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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第14章 塔で妖精を呼び出そう

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9話 新たな住人

 <水の妖精石>を設置する神力が貯まったので、設置しようと思った考助だったが、その前にワンリに教えることにした。
 設置するのが狐達がいる階層なので、設置前に教えておこうと思ったのだが。
 ワンリは大体が第八層の百合之神社かその周辺にいるので、ユリ辺りに聞けば、大体のいる場所がわかる。
 というわけで、ミツキを伴って第八層へ来た考助達だったが、
「え・・・!? だ、だれ!?」
 と、いきなり女の子に驚かれてしまった。
 考助にしてみても、見知らぬ女の子が百合之神社にいて驚いたのだが、ワーヒドに頼んで管理する人手を増やしたことを思い出した。
 今回は、三人増やしましたという報告だけ受け取って、ほとんど関与していなかったのだ。
 いきなり知らない人が来たら驚くだろうなと、他人事のように考える考助だった。
「ああ、いや、うん。口で説明するより、来てもらった方が早いか。・・・ユリ、来てくれる?」
 百合之神社もかなり安定した存在になっているので、その妖精であるユリも百合之神社内であれば、自在に出現できるようになっている。
「おや、コウスケ様、どうしました? ・・・って、ああ。そういう事ですか」
 ユリは一目見て状況を理解したらしい。
「サキ。この方が、コウスケ様です。初顔合わせでしょうから、きちんと覚えておくように」
 百合之神社に増員された三名の名前は、サキ、ミキ、エリで、その内の一人であるとユリから紹介された。
 紹介されたサキは、慌てて頭を下げて来た。
「も、申し訳ありません」
「ああ、別にいいよ。顔見せたことなかったんだから、知らなくて当然だし」
 考助がそう言うと、それに割り込んで切る声があった。
「でしたら、今のうちに他の二人も顔を合わせた方がいいですね」
 割り込んできたのは、セシルだった。
 セシルとアリサは、精霊術を磨くために第八層でモンスター討伐をしていたりするという話を聞いていたが、今回は神社にいたらしい。
「お久しぶりです」
「ああ、久しぶり」
 そう言って頭を上げたセシルに、考助も軽く挨拶を返した。
「折角ですので、ミキとエリにも会っていただけますか?」
「ああ、それはいいんだけど・・・ワンリはどこにいる?」
「ワンリでしたら、この時間は狩りに出ているはずですが・・・」
 セシルがちらりとユリの方を見ると、ユリもこくんと頷いた。
「ええ。この神社の周辺で狩りをしていますが・・・呼びますか?」
「へ? そんなことできるの?」
「はい。神社の力も安定してきていますので、支配領域のようなものが出来ています。その範囲内でしたら、呼ぶことは可能です」
 ちなみにこの支配領域は、神社の力が増すと広げることが出来る。
 やろうと思えば、モンスターの侵入も防ぐことが出来るが、現状必要ないので百合之神社から少し離れたところまでしか進入禁止にしていない。
「へー。便利なことが出来るようになったね」
「百合之神社の周辺限定ですので、あまり役には立たないですが」
 便利な力なのだが、現状周辺で狩りをおこなうワンリを呼ぶときくらいしか使えなかったりする。
「まあ、それでもワンリ呼べるんだから便利だよね」
「ありがとうございます。それでは呼びますね」
 ユリはそう言って、すぐにその場から消えた。
 別に消える必要はないのだが、考助達も部屋を移動するつもりだと分かっていたので、その場にいる必要がないと判断したのだ。
 その予想通り、考助は部屋へ移動することにした。
 場所は勿論、いつもの中央の部屋であった。

