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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第15章 塔と女神様

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5話 相談

 塔が六つに増えたので、区別をするために方角で呼んでいるが、それ以外にも階層の広さで分けて呼ぶことにした。
 アマミヤの塔はそのまま。
 南の塔と北の塔は、中型の塔。
 他の四つの塔は、小型の塔。
 ・・・大きさそのままの区別になっているが、わざわざ特別な呼び方にすると逆に分かりずらくなりそうだったので、ひねらない呼び方にした。
 小型の塔のうち三つの塔で検証を行うことにしたのだが、問題は残りの一つの塔だ。
 現状任せられる人材がいないのと、放置するとどうなるかを見るために何も手を付けていない状態だ。
 ただ、いつまでもこの状態のままにする気は当然ないわけで、いずれは何かを設置し始めないといけないだろうと考えている。
 そのためには管理するメンバーを増やさないといけないのだが、そうそう簡単に増やせるものでもない。
「・・・・・・さて、どうしたものか・・・」
「あら。相変わらず悩んでるわね? 今度は何?」
 呟いた考助に、ミツキが聞いてきた。
 先程まで夕食の支度をしていたのか、エプロンをしていた。
 ごく普通のエプロンなのだが、ミツキのような美人がつけると、どうしてこうも破壊力があるのだろうと、考助は割とどうでもいいことを考えた。
 その思考を頭を左右に振って振り払う。
「メンバー増やすかどうかを悩んでいてね」
 それを聞いたミツキは、腕を組んだ。
「また、難しいことを考えるわね。以前、それこそ現人神になる前だったら可能性もあったけど、今の立場で探すのは厳しくない?」
「やっぱり、そうだよね・・・」
 考助はがくりと項垂れた。
 大っぴらに募集すると、とんでもないことになるのは分かりきっている。
 かといって、名前を隠してお忍びで探すとなると、それはそれで問題がある気がする。
 もちろん、碌な人材が来ないのではないかという意味においてである。
「うーん・・・召喚でもしてみるか」
 以前コウヒやミツキが、シュレインやリストンを召喚した時のように召喚で仲間を増やすという手が無いわけではない。
「いっそのこと、眷属になってくれそうな存在を召喚してみたら?」
 ミツキのその言葉に、考助は渋い表情になった。
「碌でもない未来が見えるからやりたくない・・・」
 眷属を召喚で呼ぶという事は、術者の力に依存するという事になる。
 あくまで術者の意思と力に依存する眷属の召喚は、外れを引くと碌な目に遭わない。
 ちなみに成功例は、コウヒとミツキによるワーヒド達の召喚だ。
 当時は分からなかったが、今にして思えばああも安定して当りを引いたのは、流石としか思えない。
 現人神になった上に、周囲からは色々言われていてある程度吹っ切れている考助だが、基本的に自分の力をいまだに信じ切れていないのは変わっていなかった。
 それが考助のいいところでもあり、悪いところでもある。
 この世界に来てからずっと一緒に行動してきたミツキやコウヒには、それがよくわかっていた。
 そして、解決方法も。
「いっそのこと、相談してみれば?」
「相談? 誰に?」
「現人神と言えど、神の一員よ。だったら聞けるのは、絞られてくるわよね?」
 考助は、ミツキがあえてぼかして言っているのは、すぐに察することが出来た。
「それは・・・いいのかな?」
「逆に他に相談できる相手もいないと思うわよ?」
 言われてみれば確かにその通りだった。
「うーん、わかった。明日にでも行ってみるよ」
 そう気軽に言った考助に、ミツキはため息を吐いた。
「そうそう気軽に行ける所じゃないと思うんだけど・・・」
「あははははh・・・」
 ジト目で見てくるミツキに、取りあえず乾いた笑いを返す考助であった。

