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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第11章 塔から神域へ行こう

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3話 クラスチェンジ(考助)

 考助は第十層を訪れていた。
 階層に関しては、特に意味はない。
 ある程度開けた場所であればどこでもよかった。
 折角なので、自然発生するモンスターに変化があるかを確認しに来たのだ。
 結果から言えば、モンスターレベルは上がっていなかった。
 結論を出すにはまだ早すぎるので、もう少し召喚陣を設置しないままで行くつもりだ。
 ちなみに、<スライム召喚陣>も設置していないのだが、妖狐達は飢えることなく、きちんと狩りをおこなって生活しているようだった。
 今回のメインの目的は、その実験結果の確認ではなく、別の目的がある。
 今回一緒に来ているメンバーは、管理層に常駐しているメンバー全員だった。
 考助が実行しようとしていることを話すと、全員が付いてきたがったのだ。

 考助がこの場で何をしようとしているかと言うと、それは『送還』だった。
 召喚と言う魔法がある世界だ。当然送還という理論も技術も存在している。
 送還は特殊な技術になるので、扱える者は数が限られるだろうが、流石に三柱の神々を同時に召喚すると言う事ほど、珍しい話でもない。
 では考助の人外っぷりになれているメンバーたちが見たがったのは、その送還先があり得ないところだった為である。
 考助は最初に、[常春の庭]に行くと言ったのだが、その名前は知られていない名前らしい。
 神々が普段いる場所と言い直したら、全員が驚いた顔になった。ただし、コウヒとミツキは除く。
 アスラに創られた存在である二人は、[常春の庭]にいたことはないが、その情報はもらっていた。
 まあ考助がこの世界に来る前にいた場所の情報なので、与えられているのは当然と言えば当然なのだが。
 そもそも考助が、[常春の庭]という名前を知っていることも驚きだったのだが、それ以上に送還で神々が住まう場所に行く、あるいは行けるということに驚いたのである。
 ちなみに、この世界の人々には、神々が住まう場所は神域と呼ばれているとのことだった。
 人の身でありながらそのような場所に行けるとなると、伝説級以上の話になるかもしれない。
 まあ、三柱の神々を召喚したことも既に、伝説級なのだが。
 今回の考助が行おうとしている送還は、魂だけを送り込むものではない。
 きちんと肉体を伴って送還しようとしていた。
 ちなみに、今回の送還は、三柱の神々を召喚した神威召喚が元になっている。
 考助にしてみれば、[常春の庭]から召喚できたんだから送還もできるのでは、という単純な発想から今回の実験に繋がっている。
 流石にそれを言った時には、皆に飽きられたのは言うまでもないことだろう。