 ワンリが来る前に、ミキとエリの紹介も終わった。
 追加の三人組は、セシルやアリサよりも若く見えた。
 聞いてみると、全員が十五歳という事だった。
 これは、セシルやアリサよりも低い年齢というのと、ワンリに見た目で近い年齢の者達を集めたのだ。
 セシルやアリサが気を使わないようにという配慮が一番大きくなっている。
 面接を行ったのもセシルとアリサだったので、その意向が反映された形になっている。
 実際に指導したり指示したりするのはセシルかアリサなので、考助としても異存はない。
 初顔合わせの三人が、やたらと考助に対して恐縮していたのが気にはなったが、取りあえずスルーすることにした。
 いちいち気にして訂正するのも面倒になってきているのだ。
 現人神であると公式に発表することを決めてから、その辺は吹っ切れていた。
「そう言えば、二人の精霊術はどんな感じ?」
 ワンリが戻ってくる前に、考助はセシルとアリサに聞いてみた。
 二人は顔を見合わせて、微妙な表情になった。
「さすがにこの階層の敵に後れを取ることは無くなりましたが・・・」
「これ以上となると微妙です」
 二人そろって精霊術の使い手なので、簡単に近づけさせることが出来ないため中々修行も微妙な感じなのだ。
 ワンリがいれば近接の役割も出来るのだが、いつもワンリがいるわけではない。
「いつも発動までの時間を短くするように言っているのですが、なかなかうまくいきませんね」
 そう言って来たのは、ユリだった。
 ユリは二人の師匠的な役割を果たしている。
 基礎を教えたのはコレットだが、いつもいつも来れるわけではないのだ。
 必然的にユリに聞くことが多くなるのだ。
 だからと言って別にユリに聞いて問題があるわけではない。
 そもそも精霊術と言うのは、精霊や妖精が使う術なので、妖精そのものから教えられるのはある意味で特別待遇と言える。
「うーん・・・いっそのことガゼランあたりに頼んでみたら?」
 冒険者部門長のガゼランであれば、二人に合った依頼だったりパーティーを見つけることができそうなので、そう提案してみる。
 その申し出に、セシルとアリサは顔を見合わせた。
「いえ・・・そもそもここを離れていいのですか?」
「えっ・・・!? あれ? そうか・・・その辺の事きちんと決めてなかったっけ」
 そもそもセシルとアリサは、神社を管理するためにここにいるのだ。
 二人にしてみれば、冒険者として活動するという発想自体が無かった。
 考助にしてみれば、別に神社にこだわらなくてもいいと思うのだが、そもそも二人の契約がどういう事になっているのかが分からない。
「・・・後でワーヒド辺りに聞いてみるわ」
 結局この場では、そう結論付けることしかできなかった。

 そんなことを話している間に、ワンリがやってきた。
 勿論狐の姿のままで、飛び込んできた。
 前回の時と同じように、ぺろぺろと顔中を舐めまわしていた。
 ああ、これまた人の姿を取った時は、赤くなるんだろうな、と思いつつされるがままになる考助。
 ちなみに、セシルとアリサは苦笑をしていて、新人三人組は唖然とした表情になっていた。
 一通りの儀式(?)が終わった後は、別の部屋に行き人の姿で服を着て戻ってきた。
 予想通り顔を赤くしている。
「こ、こんにちは・・・」
 赤い顔をしてもじもじしている様子は、とんでもない破壊力があった。
 自分だけかと思っていたが、周りの女性たちは似たような表情になっていたので、同性異性は関係なかったらしい。
「ああ、こんにちは。・・・今日はちょっと別の階層に設置する物を増やすからそれを教えに来たよ」
「・・・増やす物?」
 ワンリは小首を傾げた。
「うん。それはこれからきちんと話すから、取りあえず管理層に来てくれるかな?」
「・・・わかった」
 考助の提案に、ワンリはすぐさま頷いた。
 管理層で<水の妖精石>の事を話すつもりなのだ。
 ちなみに設置する階層は、第四十八層と決めてある。
 第八層にしない理由は、第八層にはユリという妖精が既にいるためだ。
 妖精がいるからと言って、何か影響を与えるとは限らないのだが、極力不確定要素は避けたいという考えがある。
 そのため第四十八層に<水の妖精石>を設置することにした。
 そういったことをワンリに伝えた後、考助は実際に第四十八層へと様子を見に行くのであった。
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