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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第12章 塔を増やそう

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6話 聖力と魔力

「魔力と聖力か・・・」
 考助は、管理層の研究スペースでそう呟いた。
 そもそも考助がこの世界に来てからは、最初から神域で習った神力を使うことがほとんどだった。
 そのため、魔力と聖力について深く考えることはしてこなかった。
 そもそも魔法や聖法も、いまだにまともに使えていない。
 その割には、神威召喚や神域への送還などやらかしているのだが、それは全て神力のおかげだ。
 神力が一般的でない世界で、それを使った召喚陣を伝えるのはどうかと思ったのだが、逆に考えれば神力を使えるようになってほしいという、親心(神心?)なのかもしれないと思うことにした。
 と言うわけで、せっかくなのでその二つの力について考えることにしたのだが、色々ありすぎて考えがまとまらなかった。
 魔力も聖力も無かった世界の常識を持っている考助にしてみれば、そもそもの疑問は、なぜ二つの力があるのか、ということだった。
 魔力も聖力も過去はともかく、今ではほとんど同じ現象を起こせるようになっている。
 わざわざその二つの力に、分ける必然性が分からない。
 神の二面性を示している、と言う考え方もあるらしいが、だとすれば、使える現象が分かれてもいいのではないかと思う。
 現実はそういうことは無く、同じ現象が起こせるので、その考え方は考助にはしっくりこない。
 だとすれば、何か他に理由がある、と思うのだが、それはよくわからないのだ。

