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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第11章 塔から神域へ行こう

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閑話 シルヴィアの悩み

 考助と初めて出会ったのはナンセンのギルドだった。
 出会ったと言っても、掲示板を見ている考助を見つけただけだ。
 その場では特に何か言葉を交わしたというわけではない。
 ただ、妙に自分の視線を引きつける何かがあると思った。
 最初に思ったのは、それだけだった。
 だが、最初はそれだけで挨拶をすることも無く別れた考助が、別の場所で厄介ごとに巻き込まれてるとわかると、思わず口出しをしてしまった。
 普段の自分だと信じられない行動だった。
 その後は、なし崩し的に一緒に行動することになったのだが、自分でも思っていなかったほどあっさりと考助本人に魅かれていた。
 勿論、一緒にいたコレットに散々からかわれたので、そのせいで余計に意識するようになったのもあるのだろう。
 だが、やはり第一印象と言うのが大きかった。
 あの時感じた何か視線を引きつけられた感じが、神の『お告げ』を感じるときに似ていると思いだしたのは、管理層に来てしばらくたってからだった。
 もっと具体的に言えば、いわゆる、その、そう言う関係になってからなのだが、その時には既に、考助の破天荒ぶりには何となく慣れてきていた。
 そもそも自分の目の前で交神して見せたかと思えば、あっさりと交神するための神具を作り出して、それを自分に渡してくる。
 それだけでも普通の感覚で言えば、めまいがするような出来事だというのに、その後も次々に信じられないことをやってのけた。
 結局自覚した時には手遅れだったわけだが、それについて後悔などあるわけではない。
 むしろ十分すぎるほどの幸せを感じていたりするのであった。

 破天荒な考助がまたやってくれた。
 なんと大勢の客の前で、三柱の神威召喚に成功させたのだ。
 しかも三大神を揃えて。
 間近で見ていた神殿関係者がどういう顔になっていたのか、できれば間近で見たかったと残念に思った。
 だが、流石にその日は管理者メンバーは表に顔を出さないと決めていたので、見れなかったのはしょうがない。
 それよりも神威召喚を行った考助が心配だった。
 そもそも神を召喚するというだけで、かなりの力を使うはずなのだ。
 それを三柱同時に、しかも三大神を召喚するというのが、どれほどの物か想像もつかない。
 考助が管理層へ戻ってくるまでは、心配だったのだが、ケロリとした表情をして戻ってきた考助を見て、思わず安堵のため息を吐いてしまった。
 ・・・なんとなく悔しかったので、見られないように注意したのだが。

 神威召喚をしてさほど時間もたっていないのに、今度は神域へと送還をするといいだした。
 ここまで来るともう流石、という考えしか浮かばなかった。
 古来よりこの世界での神の顕現はあったが、人あるいは亜人と呼ばれる者の中で神域に足を踏み入れたことのある者はいないのだ。
 達成できれば、三大神の神威召喚どころの話ではない。
 それを分かっているのか、いないのか、考助はまあ何とかなるよ、といつもの調子で返してきた。
 今までの例から言って、心配するだけ無駄と言うのは、頭では理解しているのだが、それでも心の方は心配だった。
 困った時の神頼みは、出来るだけしたくはなかったのだが、考助の姿が送還陣から消えた時は、思わずすぐに交神してしまった。