 ちなみに、早速翌朝から出かけてしまった考助だったが、行先をミツキから聞いたメンバーが頭を抱えたのはまた別の話である。

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「いらっしゃい」
 自分の執務室にいきなり現れた考助に、アスラは笑顔を浮かべて出迎えてくれた。
 いくら送還陣とはいえ、神の庭である[常春の庭]に来るには、それなりの時間がかかる。
 そのために来る時間は予想できるのだ。
「やあ。久しぶり」
「ほんとにそうね。来ようと思えば、いつでも来れるのに」
 若干不機嫌になるアスラに、考助は苦笑を返した。
「いや、いくらなんでもそう簡単に来たら駄目じゃないの?」
 送還陣自体はいつでも発動できるとはいえ、ゲームで言う所のクールタイムのような物は存在していたりする。
 勿論、[常春の庭]のような特殊な場所に来る場合には、その時間は長くなる。
 術者のレベルで時間は短縮できるが、現人神である考助にとってもそうそう簡単に行き来できる場所ではない。
「まあ、そうなんだけれど、ね」
「・・・アスラ?」
 不思議そうな顔をした考助に、アスラは笑顔を浮かべた。
「それで? 相談したいことがあったんでしょ?」
「ああ、うんまあ。できれば信用できる仲間とかが出来たらなあと思ったんだけど。そんな簡単に増やしていいものかと相談に来た」
「結論から言えば、そんなに気にすることは無いのよ? 考助の好きなように増やしていけばいいわ」
 あっさりとした返答に、考助も面食らった。
「そんな簡単でいいの?」
「いいのよ。そもそもここから送り出す時に、好きに生きなさいと言ってたわよね? 別に神になったからと言って変わりはないのよ?」
 少し詰まった後考助は、答えた。
「そうだったのか」
 考助にしてみれば、いわば挨拶のようなものだと捉えていたので、神になってまで有効だとは思っていなかった。
「でも、神になってまで自由にしていいって、かなり危なくないか?」
 考助の感想に、アスラはクスリと笑った。
「そんなことを言う性格だから、私も安心して言っているのよ」
「あ~・・・なんか掌で踊らされている感があるな・・・」
「あら、嫌?」
 アスラの問いかけに、考助は少し考えた上で首を振った。
「いや。不思議と嫌だと思ったことは無いな」
「・・・・・・そう」
 そう言った時のアスラの表情を見た考助は、そんな表情をされたらますます嫌だとは思わないよな、と思ったのだが。
「なっ!?」
 慌てたように赤くなったアスラから、考助は思わず視線を外した。
 アスラが簡単に考助の思考を読めることを忘れていたのだ。

 何となく微妙な雰囲気になった二人だったが、そこに助け舟がきた。
「アスラ様、いいでしょうか?」
 扉の外から聞こえて来た声は、エリスだった。
「・・・ええ。いいわ。入って」
 微妙に遅れて返事をしたアスラに対して、多少首を傾げつつエリスが入室してきた。
 何となく固くなっている考助に対して、エリスは首を傾げた。
「もしかして、御邪魔でしたでしょうか?」
 どういう意味で、と問い詰めたくなった考助だったが、そこを突っ込むと藪蛇になりそうだったので、無難な返事を返すことにした。
「あ~。いや、うん。そんなことはないよ?」
 上手く返せたかは、微妙だったのだが。
「・・・それで、エリス。準備は整ったの?」
「ええ。勿論です」
「・・・・・・準備?」
 主従二人のやり取りに、考助は首を傾げた。
 考助が[常春の庭]に来ることは、当然前もってわかっている。
 準備をしようと思えば、いくらでもできるのは分かるのだが、問題は何の準備をしていたのか、ということだ。
 アスラとエリス、二人の浮かべる笑顔に、疑問の表情を浮かべていた考助は、嫌な予感を覚えて顔を引きつらせるのであった。
久しぶりのアスラ&エリスでした。
で、二人が何を準備していたのかは・・・次回です。
半端な所で区切って申し訳ありません。
・・・え? いつもの事? キノセイデスヨ
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