 と、こんな感じで思考がループし始めた考助に、話しかけて来た者がいた。
 シュレインである。
「なんだ? コウスケはまた何か悩んでいるのか?」
「・・・ん? シュレイン、どうかした?」
「いや、先に質問したのは吾なのだが?」
「あ、そうだった」
 考助は、ペロリと舌を出した。
「いや、別に大したことじゃないよ。なんで魔力と聖力二つの力があるのかなって、思ってね」
 シュレインは、一瞬虚を突かれたような顔をした。
「・・・なるほどの。その辺の発想はやはり異世界からの訪問者、というところかの」
「え? そうかな?」
「二つの力があって当たり前の世界に生れ落ちた者が、そのようなことを考えることはない・・・とは言わないが、非常に少ないだろうさ。下手をすれば、変人扱いになるのではないかの?」
「そんなもんかなぁ・・・」
 考助的には、ピンと来なかったために首を捻ったのだが、よく考えればこういう事なのだろう。
 少なくとも一般的には魔法などないと言われている世界に、魔法が使えた世界からの転移者が来たとしよう。
 その転移者が、何故この世界では魔力が無いんだと言われて答えられる者は、まずいないだろう。
 むしろ変人扱いされて、そう言った施設に入れられることになってしまうかもしれない。
 そう考えた考助は、なるほど確かに自分はこの世界から見れば、外れた考え方をしているんだと、改めて思い直した。
「ああ・・・なるほど。よくわかったよ。まあ、どうせすぐには答えなんて出ないんだから取り合えずそれはいいや」
 考助はそう結論を出した。
「それで? シュレインは何か用があったんじゃないの?」
「ああ、そうだったの。北東の塔について相談に乗ってほしいことがあっての」
 そう言われた考助は、そう言えばまだ南東の塔を誰に任せるか言っていなかったことを思いだした。
 既に誰に任せるかは決めていたのだが、話が聖獣と魔獣の話になってしまって、言い出すきっかけがなかったのだ。
 その件に関しては、急ぐわけではないので、まあいいかと思い直すことにして、シュレインの話を聞くことにした。
「・・・・・・ん? 相談って、何かあったの?」
「何かあったというか・・・何もないと言うべきだろうかの」
「?? ・・・どういう事?」
「塔を攻略した時に、メニューはちゃんと見なかったか?」
「ああ、そういや引き継ぎの手続きして、ちょっと画面確認しただけだったな」
「そういう事か。・・・それなら、一緒に北東の塔の管理層に来てもらって確認したほうが早いかの。今から来てもらってもいいか?」
「問題ないけど?」
「では、一緒に向こうへ行こうかの」
 シュレインはそう言って、未だ椅子に座ったままの考助の腕を引っ張り上げた。
 その勢いのままシュレインに抱き付いてしまった。
「うわ。ごめん。・・・って、わざとだろ。引っ張りすぎだよ」
「まあまあ。たまにはこういう役得もあっていいだろう?」
 どっちにとっての役得なんだ、と考助は少しの間悩んだのだが、賢明にも口に出すことは無かった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 北東の塔への移動と言っても、転移門を使うので一瞬で移動できた。
 管理層へ向かう間に、簡単に話を聞いたのだが、なんと<神石>に当たる設置物が無いということだった。
 しかもそれどころか、<神石>以外にも神力を発生するような設置物が一つもないというおまけつきだ。
 と言うわけで、現在考助は、北東の塔の管理層で設置物を確認しているのだが、確かにシュレインが言う通り神力を発生する設置物は一つも見つけられなかった。
 勿論召喚陣に関しては別である。
 だが、最初考助が悩んだように、最初の召喚陣で召喚できるモンスターは、どう考えても割に合わない。
 とは言え、召喚陣で呼び出したモンスターで、自然派生しているモンスターを倒さないと最初のLVアップさえできないので、一応召喚は行ったとのことだった。
 現在設置できる召喚陣は、塔で出て来たモンスターの所謂、アンデット系が多かった。
 考助にしてみれば、使役しずらい召喚なのだが、そこは流石にヴァンパイアであるシュレインだ。
 普通に<レイス>を召喚して確認してみたそうだ。
 何とか順調に討伐自体は行われているようだが、流石に考助が設置した灰色狼の様にはいっていないらしい。
 最初に<神石>を置いて<神水>を作れた為に、召喚獣たちの進化が早くできたことが幸運だったと言うのが、改めて発覚したのである。
 それはともかく、北東の塔をどうにかしないといけない。
 一応アマミヤの塔と同じように、神力のストックはあるにはあったが、アマミヤの塔と同じ量は蓄えられていなかった。
 ついでに言えば、階層が少ない分、魔力と聖力も一日で貯めることが出来ないとのことだった。
「・・・・・・何というか・・・。改めてアマミヤの塔が規格外だったというのが分かるな・・・。いや他の塔はまだちゃんと見てないんだけど」
 折角攻略した南東の塔も、メンバーに任せるつもりだったので、きちんと内容まで確認していなかった。
 人に任せる前にきちんと確認しないと駄目だなぁ、と思いつつシュレインには申し訳ないことをしたと思った。
「いや、ごめん。アマミヤの塔と同じように考えていたから、ナナやワンリと同じようにすればいいと考えていたよ」
 考助のその言葉に、シュレインは苦笑した。
「いや、それこそ謝ってもらう必要などないのだがの。軽く考えていたのは、吾も同じなのだから」
 シュレインも考助と同じように管理をすればいいと思っていたのだ。
 また、だからこそ思いついたことがあり、それを相談しようと思っていたのだ。
「せっかく造りがダンジョンそのものなのだから、いっそのこと第一層から冒険者を呼び込んだ方がいいのではないのかの?」
「冒険者を? ・・・うーん・・・」
「駄目、かの?」
「いや、駄目というか。現状アマミヤの塔という稼ぎやすい場所があるからね。わざわざこっちの塔まで来る冒険者がいるかどうか・・・」
 結局のところ、需要と供給の問題になるのだ。
 北東の塔が冒険者たちにとって稼げる場所だと認識されなければ、わざわざ出張ってくる者はいない。
「とりあえず、第五層とここで転移門をつなげるか試してみて、大丈夫そうだったらその辺りの事をガゼランに聞いてみたらどうかな?」
「そうだな。そうさせてもらおう。だが、あまり冒険者をあてには出来ないということだな。・・・別の方策も考えるとしよう」
「最初の目論見通り、階層の入れ替えが出来たらここまで苦労はしなかったんだろうけどね」
「それは出来なかったのだから仕方あるまい。今できることで何とかするしかなかろう」
 シュレインの言葉に考助も頷くしかなかった。
 結局、あっさり攻略された北東の塔だったが、その管理に関しては、アマミヤの塔以上に苦戦しそうな予感がひしひしと感じてくる考助なのだった。
他の塔攻略者が、いかに苦労しているかを少しでも分かってもらえれば、と思って書きました。
こんなところにも、コウヒとミツキ以外のチートがあったのですw
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