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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第10章 塔に神様を召喚してみよう

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2話 引き取り

 事後承諾と言う形になってしまったが、フローリアを管理層へと保護することを他のメンバーへと話した。
 先に了承をもらっていなかったので、考助としては負い目を感じていたのだが、特に反対意見が出るわけでもなく了承された。
 考えてみれば、それぞれのメンバーを迎え入れるときも、特に同意などしてもらった覚えがない。
 シュレインの時はともかくとして、シルヴィア、コレット、ピーチは、考助が連れてきて、そのまま居ついたというパターンだった。
 ピーチに関しては、シュレインが関わっているので、そのパターンに当てはまるかは微妙な所だが。
 そういうわけで、一応とは言えフローリアを迎え入れる準備は整った。
 約束の日にちまではまだあるので、その間は普段通りの活動をして過ごしたのである。

 シルヴィア経由でフローリアの準備が整ったことを聞いた考助は、すぐに第五層へとむかった。
 今回連れて来たメンバーは、コウヒとシルヴィアである。
 コウヒが来たのは、考助の護衛であり、シルヴィアが来たのは、フローリアと同じ<加護>持ちだからだ。
 第五層へと来た考助たちは、アレクの屋敷へ向かった。
 そこで落ち合うことになっているのだ。
 アレクの屋敷へ着いた考助たちは、すぐに応接室へと通された。
 そこには、既にフローリアとアレクが待っていた。
「あれ? アレクさんもいらしてたんですか?」
 その考助の言葉に、アレクは苦虫を噛み潰したような顔になった。
「もう二度と娘に会えなくなるかもしれないのに、最後ぐらいは一緒にいてもいいだろう?」
 予想外なその言葉に、考助は思わず絶句してしまった。
「・・・・・・・・・・・・はっ!?」
 考助のその様子に、フローリアとアレクは戸惑った表情になっている。
「いや、フローリアがずっと管理層に保護されるとなると、そういう事もありえると聞いているのだが?」
「いやいや。ちょっと待って。そんなことをするはずがないでしょう? いったい誰からそんな話を・・・って、聞くまでもないか」
 フローリアの顔を見て、犯人を察した考助である。
「・・・・・・スピカ神から、どんな風に話を聞いたの?」
「まずは、私にとってはここも安全ではないということだな」
「うん」
「このままでは、命に関わることになるので、コウスケに匿ってもらうといいと」
「・・・それで?」
「一度匿ってもらうと、外には出れなくなるかもしれないので覚悟するようにと仰っていた」
「・・・・・・」
「ついでに、過酷な生活もあり得るとも聞いたな」
「どこの悪徳商人だよ・・・!?」
 思わず突っ込んでしまった考助である。
 その考助の言葉に、フローリアとアレクは、キョトンとした表情になっている。
 考助の横で話を聞いていたシルヴィアは、必死に笑いを堪えていた。
「・・・あー・・・一応聞くけど、その話誰から聞いたの?」
「勿論、スピカ神の神託だが?」
 なんちゅう『神託』をしてくれるんだ、と思った考助だ。
 その考助の表情を見て、流石にアレクが気づいたのか、
「・・・・・・我々は、とんでもない誤解をしていたのか?」
 アレクのその言葉に、考助は頷いた。
「神託がどういう風に授けられるかはわかりませんがね。そんなことをするはずがないでしょう?」
「・・・・・・そうなのか?」
 不思議そうな顔をしてこちらを見てくるフローリアに、考助はわざとらしく大きなため息を吐いた。
「まあ、ここにいても危険に晒される可能性があるということは、頻繁に来るわけにはいかないよ。でも、流石に一生会えないなんてことは無いと思うよ?」
 考助の言葉に、今まで相当思い詰めていたのか、アレクとフローリアもまた大きくため息を吐いた。

