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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第10章 塔に神様を召喚してみよう

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7話 色々な思惑

 アマミヤの塔で行われる神殿の落成式に関する案内は、何もミクセンの神殿だけに送られたわけではない。
 転移門が設置している他の三つの街の有力者、有力商人などにも配られていた。
 勿論、全ての有力者や商人に送っているわけではないのだが。
 アレクがこれは、という者を選んで送っている。
 塔側としては、絶対に来てもらわないと困るということは無い。
 今回の塔への招待は、あくまでも名目上は神殿の落成式なので、商業上の取引や政治的な駆け引きは無い・・・と言うことになっている。
 そんなことを信じる者は誰もいないだろう。
 アマミヤの塔が、転移門を使い外部との接触を始めてから行われる、初めての公的な行事なのだ。
 まず間違いなく塔の町の在りようを決めるものになると、招待状をもらった誰もが思うだろう。
 だからこそ、アレクはそれなりの者にしか招待状を送っていない。
 その辺りの情報は、アレクが周辺の者から確認している。
 また、ワーヒドを経由して、デフレイヤ一族が集めた情報も渡されていたりする。
 そうやって集められた情報を元に招待状が送られているのだが、その反応はさまざまである。
 共通しているのは、その日は都合を付けるか、あるいは代理人を立ててでも式典に参加するという事だろう。
 そもそもこの大陸において町の有力者たちが一堂に集まる機会など、ほとんどない。
 移動に時間がかかるうえに、モンスター襲撃と言う事故が起こりやすいためだ。
 そう言う意味でも、アマミヤの塔と言う場所で有力者たちが集まるというのは、大変意味のあるものになるのだ。
 といっても、参加者の中でそこまで考えて行動している者が、どれくらいになるのかというのは未知数である。
 ただ単純に塔の中を見てみたいという者。
 これを機に塔の中で商売を行おうと考える者。
 リラアマミヤの独占状態を何とか崩せないかと画策する者。
 塔の管理者に会えないかと期待する者。
 等々、理由は様々だった。
 その中で、リュウセンの街のライネス・クラーケンもまた、招待状をもらった者の一人であった。

「・・・・・・ふむ」
 招待状の文面を一通り読んだライネスは、その手紙を机の上に置いた後に考え込むような表情になった。
「どのような内容でしたか?」
 そう聞いてきたのは、ライネスの右腕と目されているリック・バイスターである。
 リックの問いに、ライネスは机の上の手紙をそのままリックへと渡した。
 渡されたリックは、失礼しますと一言言い置いて、手紙を読み始めた。
 といっても、文章自体は非常に短いものだった。
 半月ほど後に、塔の中で神殿の落成式を行うので、その式典に参加ください、と言った内容だった。
「どう思う?」
「・・・率直に申し上げれば、なぜ今更という感じでしょうか」
 塔の中に神殿が無いことは、周知の事実だ。
 確かに神殿が無いことを不満に思っている者が塔内にいることも掴んでいるが、そこまで急いで対応しなければならないこととは思えない。
 さらに加えて、
「わざわざ、このイベントのために有力者を集める意味がわかりません」
 勿論、そう言ったイベントがある際に、有力者たちを集める事が無いわけではない。
 むしろそういうイベントをだしにして、後ほど色々話し合いの場を持ちましょうと言うのが、普通のことなのだ。
 だが、この招待状とそこに含まれていた手紙には、そう言ったことは一切書かれていない。
「さて・・・これは完全に私の推測なのだが・・・」
 と前置きをしたうえで、ライネスは言葉を続けた。
「あちらとしてみれば、有力者を集める事だけが目的の様な気がするがな」
「?? どういう事でしょう?」
「もし塔とかかわりのある者同士の交流などを目的としているなら、事前に通達したうえで話し合いの場などを設けるだろう。だが、そう言った気配は一切ない。勿論、この後セッティングされる可能性もあるだろうがね」
「はい」
「だとすれば、今回のこのイベントは、交流会なのではなく、我々のような者達に何かを見せたい、ということではないかな?」
 ライネスの言葉を聞いたリックは、考え込むような表情になった。
 ライネスもまた、リックに対して話しながら、自分の考えをまとめていた。
 ちなみに、ライネスのこの予想は当たっていたりするのだが、残念ながら見せたい物が何かは分かっていないので、その先に関しては、予想できないのだが。
「見せたいもの・・・ですか。まさか建築した神殿ではないでしょうね」
「さて・・・流石にそれは無いと思うが・・・これ以上はこの手紙からは予想はつかんな」
 今回送られた手紙では、あまりにも情報が少なすぎるのだ。
 予想をたてるにも、これ以上はどうしようもなかった。
 手紙を見た時点で、参加することは決めているライネスだが、出来る限りの情報は集めたい。
 少なくともこの件に関しては、他に招待状を送られている者達とも話し合わないと駄目だろうと考えているのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「・・・・・・フン」
 男は今まで見ていた用紙を、机の上に投げ付けた。
 そこに書かれている文面を見て、口元を微妙に歪めている。
 その内容とは、今回行われるアマミヤの塔の落成式に、塔の攻略者が出てくるという情報だった。
 今まで一切表に出てこなかった塔の攻略者が、こういった場に出てくるという情報は、男にとって千載一遇のチャンスなのだ。
 塔の中に引きこもって、一切表に出てこない者をどうこうすることは、非常に難しい。
 少なくとも今までは、そうだった。
 だが、引きこもりを止めて、表に出てくるとなると話は別だ。
 たとえそこが塔の中であっても、姿さえ見せれば、いかようにもやり方はある、と男は考えている。
 これまでは、リラアマミヤという組織の広がりも抑えることはできなかった。
 組織というものは、トップが倒れれば、一時的にでも必ず混乱は起こる。
 その混乱に乗じて、自分の都合のいいように動かせば、あるいは動けばいいのである。
 男自身、何度もそういう事を繰り返してきたのだ。
 それ故に、今度も上手くいくと考えている。
「・・・おい。アールを呼べ」
 そばに控えていた奴隷に、男は短く指示を出した。
 すぐにその言葉に従って、奴隷が部屋を出て行った。
「・・・・・・今までは、黙ってみている事しかできなかったが・・・フフフ」
 男としても、リラアマミヤの発行しているクラウンカードの有用性は、理解できている。
 出来ることなら、組織そのものを手に入れることは出来なくとも、その発行のノウハウを手にできればと思っているのだ。
 そういった物を、自身が起こした混乱の中で手に入れることが出来れば、男にとっては非常に意味のあるものになる。
 そのことを考えると、自然と笑みが浮かんでくる男であった。
 この時点で、自身の失敗を全く疑っていない男である。
 これまで何度も同じようなことをしてきて、成功させてきたゆえの自信であった。

 ・・・だが男は、知らない。
 塔の攻略者が出てくる情報は、あえて塔側から出されているということ。
 そして、考助が行おうとしていることは、男のそう言った企みを吹き飛ばしてしまうようなものだということ。
 残念ながら予知などできない男にとっては、塔での出来事は予想外どころではないことになるのであった。
さて、考助は何をしようとしているのか。
次回以降から神殿の落成式は行われます。

2014/6/3 誤字脱字修正
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