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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第13章 塔をさらに増やそう

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閑話 お知らせ掲示板

 塔の町にある行政府は、町の中央にある建物に置かれている。
 その建物一つで、今も規模が広がり続けている町の行政を一手に引き受けているのだ。
 とはいえ冒険者だけではなく、町に定住する住民も増えているので、流石に今の規模では手が回らなくっているという話も流れていた。
 これまでに何度か人員募集が行われているのだが、それでも対応すべき業務に追いついていないのが現状の様だ。
 その行政府のある窓口に、巫女服を着た少女が訪れていた。
「はあ~。・・・また貴方ですか、リリカさん」
「認められるまで何度でもくるって、言いましたよね?」
 巫女服の少女、リリカの言葉に、受付に座っていた女性がため息を吐いた。
「何度来られても同じ答えしかできません。今のところ神殿の管理に、神職の方を受け入れるつもりはありません」
「何故ですか!!」
 受付の女性であるフールの言葉に、リリカが怒鳴り声のような声を上げた。
 その様子にフールはため息を吐いた。
「これも何度も答えたと思いますが・・・あの神殿の持ち主がそれを望んでいないからですよ」
「それがおかしいではありませんか! 神殿は神職が管理すべきです。ましてや、あの神殿は神与物です。今のように放置するのは、間違っています!」
 ちなみにリリカが今いる場所は、個別の窓口と言うわけではなく、長いカウンターの一角である。
 当然、別の用事で来ている住人達や冒険者たちも同じ場所にいる。
 そうした場所で、今のリリカのように騒いでいれば、当然注目も集めるのだが、リリカを止めようとする者はいなかった。
 神殿は神職にある者が管理するというのは、この世界においては当たり前の事なのだ。
 その当たり前のことが、この塔では行われていない。
 だからと言って、絶対に教会に委ねるべきだと思っているわけでもない。
 普通の人々にとっては、祈る場所があればいいのだから管理をするのは誰でも構わないのだ。
 町の住人も不思議なことをするなぁ、くらいにしか考えていなかった。
 だが、これが神職にある者となると話が変わってくる。
 それこそ、今のリリカのように。
 流石に、ここまで直接的に訴えてくる者はほとんどいないのだが、不満に思っている者が多いのは確かだった。
 そうした考えも分かっているために、リリカの行動を止める者がいないのだ。
「・・・これも何度も言いましたが、神与物だからと言って、神職にある者だけが管理しているわけではありません。ましてや祈りの間自体は入ることが出来るのですから、掃除などは自由にしてくださいと以前から申し上げています」
「私は、祈りの間以外も管理させてくださいと言っているのです!」
 現状、第五層にある神殿は、一般の人が入れる祈りの間以外の場所は、認められた者しか入れない。
 リリカとその他の神職にある者は、そのことに不満を持っているのだ。
 何しろ三大神の神威召喚が行われて、さらに加護も与えられている神与物だ。
 神職にある者として、管理をしたいと思うのは当然の欲求だった。
 ちなみに、リリカは別に自分が管理をしたいと思っているわけではない。
 神与物である神殿が、ただ単に掃除がされているだけという現状に我慢が出来ないだけだ。
 自分は別に管理する立場に無くてもいいと思っていた。
「あの神殿は、個人の持ち物です。貴方は、まさか強権を発動してそれを取り上げろと言うのですか?」
「っ・・・そ、そんなことは言っていません!」
 フールの言葉がまさしく正論だったりする。
 とはいえ、一般的には神殿を個人で所有していること自体が、あり得ないことなのだ。
 その例外中の例外が、あの神殿ということになる。
 そのために、今のような管理方法がまかり通っているのだ。
 怯んだリリカに、更に畳みかけようとしたフールだったが、同僚の男性から一枚の紙を渡されて、顔色を変えた。
 その紙を渡した男性も若干顔色が変わっていた。
「? ・・・どうかしましたか?」
 フールの様子を見て、リリカが首を傾げた。
 それほどまでに、フールの様子が変わっていたのだ。
 問いかけられたフールは、一度大きく深呼吸をしてから、一度リリカに頭を下げた。
「・・・申し訳ありませんでした。許可が出たのでお話しします。あと一時間後に、この行政府と神殿とクラウンで知らされることになりますが・・・・・・」
 突然フールが話し出した内容に、リリカは最初は驚きを示して、最後には顔色を青くさせていった。
 話を最後まで聞いたリリカは、おぼつかない足取りで行政府の建物を出て行ったのであった。

