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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第11章 塔から神域へ行こう

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2話 フローリアから見た考助

 フローリアにとって、考助を一言で言い表わすとすれば「謎」と答えるだろう。
 初めて会ったときは、ただのなんの力もない普通の人間に見えた。
 だからこそ、今にして思えば、盛大な勘違いをして舐めた態度を取ってしまったのだ。
 何の因果か、その考助が支配している塔の管理層に来ることになったのだが、完全に見る目が変わってしまった。
 もし行けるのなら、ごく普通の人間だと判断した過去の自分を、殴りに行ってやりたい。
 フローリアが管理層へと来ることになったその日に、彼が自分の父にとんでもないことを言った。
 神威召喚をすると。
 初めそれを聞いたときは、内心で何を馬鹿なことをと思った。
 勿論その時の会話で、考助が神具を作れる職人だというのは聞いていたから、只者ではないという認識はあった。
 それでも神威召喚をするなど、ただの戯言としか思えなかったのだ。
 とは言え、父もそれを受け入れた。
 フローリアとしては、父も失敗前提で受け入れたのだと思っていた。
 それくらい神威召喚をするというのは、とんでもない話なのだ。
 その場の話し合いは終わって、フローリアは父と別れて管理層へとやってきたのだが、そこで考助と一緒に生活するうちに、もしかしてと思うようになった。
 考助の普段やっていることが、フローリアにしてみれば、常識外れの事ばかりだったのだ。
 フローリアが確認できた限りでは、考助は特に召喚と神具作りに才があるように見えた。
 本人に聞いてみると召喚に関しては、塔で召喚陣を設置していることから興味を持ったとのことだった。
 神具作りは、何となくやってみたら出来た、そうである。
 初めて聞いたときは思わず眩暈を覚えたものだ。
 本人には自覚がないようだが、はっきり言って知識だけでも一流の学者以上の物を持っていた。
 気になったフローリアが聞いてみると、塔を支配してから身に付けたと答えが返ってきた。
 アマミヤの塔が攻略されたという噂が経ってからまだ一年もたっていないはずだ。
 たったそれだけの期間で、どうやってこれほどの知識を身に付けたというのか。
 しかも考助自身は、塔からほとんど外には出ていないという。
 その答えは、管理層の一室にあった。
 メンバーたちが研究室と呼んでいるそこは、蔵書が数多く揃っていた。
 本自体が珍しいこの世界で、これだけの蔵書を個人で抱えているというのはまずあり得ない。
 どうやって揃えたのか、たまたま傍にいたシルヴィアに聞いてみると、塔にそういった蔵書を出してくれる機能があるとのことだった。
 残念ながらまだ警戒されているのか、それ以上の詳しい話は聞けなかったのだが。
 考えてみれば、フローリアが管理層に来てから、塔に関する詳しい話はまだ聞けていない。
 同じ加護持ちと言う事からか、フローリアはシルヴィアと一緒にいる時間が多い。
 必然的にフローリアは、シルヴィアと話をすることが多いのだが、基本的にはごく一般的な世間話的な話ばかりになっていた。
 居候的な存在だと自覚していたフローリアが、あえて深く聞いていないという事情もあるのだが。
 ちなみに、シルヴィアと一緒にいることが多いのは、単に加護持ち同士というだけではなく、シルヴィアだけが管理している層を持っていないという理由もあったりする。
 そう言った細かい事情をフローリアは知らないのだ。
 これは別に考助が、出し惜しみをしているわけではない。
 聞かれれば答えると言ったスタンスなのだが、初対面の時の負い目があるためフローリアが直接考助へ問いかけることがほとんどないのだ。
 他のメンバーは、塔の機密に関わるため自分たちからは積極的に話そうとは思っていない。
 結果として、フローリアが塔の機能について、詳しく知ることが無いのである。