 第十層で皆に見守られながら準備を進める考助。
 まあ準備と言っても、ある程度離れた場所へ行って送還魔法陣を起動するだけなのだが。
 当然ながら、当初はコウヒとミツキのどちらかは、考助と一緒に付いていくつもりだった。
 だが、珍しいことに考助がそれを断った。
 理由は単純で、複数人数を送還できるかどうかの確証が持てなかったからだ。
 それじゃあ実験は認められないと、二人は粘ったのだが、考助の意思ともう一つの理由で押し切られてしまった。
 その理由とは、百合之神社への転移機能だ。
 もし送還が失敗しても考助一人ならすぐに転移して神社へ戻ってこれる。
 塔の外からへの転移も出来ることは、既に実験済みなのだ。
 送還を失敗しても一瞬で首を斬られるなどが起こらない限りは、考助だけならば、すぐに転移が行える。
 逆に同行者がいるとすぐに転移が行えない可能性がある分、一人で行った方がいいという考助の言い分に、二人が丸め込まれた形になった。
 まあ二人がどう言ったところで、今回の送還は一人しかできない物なので、どうしようもないという事情もあったのだが。
 そんなわけで、一人で送還を行うことになった考助だが、実はあまり心配はしていなかった。
 別に交神で確認したというわけではない。
 何故か、失敗しないという確信のような予感がしているのだ。
 そんな不思議な気分のまま詠唱を唱え始めた。
 神威召喚と同様に、詠唱と魔法陣を同時に行う。
 詠唱に続いて考助を中心にして魔法陣が地面に描かれた。
 一つの魔法陣の規模としては、神威召喚を行った魔法陣よりも大きいものになっている。
 神威召喚を行ったときは三つ同時の発現で、今回は一つだけなのだが。
 結果はすぐに現れた。送還陣はすぐに消え去り、その上にいた考助も同時に消え去っていた。
「・・・成功したの?」
 様子を見守っていたコレットが、シルヴィアに問いかけた。
 交神で確認するためだ。
「・・・すぐに確認するわ」
 シルヴィアがそう言うと、コウヒとミツキを含む全員の視線が集まったのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 一方。送還陣の手ごたえを感じて成功を確信した考助は、送還陣の発動と共に別の場所へと送還されていた。
 特に大きな事故が起こるわけでもなく、きちんと目的の場所へと着いていた。
 考助が送還陣の送還した場所は、考助が[常春の庭]に来た時に初めて連れていかれた場所だ。
 そこは、アスラの執務室だった。
 考助がそれを認識した時には、目の前にアスラが呆れたような、嬉しそうな複雑な表情をして立っていた。
「・・・・・・やあ、久しぶり」
 久しぶりに見たその美貌に、一瞬見とれてしまったが、それでも何とか挨拶が出来た。
「そうね。久しぶりね。・・・というか、本当に成功させるとは思わなかったわ」
「えっと。そうなの?」
 考助にしてみれば、アスラの事だから既に読んでいたと思っていたのだ。
「それはそうよ。魂だけならともかく・・・いえ、それも普通は出来ないのだけれど、肉体をきちんと保ったままここに来れるなんて、普通は考えもしないわよ?」
「え~? そうなの?」
 実際にそれが出来ている考助にしてみれば、そこまで驚くことなのか、と思っていた。
 ・・・次のアスラの言葉を聞くまでは。
「そうなのよ。まあ、それはともかく、現人神へのクラスチェンジ、おめでとう」
 アスラは笑顔になって、ポムと音を立てて両手を合わせた。
 考助は、その言葉の意味を理解するのに時間がかかり、少しの間呆けてしまった。
「・・・・・・・・・・・・は? いや、ちょっと、待って!?」
「何を驚いているのよ。魂の存在としてならともかく、きちんと肉体を伴ってここへ来たのよ? 神と同等の存在になるのは当然でしょう?」
「・・・・・・・・・・・・はあ!!!!!?」
 今さらながらに自分がやらかしたことを思い知る考助だった。
「まあ、勿論ここに来るだけが条件ではないけれどね。色々条件を満たしていて、最後の駄目押しがここに来ること、だったのよ」
 アスラの言葉に、思わず考助はその場にしゃがみ込んだ。
「・・・・・・そんなつもり無かったのに・・・」
「まあまあ、良いじゃない別に。今までとほとんど違いはないんだし」
「・・・そうなの?」
「そうなのよ。そもそもあれだけ自在に神力を使いこなしている時点で、現人神二歩手前くらいまで来ていたしね。後は神威召喚が決め手で、今回の送還がダメ押し、と言った感じかしら」
「そう、ですか・・・」
 思わず落ち込んだ考助だった。
 これでまたメンバーたちに人外扱いされる、と思ったのだ。
「それはもうだいぶ前から手遅れだと思うわよ?」
 流石にアスラに断言されるとへこんでしまう考助であった。
「はあ・・・もう、良いです。人外で・・・」
「ただの人間だろうが、現人神だろうが、考助は考助なんだからいいじゃない」
 アスラの有難いお言葉を聞いた考助は、何とか復活した。
 ちなみに、この後三人の天女たちにも人外扱いされることは、まだ知らない考助なのであった。
クラスチェンジおめでとう!

・・・今更、と思うかもしれません。それとも、まさか、と思うかもしれません。
ようやく、無事、人外認定されました。
まあ、神威召喚した時点で、世間的には人外認定されれているのですがw

2014/6/12 誤字訂正
2014/6/29 誤字脱字訂正
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