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 戻ってきたリリカの様子がおかしいことに気付いたのは、パーティーメンバーの一人だった。
「おや? リリカ、どうしたんだ?」
「・・・え? あっ・・・うん」
 元気娘のリリカのいつもとの違いに、周囲にいたメンバーも訝しげにリリカを見た。
 リリカは普段はパーティを組んで塔の階層で素材集めをしている冒険者だ。
 パーティメンバーは全員が女性で構成されている。
 これはパーティリーダーであるサリーの方針でそうなっていた。
 ついでにクラウンにもきちんと所属している。
「おいおい。どうしたんだ? 行政府に行ってたんじゃないのか?」
 サリー自身は、豪快な性格をしているのだが、こうして細かく気遣ってくれる。
 そういう事が出来るからこそ、パーティリーダーが出来るのだろう。
「うん・・・そうなんだけど・・・。・・・クラウンのお知らせ掲示板、見てきたほうがいいかも・・・」
 リリカはそう言って、自分の部屋へ入ってしまった。
 顔を見合わせたメンバーは、とりあえずクラウンへと向かうことにした。

 クラウンの掲示板には大別して二種類の物がある。
 一つは、言わずと知れた依頼が張られている掲示板。
 もう一つは、クラウンが所属している者達に、お知らせを通知する掲示板、通称お知らせ掲示板だ。
 通知内容は、他愛もない物から、階層の危険情報が載ったりするので、情報収集にはもってこいだったりする。
 勿論、昔ながらの口コミも重要なのだが。
 そのお知らせ掲示板の前に、人だかりが出来ていた。
 ざわめきからかなり重要な内容が書かれていることが分かる。
 掲示板の前には、クラウンの職員がいて、読み終わった方は離れてくださいー、と言っていた。
 立ち止まって話している者たちがいると、人が集まりすぎてしまうためだろう。
 なんとか掲示板に張られた内容が確認できる位置に来たサリーは、その内容を見て思わずもう一度内容を確認してしまった。
 信じられないという思いと同時に、リリカがなぜあんな様子を見せたのか、納得できた。
 そこには、アマミヤの塔の支配者であるコウスケが現人神として神々に認められたことが書かれていた。
「・・・神が支配する塔ってどういうことだよ・・・」
 思わずつぶやいてしまったサリーだったが、周囲にいたメンバーも同じような表情になっていた。
 それ以外にも、塔の神殿は現人神であるコウスケ自身の持ち物であること、その現人神が神職の管理を必要としてないことなどが書かれていた。
 リリカの主張が、完璧に神自身によって否定されたことになる。
「・・・そもそも現人神って何だ?」
 残念ながらサリーの疑問に答えられるメンバーはいなかった。
 専門職である巫女や神官でない限り、現人神に関しては知られていない。
 せいぜいが神の一柱だということが分かる程度なのだ。
 その現人神についてパーティメンバーの中で唯一詳しそうなリリカは、現在宿の自分の部屋に引きこもっている。
 本来であれば、しばらく放置をしようと思っていたのだが、状況が状況なので、そうも言っていられなくなった。
 別にすぐに直接的な被害を受けるわけではないだろうが、それでも知るべき情報は出来るだけ早く知っておくのが、冒険者として長く生き残るコツなのだ。
 引きこもっているリリカをどうやって引き出そうかと思い、ため息を吐くサリーなのであった。
閑章で書いたのですが、現人神を広めるには、どうしても巫女や神官の存在が必要になるので、似たような話になってしまいました。
とはいえ、リリカは純粋に神職として修行している者が管理したほうがいいと思っている人です。
だからこそ、今回発表された内容にショックを受けたのですが・・・神から直接いらないと言われたので、相当落ち込んでいると思われます。
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