 三人の会話を聞いていたシルヴィアが、アレクとフローリアに釘を刺してきた。
「スピカ神の神託で、そのお言葉を大袈裟に捉えたということもあるのでしょうが、だからと言って油断はできませんわよ?」
 アレクとフローリアの視線が、シルヴィアの方を向いた。
「どういう事かな?」
「スピカ神が仰るには、ここにいたら必ず危険に晒されるということですわ」
「・・・そうだな」
「と言うことは、貴方がここにいても危険に晒すことが出来る伝手を相手か組織が持っている、と言う事ですわ」
 シルヴィアが言いたいことを、アレクが察してため息を吐いた。
「迂闊に姿を見せるわけにはいかないという事か」
「そうですわ。だからこそ、管理層に匿うのでしょう? あそこならば、限られた者しか来れませんから」
「・・・具体的に誰が、と言うのは聞けないんだろうな」
 アレクが確認するように、考助の方を見た。
「すみません。こちらの安全にも関わりますので。・・・ただ、さほど多くはないとだけ言っておきます」
「・・・なるほどな」
 さすがのアレクも、それ以上は聞き出そうとはしなかった。
「と、言うわけですから、貴方が管理層からここに出てこれるのは、確実に大丈夫と分かっている時だけですわ」
「スピカ神の言い分もあながち間違っていないというわけか」
「いえ。それは単に、貴方の神託の受け取り方が未熟なだけですわ」
「・・・・・・どういうこと?」
 考助が不思議そうに、シルヴィアに聞いた。
「神託とは、コウスケさんの創った神具の様に、神々の言葉を直接聞くようなものではありません。たくさんの言葉が詰まった塊を、神から一気に受け取るとイメージしてもらうといいですわ」
 考助は、それを聞いて、パソコンが圧縮されたデータを受け取った時のようなイメージをする。
「それを受け取るのは人間ですから、それを解きほぐして、人が理解できる言葉に変換するのが必要なのですわ」
 前の例で行くと、圧縮データを人間が解凍しているという感じだ。
「ああ、その段階で伝言ゲームみたいに言葉が書き換わったり、抜け落ちたりしてしまうと?」
「そのように理解するのがよろしいですわね」
 シルヴィアの説明に、考助はようやく納得したように頷いた。
「あれ? でもそれにしては、よく今日来るってことが間違わずにきちんと理解できているね?」
「いえ。本来の予定とは、ずれていたのかもしれませんわ。ただ、そのことは当然スピカ神には分かっているので・・・」
「ああ、ずれた予定のままこっちに伝えたのか」
「まあ、ずれていたかどうかは、実際に神託を受けたわけではないのでわかりませんが」
 考助とシルヴィアは、何の気なしに会話をしていたが、それを聞いていた二人はそれどころではなかった。
「・・・何か、非常識なことを聞いた気がするのだが」
「奇遇だね、フローリア。私も聞き逃せないことを聞いた気がする」
 親娘は、一度顔を見合わせて、考助達の方へと向き直った。
「「コウスケ(殿)が創った神具?」」
 その二人の言葉に、シルヴィアがあっさりと交神具を見せた。
「これですわね。私はこれを使って、エリサミール神と直接交神することが出来ますわ」
 あっさりと告げられた内容に、親娘が言葉を失った。
 それを見た考助が、首を傾げつつシルヴィアの方を見た。
「ずいぶんとあっさりと言っちゃうんだね?」
「この神具に関しては、ミクセンの神殿でも把握しているし、加護に関してもある程度の推測はされているでしょうから」
「なるほどね」
 シルヴィアの言葉に、アレクが反応した。
「・・・待て。神殿が把握しているのに、動いていないと?」
 アレクの言葉に、シルヴィアと考助が互いに苦笑した。
「動いてないわけではないですわね」
「むしろ、藪をつついて蛇を出したって感じ?」
 二人の微妙な言い回しに、アレクはミツキのことを思い出した。
「・・・・・・まさか・・・」
「そのまさかですわ。あの時はコウヒさんでしたが。しかも完全に虎の尾を踏んでいましたわ」
 そのコウヒが目の前にいるのに、シルヴィアが軽い調子でそう言った。
 思わずフローリアとアレクは、コウヒの方を見たが特に変わった様子は見せなかった。
 アレクは、思わず神殿関係者に同情したくなったが、グッと我慢した。
 流石のアレクも、二度と同じような失敗はしたくないのであった。
2014/5/29 おかしな表現を訂正
2014/6/27 誤字訂正
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