 そんなフローリアから見て、謎の人物である考助が、神威召喚を成功させたと聞いたときは、非常に驚いた。
 勿論、神威召喚を成功させた考助に対してもそうなのだが、それ以上にそれを聞いたときのメンバーの態度に驚いたのだ。
 何しろ彼女たちは、呆れはしていたものの、驚いてはいなかった。
 思わずそのことをシルヴィアに問いただしたが、返ってきた答えはたった一言だった。
「だって、コウスケさんのことですし、今更ですわ」
 つまりは、シルヴィアにとって考助は、神威召喚をしても驚くような人物ではない、と言うことになる。
 周囲の様子からもそれがうかがえる。
 更にシルヴィアからは、忠告めいたことを言われた。
「こんなことで一々驚いていたら、ここではやっていけませんわ?」
 それを聞いたフローリアは、なぜかその時深く頷いてしまったのだった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 考助が神威召喚を行ってから幾日か経ったある日。
 フローリアは、考助の謎の行動を目撃することになった。
 食事中に皆から話しかけられても上の空、何もないところでスッ転びそうになり、かと思えば突然ぶつぶつと呟き始めたりしていた。
 傍から見れば、完全に危ない人である。
 フローリアが思わずシルヴィアに疑問の視線を向けたのは、しょうがないことだった。
「・・・・・・あれは、大丈夫なのか?」
 問われたシルヴィアは、苦笑を返した。
「ええ。大丈夫ですわ。私も最初見た時は何事かと思ったものです」
「・・・そうか。何かあるのだな?」
「何かと言うか・・・またとんでもないことでも思いついたのでしょう。神威召喚を思いついた時もあんな感じでしたわ」
「そうなのか?」
「コウスケさんは、何か深く考えているときは、周りが見えなくなるのですわ。おかげで傍から見ていると、あんな感じになってしまうのですわ」
「天才と何とかは紙一重、というやつか」
 フローリアのその感想に、シルヴィアは目を瞬いた。
「天才? コウスケさんが?」
「違うのか?」
 シルヴィアは、思わず首を傾げた。
「天才、と言われれば、そう、なのかも、しれませんわ?」
 何とも煮え切らない言葉が返ってきた。
 シルヴィアの中での考助のイメージに、天才と言う言葉はしっくりきていないのだ。
「・・・・・・誰が天才だって?」
 首を傾げているシルヴィアに、考助が話しかけて来た。
 先程までソファーの上でうんうんと唸っていたのだが、今は何となく晴れやかな表情をしている。
「いえ。フローリアさんが、コウスケさんのことをそう言っていたのですわ」
 そう言われた考助は、虚を突かれたような表情になった。
「・・・天才!? 僕が?」
 思わず自分で自分を指さして驚いている。
 次いで、笑い出した。
「いや面白いこと言うね。僕が天才だったら世の中天才だらけになると思うよ」
 考助は自分が天才だなんて欠片も思っていない。
 元々持っている知識が、この世界の住人達とは根本から違うことと、[常春の庭]での経験が生きているだけだと考えている。
 特に神力の扱いに関しては、アスラからもらった左目の力と、[常春の庭]で教わったことが無ければ、触れることすらできていなかっただろう。
 そう言う意味では、いきなりこの世界に飛ばされるのではなく、[常春の庭]に魂が飛んだことは、幸運だったと言える。
 もっともそんなことは知る由もないフローリアは、首を傾げていた。
「・・・そうなのか? 神威召喚なんてしておいて?」
「あれは、僕が天才だったから出来たんじゃないよ。ちょっと特殊な事情があったから出来ただけ」
 転生のことは、コウヒとミツキ以外には、まだ誰にも知らせていない。
 いずれは語ることはあるだろうとは思っているが、今すぐ話すことでないと考えている。
「・・・・・・そうか」
 まだ納得いっていないフローリアは、そう言って頷いた。
「ところで、また何か思いついたのですか?」
 考助の表情に気付いていたシルヴィアが、話題を変えるようにそう疑問を口にした。
「うん。まあね」
 考助はそう言って、ニヤリと笑ったのであった。
またチートネタを思いついたようです。
最近すっかり主人公らしくなってきたようです(?)、たぶん、きっと。

・・・・・・異論反論は認める(by作)

2014/6/12 文章訂正
2014/6/29 誤字脱字訂正
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