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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第11章 塔から神域へ行こう

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4話 <神の左目>のこと

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ありがとうございます!
 しばらくいじけていた考助だったが、ふとアスラに聞きたいことがあったことを思い出した。
「そう言えば、この左目の力って結局何なの?」
 その問いに、アスラは虚をつかれた表情になった。
「気付いてなかったの?」
「・・・・・・え?」
「・・・そう。それは、あなた自身の力よ?」
 アスラの答えに、今度は考助が驚いた表情になった。
「え!? 何それ? アスラの力じゃなかったの!?」
「ああ、そういう事ね。・・・そうね、確かに私の力と言ったけれど、私がプレゼントしたのは、きっかけを与えただけのようなものよ?」
「どういう事?」
「私がしたことは、目を通して神力と言う力を使えるように、きっかけを与えただけ。目を通して神力をどうやって使うかを決めたのは、考助自身よ」
 そこまで言われて、考助はようやくアスラが言いたいことが分かった。
 神域にいた時はある程度の神力の使い方を教わってはいたが、魂だけの存在だった以上、肉体を通しての発現が上手くいかない可能性があった。
 アスラは、そう言ったことが無いように、左目を通して神力が発現できるようにしただけだったのだ。
「と言うことは、ステータス表示は・・・」
「ええ。貴方自身が神力を使って開発した力という事ね。言うまでもないけど、当然この世界では初の現象よ。現世の生物たちはもちろん、現存するどの神もそんな力は持っていないわ」
 まさかの申告に、考助は思わず唸ってしまった。
 そんな考助の様子を見たアスラは、ニコリと笑ってさらに続けた。
「ステータス表示と言う初のことわりを創ったことと、クラウンカードでしたっけ、あれを広めたことで、ステータスと言う概念を世界に知らしめたわ。
 おかげで、現人神になるための条件の一つを満たしたとも言えるわね」
「・・・ええと、もしかしなくても、普通に魔眼として発現していたら・・・」
「今まで普通に確認されている現象だったら、現人神としての条件にはなりえなかったわね」
 アスラの駄目押しに、考助は諦めたように、ため息を吐いた。
「何というか・・・最初から自分で、そっちの道を選択していたわけだ・・・。無意識とはいえ・・・」
「そういう事になるわね」
 そう言ったアスラだが、その後は気遣わしげな顔になった。
「・・・現人神になったことが、そんなに嫌?」
 アスラの言葉に、考助は慌てて首を振った。
「ああ、いや、そんなことは無いよ。ただ単に、驚いたというか、心の整理が出来ていないというか・・・嫌という気持ちは無いな」
 考助は、自分自身でも不思議だったが、アスラに言った通り嫌と言う気持ちは持っていなかった。
 またからかわれるネタが増えたことで落ち込んではいたが、別に現人神になったことを忌避しているわけではない。
 考助自身としては、特に何か大きく身体の作りが変わったということは感じていない。

「・・・まあ、せいぜい塔のメンバーに広まらなければ・・・ってまさか!?」
 不意に考助から視線を外したアスラを見て、嫌な予感を覚えた考助。
「ああ、うん。ごめん。ここに来た時点で現人神認定は終わっているから、多分エリスあたりから広まっているかも・・・?」
「ああ、待って。それだけはやめて、すぐ止めて」
 必死になって拡散するのを止めようとする考助。
 それを見たアスラは、すぐにどこかに連絡を取り始めた。
「・・・ええ。そう。あ、やっぱりね。うん・・・いや、まあ、仕方ないんじゃないかしら? ・・・うん、待ってるわ」
 通信を終えたアスラは、少し呆れたような表情になって、
「なんか、本人がちゃんと謝りたいから、エリス、こっちに来るって」
「・・・謝る?」
 状況が分からず首を傾げる考助。
 考助にしてみれば、会話を聞いていたわけではないので、何のことかわからなかった。答えを導き出すのを、無意識のうちに拒否したともいうが。