『貴方がこういう時に、連絡を取ってくるとは珍しいですね』
『・・・やはり図々しかったでしょうか?』
『私としては、もっと頼ってもらってもいいんですが?』
『いえ。流石にそれは遠慮させてもらいますわ』
 シルヴィアの言葉に、エリサミール神がクスリと笑った気配がした。
『あら、残念ですね。まあ、それはともかく、考助様の事ですが、まだ結果は分かっていません』
『・・・・・・どういう事でしょう?』
『いくら送還陣を使っているとはいえ、其方からこの神域に来るのに一瞬で来れるわけではないのですよ?』
『そうなのですね』
 望んだ答えを得られなくて、思わずシルヴィアはがっかりしてしまった。
『まあ、感じ取れた気配を辿る限り、失敗はしていないでしょうから、さほど不安に思う必要はありません』
『・・・でも・・・』
 それでも何があるか分からないというのが、魔法や聖法を使うときの心得である。
 ましてや神域への送還など今まで誰も行ったことが無いのだから、不測の事態ということは起こり得る。
『それでも心配してしまうのが、乙女心と言う所ですか?』
 珍しく、非常に珍しいことに、エリサミール神がからかうような調子で言って来た。
 言われたシルヴィアも思わず頬を染めていたのだが、幸いなことにそれを他の者に見られることは無かった。
 交神中は一人にしてくれることが多いのだ。今回もその例に洩れず、一人で行っていたのである。
『・・・そうですわ』
『フフフ。まあ、これ以上は無粋というものね。とりあえず到着まではまだ時間がかかるから、しばらくお待ちなさい』
 エリサミール神はそう言って、交神を切った。
 向こうから交神を切られることはいつもの事だ。
 結局無事が確認されたわけではないという中途半端な情報を手に入れたシルヴィアは、皆がいる部屋へと向かったのだった。

 考助が無事に、神域に着いたとエリサミール神から交神があったのは、それからしばらくしてからだった。
 無事の到着と同時に、信じられない情報も合わせて聞くことになった。
『これで、考助様は現人神として認められました』
『・・・・・・はいっ!!!?』
『そこまで、驚くことですか? 貴方でしたらある程度は予想していたでしょう?』
『確かにいつかはあり得るかもしれないと、考えてはいましたわ。ですが、これほど早くとは・・・』
 相変わらず予想を覆した結果を残す考助だった。
 それがまた自分を惹きつけるのだから、相当に入れ込んでいるという自覚があるシルヴィアであった。
『まあ、それはともかくとして、貴方はどうするのですか?』
『どうする、とは?』
『あらあら。貴方の立場は何か忘れたのですか?』
 それだけで、エリサミール神が何を言いたいのか察したシルヴィアだった。
『・・・しかし、それは・・・』
『私に気兼ねしているのでしたら、無用の心配ですよ? その程度の事で、私の加護を外したりはしません。複数の加護を持った例が全くないわけではないことは、知っていますよね?』
『・・・・・・』
 エリサミール神の言っていることは、シルヴィアにも分かっている。
 しかしそれでも、とシルヴィアは考えてしまうのだ。
『それとも、拒絶されるのが怖いのですか?』
 その言葉に、ビクリと跳ね上がってしまった。
 まさしくそれが、今のシルヴィアの心情を物語っていた。
『・・・全く。まあ、貴方がどうするかは任せますが、他の者に取られても私は手助けできませんよ?』
 エリサミール神のある意味で、予言的な言葉に、シルヴィアは悲しそうな顔になった。
『・・・私は・・・』
『まあ、悩むなとは言いません。ですが、恐らくあまり時間はありませんよ?』
『そうなのですか?』
『考助様の行動力は、私よりもあなたの方が間近で見ていますよね?』
『・・・・・・わかりました。出来るだけ早く結論を出します』
『そうしたほうがいいですね。とは言え、貴方が考えている以上の時間は出来そうですが』
 なぜか最後の言葉だけは楽しそうな口調になったエリサミール神に、シルヴィアは内心で首を傾げた。
 同時に、先程の言葉と矛盾していると思っただが、神の感覚は、ヒューマンである自分とはずれているということも知っていたので、あまり気にしないことにした。

 結局、神域から戻ってきた翌日に、考助が別の塔の攻略開始を宣言するのだが、考えていた以上の時間が出来るというのは、このことなのかと思ったシルヴィアであった。
うーん・・・この話、本編に入れるかどうか悩んだんですが、結局閑話にしました。
未だに、ここに入れていいのか悩んでいます。

・・・上げてしまったものはしょうがないですね><

2014/6/19、29 誤字脱字訂正
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