかったのだが、何度か依頼を受けているうちに話しかけられて思い出したのだ。
 そもそもセシルとアリサは、本部業務に長く就いていたわけではない。
 業務を開始してさほどもたたずに神殿の管理業務に移っていた。
 短期間しかいなかった二人の事を覚えていた受付嬢に驚いて、思わずセシルがそのことを聞いたのだが、「顔を覚えるのが仕事ですから」とあっさりと言われてしまった。
 それ以来、二人が依頼を受けた時は、なるべくこの受付嬢のところへ行くようにしていた。
 別に受付業務にノルマとかがあるわけでは無いのだが、気分の問題だ。
「今回は、転移門の傍ですぐにターゲットに会えたから。運がよかったの」
「そうでしたか。・・・ところで、今回の依頼達成でランクアップ試験が受けられるようになりましたが、どうされますか?」
 受付嬢のその言葉に、周囲がざわめいた。
 セシルとアリサの二人は、そこそこ注目されるようになっていた。
 ある日突然やってきて、依頼をこなし始めたと思ったとたん、ほとんどの依頼を次々に成功させて、ランクを上げていったためだ。
 今回は、Cランクへのランクアップとなる。
 このクラウン本部において、Cランクとなれば、トップクラスとはいかないまでも、上位陣の仲間入りとなる。
 ほとんどの冒険者がDランクで燻る中で、Cランクへのランクアップは、一つの壁と言える。
「ランクアップ・・・どうする?」
 セシルがアリサの方を見て聞いた。
「うーん。時間がかからないのであれば受けてもいいと思うよ?」
 実はセシルもアリサもランクにはさほどこだわりがない。
 そもそも依頼を受け始めたのも実践を積むためで、コレットに勧められたから受け始めたのだ。
「そうね。・・・試験はどれくらいの時間がかかるんですか?」
「そうですね。Cランクへのランクアップ試験は、能力試験と面接試験になります。他にもうける方がいますから、それぞれ一日程度かかります」
「丸二日拘束されるの?」
「あ、いえ。試験を一日ずつ行うのであって大体の時間をお知らせしますので、その時間に来てくれればいいです」
 受付嬢の説明に、セシルとアリサが顔を見合わせて頷いた。
「「試験、受けます」」
 これが、普段の依頼と同じで数日とか拘束されるような試験であれば断ったかもしれないが、最大二日しかも途中数時間拘束されるくらいなら受けてもいいと考えたのだ。
 勿論それ以外の時間は、神社の管理に当てるつもりだった。
「わかりました。では、試験についての話をさせてもらいます」
 受付嬢が、そう言ってランクアップ試験についての説明を始めた。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 ランクアップ試験当日。
 セシルとアリサは呼ばれた時間に、本部を訪れていた。
 普段依頼を受けたりするカウンターがある場所とはまた違った場所で、試験を行うことになっていた。
 その場所は修練場の一つだった。
 普段冒険者達に開放されている修練場とは違い、こうしたランクアップ試験行うための修練場だ。
 二人が着いたときには、すでに他の者が能力試験を受けていた。
 この日は一日、Cランクへのランクアップの試験が行われているので、受験者が入れ替わり立ち代わり来るようになっていた。
 当然ながら、試験官も交代制になっている。
 セシルとアリサの二人が試験会場に入った瞬間、会場で自分の番を待っていた者達がざわめいた。
 ほとんどの者がCランクの再試験で来ているため、あっと言う間にここまで来た二人に複雑な感情があるのだ。
 ちなみに、Cランクの能力試験は受験者同士で戦闘を行う。
 勝ち負けは関係なく、あくまで技能を見るのが目的となっているのだ。
 ちなみに、シルヴィアのようなヒーラー系に関しては、ヒーラーとしての能力を見ることになっている。

 他の者達の試験が進んでいく中、ついにセシルとアリサの出番が来た。
 試験は一人ずつ行うので、先にセシルの番が来た。
 その相手はと言うと、
「よう」
 何故かセシルの前で、ガゼランが手を上げていた。
 それを見たセシルが額を手で押さえた。
「なぜ、部門長がいらっしゃるのですか?」
「お前らの試験相手としてだな。下手な奴に任せると、死者が出かねないだろう?」
 ガゼランの言葉に、再度周囲がざわめいた。
 中には大げさすぎるだの、舐めるな、と言った声があったが、ガゼランはそれらをあっさりとスルーした。
「まあ、論より証拠だろ? さっさと始めようぜ」
 ガゼランの言葉に、試験官が合図を出した。

 ガゼランとの戦闘が終わった後、セシルの戦闘を見た受験者たちから文句の声が上がることは無くなった。
 すぐ後に行われたアリサの試験も同様の結果だった。
 二人に十分な実力があると示されたのだ。
 はっきり言えば、今いる受験生の中で、二人に勝てる者はいないだろう。
 それくらい圧倒的な実力を示した。
「まあ、これで文句を言ってくるやつもいないだろ」
 周囲の様子を見てそう言ったのは、ガゼランだった。
 わざわざガゼランが出て来たのは、この戦闘を見せつけるという意味もあったのだ。
 結果としてその目論見は上手くいったと言える。
 少なくとも今日のこの戦闘を間近で見た者で、今後二人の戦闘能力に文句を付ける者はいないだろう。
 それくらいの戦闘が試験中に行われたのであった。

 翌日面接を行った二人は、その日のうちには結果を聞くことなく神社へと戻って行った。
 結局、ランクアップ試験に合格したと聞くことになるのは、しばらく間を置いてからになるのであった。
というわけで、セシルとアリサの二人の様子でした。
精霊術を覚えた二人が、普段どんなことをしているのか書きたかったので書いてみました。
ちなみにコレットが塔に来る以前は、Cランクでした。
シルヴィアとの二人パーティだったので、戦闘できるのが一人しかいなかったためなかなか条件を満たせなかったので、ゆっくりランクアップしていった感じです。
ほかのパーティの中に入ったりしていなかったのは、テンプレ通り顔だったりその能力だったり狙いの者達ばかりで、いいパーティが見つからなかったためです。
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