 そんな考助の前に、一瞬光が現れて、その後にはエリスが残っていた。
 ・・・頭を下げた状態で。
「・・・・・・申し訳ありませんでした」
「ええと・・・。いまいち状況が分かってないんだけど・・・?」
 なんとなくエリスの様子を見て、状況がわかってきたというか、脳がようやく働き始めたが、とりあえずそう答える考助。
「・・・話されてないんですか?」
 少しばかり不思議そうな顔をして、エリスはアスラの方を見た。
「まあ、こういう事は、本人から言った方がいいと思ってね」
「・・・そうですか。ありがとうございます」
 そう言ってアスラへ一度頭を下げたエリスは、考助の方を見て再度頭を下げた。
「申し訳ありません。シルヴィアから交神があった際に、無事に着いたという報告と同時に、現人神になったことも合わせて報告してしまいました」
 ある意味、予想通りの内容に、考助は思った以上のエリスの反応に慌てた。
 考助にしてみれば、ここまで頭を下げられるほどの事ではなかったのだ。
 素直に、そう言うことにした。
「ああ、いや。別に、そこまでしてもらうほどの事でもないから。知られたんならそれはそれで、別にいいよ」
「・・・・・・本当ですか?」
 何となく不安そうな表情を見せるエリスに、考助は若干の笑顔を見せた。
「本当本当。だから、エリスもそんなに気にしないで。まあ、後でからかわれたりはするだろうけど、所詮それだけのことだし」
 塔のメンバーがわざわざ他の者達に、そんな重要な話を勝手に広めるはずがないという考えもある。
 そんな考助を見て、エリスはホッとしたような表情になった。
「・・・ありがとうございます」
 そう言って、もう一度頭を下げた。
「ああ。うん。もう頭を下げるのも、それで終りね」
 釘を刺さないといつまでも頭を下げそうなエリスに、考助はもう一度笑ってそう言う。
 エリスも、今度は「はい」と返事をして小さく頷くにとどめたのであった。

 そのままでいると、いつまでも引きずりそうな雰囲気だったので、考助は話題を変えることにした。
「それで、もう一つ確認したかったんだけど、ステータスでエリスが女神じゃなく天女になっているのはなぜ?」
 アスラとエリスは同時に顔を見合わせた。
「・・・言っていなかったんですか?」
「言ってないわ・・・というか、そもそもステータスの事話したのも今さっきだし」
 二人の会話を聞いた考助は、ふと先ほどアスラから聞いたばかりの話を思い出した。
 ステータスは考助が開発した現象であるということだ。
「・・・あれ? と言うことは、僕自身が勝手に女神とか天女とか区別しているってこと?」
 考助の疑問に、二人は微妙な表情になった。
「そうであるとも言えるし、そうじゃないとも言えるわね」
「そもそもステータス表示は、確かに考助様が考え出したものではありますが、表示している情報は考助様のものではありません」
世界記録ワールドレコードに記録されている情報から引っ張り出して、考助の分かり易いように表示しているのよ。当然引っ張り出すのに、神力を使うというわけね」
 二人の解説に、必死に理解しようと努力する考助。
「と言うことは、表示内容自体は、元々この世界で認識されている物?」
「そうなりますね」
 考助の言葉を肯定するエリス。
「そもそも神威召喚だって、三人を天女として呼んだじゃない? 世界が三人を天女として認識していなければ、召喚は成功していなかったわよ?」
 言われてみればその通りだ。
 神威召喚時の詠唱では、エリス達を天女として召喚を行っているが、きちんと召喚されている。
 と言うことは、宗教的な地位はともかくとして、世界記録ワールドレコードにはエリス達は天女としても認識されていることになる。
「あ~。と言うことは、僕のステータスでエリスが天女扱いになっているのは・・・」
世界記録ワールドレコードと考助の趣味が合わさった結果ね・・・と、言うのは冗談で、世界記録ワールドレコードではエリス達は天女と認識されているってことね」
 アスラの解説に、何となく納得した考助は頷いた。
「なるほどね。・・・それで、世界記録ワールドレコードって何?」
「ごめんなさいね。それについては、詳しい話はまだ出来ないの。エリス達にもあまり知られていないわ」
「まだ、なんだ」
「ええそうよ。まだ、なのよ」
 考助の突っ込みに、アスラはニコリとほほ笑んだ。
 それを見た考助は、それ以上追及することはしなかった。
 アスラは、必要があればきちんと教えてくれることは、分かっているからだ。
 教えられないということは、その理由があるという事なのだろう。
 しかもエリス達も詳しくは知らないということは、本当の意味でアスラクラスの神でないと知ってはいけないと言うことは理解できる。
 考助としても、あえて藪をつつくつもりは無いのであった。
2014/6/13 誤字訂正
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