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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第10章 塔に神様を召喚してみよう

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4話 事前準備の打ち合わせ

 管理層へ戻る前に、ワーヒドのところへ寄って、先ほどアレクへ話した内容をそのまま話した。
 ちなみに、立場的にはワーヒドは、アレクより上ということにしている。
 通常のギルドは行政府からは独立した組織となっているため建前上は、上下関係は無い。
 とは言え、そんなことを信じている者は誰もいない。
 通常は組織としての規模から見ても、ギルドが行政機関を超えることはまずありえない。
 だが、こと塔にある町の行政府とクラウンに限って言えば、その限りではない。
 急速に発展しているとはいえ、第五層の町はまだまだ発展途上である。
 対するクラウンは、冒険者部門に限らず、商人部門でも元から存在しているギルドをのみ込んで、規模が大きくなっている。
 結果として、人・物・金、全てにおいて、今のところはクラウンの方が、行政府より上回っているのである。
 とは言え、一組織であるクラウンの権限が、行政府よりも上回っても碌なことにならない。
 そのためにクラウン統括の立場は、代官であるアレクより下、と言うことになるのだが、ワーヒドは考助の代理人という立場も取っている。
 雇われ代官であるアレクよりも、考助の代理人であるワーヒドの方が立場としては上であることは、変わっていないのだ。
 非常にややこしいことになっているが、あくまでも第五層は塔の中なので、管理者としての権限を持っている者が、立場として優位にあると言うことだ。
 塔の中においては、管理者>行政府≧クラウンという図式になっている。
 考助としては、そんなことをわざわざ決めなくても、と思ったのだが、こういう事はきちんと決めておかないと、何かあった時に動けなくなると、各方面から言われてしまったので、きちんと決めたのである。

 というわけで、アレクに話したことをワーヒドに何も話さないのはまずいので、ワーヒドにもきちんと考助が直接話したという形を取った。
 アレクもワーヒドもそんなことは気にしないだろうが、この場合は周りがどう感じるかが大切なのである。
 考助としては、めんどくさい、の一言なのだが、これも今後第五層をきちんと管理していく上で必要なことなのだと割り切っている。
 ちなみに、こういうあれこれが、考助が第五層から足が遠のく理由にもなっていたりする。
 ともかく考助の話を聞いたワーヒドは、考助の案にすぐさま同意した。
「神殿のことについては、いずれお話ししようかと思っていました」
 ワーヒドがこう言ってきたので、そろそろ表面化しそうな問題だったのだろう。
「そうなんだ。まあ、ともかく今言った方法で何とかしようと思うけど?」
「ええ。その案が実行されれば、問題の大半は片付きます」
「それはよかった。他にも何かない?」
「いえ、特には。各部門の統括達がよく動いてくれてますので、クラウンとしてはほとんど問題がありません」
 ワーヒドがそう言ったときに、その統括達がぶーぶー言ってきたが、ワーヒドは華麗にスルーしている。
「うーん・・・何か色々言いたそうだから、いっそのことワーヒドと立場代わってみる?」
 考助が冗談交じりにそう言ってみると、統括達がピタリと黙った。
 結局のところ、ワーヒドが一番大変な思いをしていることは、よくわかっているのである。
「まあ、いいや。それじゃあ、準備は頼んだよ?」
「わかりました。皆を集めて、話し合いをします」
「その辺は任せるよ」
 考助はそう言い置いて、今度こそ第五層から管理層へと戻ったのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 考助が去ったクラウン本部では、ワーヒドが集めた者達が揃っていた。
 クラウン側は、ワーヒドを含めた統括達に、部門長が出席。
 行政府側は、アレクとその部下たちが揃っている。
 現在の第五層を管理しているメンバー達だ。
 そこで改めてアレクとワーヒドから考助の案が、発表された。
 統括達を除く残りの者達は、その話を聞いて絶句している。
「ああ、改めて言わなくても分かっていると思うが、実行されるまでは他言無用だ」
「下手をすれば、神の怒りを買うかもしれませんから、わざわざ言うまでもないでしょうがね」
 アレクとワーヒドの言葉に、そこにいた全員が神妙に頷いていた。
 アレクの部下の一人が、ようやく立ち直ったのか恐る恐る聞いてきた。
「いや、しかしその・・・本当にそんなことが可能なんでしょうか?」
 もしこれから考助がやろうとしていることが出来れば、恐らく歴史上初めてのことになるだろう。
 成功すれば、間違いなく考助は歴史に名を残すことになる。
 それほどのことを考助は実行しようとしているのだ。
「さて、どうだろうな。・・・だが、私が話を聞いたときは、なぜか彼が失敗するとは思わなかったな」
 こういったのはアレクである。
 考助から話を聞いたときは驚きはしたが、失敗するとは思わなかった。
 話の内容が内容なだけに、立場的に念を押すことは忘れなかっただけだ。
 何とも不思議な感じだったのだが、こればかりは感覚的な物なので、他の者に上手く伝えることが出来ない。
「とは言え、絶対と言うことはあり得ないから、失敗することも含めて前準備を進めておきたい」
 アレクの当たり前といえば当たり前の意見に、全員が頷いた。
「普通であれば、絶対出来ないと思うはずなのに、彼ならば・・・と思ってしまうのが不思議な所ですね」
 苦笑交じりにそう言ったのは、シュミットである。
 何気にこの中でシュミットは、考助との付き合いが長い方に数えられる程になっていた。
 そのシュミットの言葉に、考助と直接面識がある者達が、頷いている。
 まだ考助との付き合いが短いアレクの部下たちは、不思議そうに首を傾げていた。
「・・・そうなんですか?」
「まあ、お前らがそう思うのも無理はないな。俺だってお前たちと同じ立場だったらそう思っただろうさ」
 そう言ったのはガゼランである。
「何というか・・・普段はごく普通の青年、と言う感じなのに、いざと言うときは凄まじい力を発揮しますからね」
 ダレスの言葉が、主だった者の現在の考助に対する評価になっていた。
 神能刻印機一つとっても考助の功績は、大きすぎる。
 今はまだクラウンカードの方に注目が行っているが、それもすぐに神能刻印機の方に目が向くだろう。
 実際目端の利く者は、神能刻印機のことに注目している。
 その製作者に、注目が集まるのも時間の問題だ。
 残念ながら量産できるものではないので、今まではさほど製作者自身に注目が集まっていなかっただけだ。
「お前らも与しやすいと勘違いしないようにな」
 ガゼランの忠告に、アレクの部下たちは一応頷いていた。
 考助との交流が少ない彼らにしてみれば、こういう対応になってしまうのも分からなくはない。
 だからこそ、ガゼランもそれ以上は何も言わなかった。
 その役目は、直接の上司であるアレクの役目だ。
 そのアレクは、考助の力の一端を先程聞かされたばかりだ。
 ついでに言えば、ミツキのこともある。
 わざわざ虎の尾を踏む気にはならない。
 そのアレクが上に立っていれば、馬鹿なことを考える者も出ないだろう。
 もし出たとしても間接的に考助に叩き潰されるだけである。
 勿論直接出張ってくるのは、コウヒやミツキになるだろう。
 そのことが分かっているので、クラウンの重役たちも何も言わないのだ。
 まあそんなところまで行く前に、アレクが押さえつけるだろうが。
 アレクとて、伊達に第三王子をやっていたわけではないのである。
 結局のところは、アレクの人の見る目は確かで、今後も馬鹿なことを考える者は出ないのであった。
・・・最近なろうの管理ページが非常に重いんですが、自分だけですかね?
修正作業に時間がかかります><

2014/6/27 誤字脱字訂正
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