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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第12部 第1章 引っ越し

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(9)原因判明

 一旦塔の管理層に戻るかどうかを二日ほどアレクの屋敷で悩んでいる間に、レオナルドからの返答が来た。
 この速さは、体面や手続きを重んじる王家ではありえないほどの速さで、レオナルドがどれほど今回の件を重視しているかがわかる。
 勿論、マクシム国王の体調が芳しくないため、早く結論を出した方がいいということもあるのだろう。
 しかも、フローリアの連絡もしっかりと届いていたのか、神獣であるならば連れてきても構わないと記されていた。
 神獣だけに限っているところは流石といえるが、連れて行く場所と相手のことを考えれば当然の措置ともいえる。
 病人がいる所で、万が一にも従魔が暴れ出したなんてことになっては、王家の面目が失うどころの話ではなくなってしまうのだ。
 ついでに、部屋にいる主がその国の主となれば、それくらいの配慮は行って当然だった。
 レオナルドとすれば、出来る限りの万全の対応を下と言っていいだろう。・・・・・・普通の常識で考えれば、だが。

 レオナルドの直筆の手紙をフローリアから見せられた考助は、戸惑った様子でフローリアを見た。
「ええと・・・・・・? これって神獣ってなっているけれど、狼、狐、スライム、どれを連れて行ってもいいってことかな?」
 考助にとっての神獣とは、進化種ではないそれら三種も含まれている。
 そのため、レオナルドが書いている通りにするとすれば、どの個体を連れて行ってもいいということになるのだ。
 そう聞いて来た考助を、フローリアはギロリと睨んだ。
「それは勿論、冗談だろうな?」
「当たり前じゃない」
 フローリアの言葉に、考助は肩をすくめながら答えた。
 いくらなんでも、大量の眷属を連れて行くつもりは考助にもない。

 ふたりのやり取りを笑って見ていたシルヴィアが、睨むフローリアを宥めるように割って入った。
「それで、誰を連れて行くのですか?」
「それは勿論、ナナとスーラかな? 本当は、ワンリは話が出来るからいいんだろうけれど、あまり人前で堂々と見せるのも違う気がするし」
 現状、狐が人化するというのは、あくまでも噂レベルでしかない。
 実際に考助がワンリを連れて行って、人化するところを見せてしまえば、あっという間に話が広まってしまうだろう。
 勿論、考助が口止めをすれば王家の者たちは誰にも話さないだろうが、それとこれとは話は別だ。
 これには考助の「隠しておきたい」といういたずら心のようなものもある。

 考助が言った名前にワンリが無かったことに一瞬だけ眉をひそめたフローリアだったが、それには特に言及せずに頷いていた。
「それくらいであれば大丈夫だろうな。それに、スーラは他には見えないように連れて行くのだろ?」
「そうだね」
 フローリアの予想に、考助も同意した。
 スーラは完全に考助の懐の中に入った状態で移動することが出来るので、少なくともマクシム国王がいる部屋までは、誰にも見られずにすむ。
 入る前に身体検査などあれば別だが、流石にフロレス王国には、現人神に対してそんなことをするような者は誰一人としていないのだ。

 考助の答えを聞いたフローリアは、少しだけ考えるような顔になって頷いた。
「なるほど。それならそのように返答しておこう」
 レオナルドが伝えて来た面会日までは、まだ二日ある。
 その前に考助がどの眷属を連れて行くのか伝えるのは、重要なことだろう。
 フローリアは、スライムに関しては、敢えて具体的には書かないように配慮するつもりだ。
 それが吉となるか凶となるかは、そのときになってみないと分からないが、こういうときの考助には変に逆らわない方がいいと、フローリアは経験的に知っているのである。
 勿論、時には考助の無茶を諫めることもするのだが。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 レオナルドの手紙を受け取ってから二日後、考助たちは予定通りにナナとスーラを連れて、王の私室へと向かった。
 今回はレオナルドだけではなく、最初からミリアムもいた。
 それだけ今回の件が、ふたりにとっては重要であることを示している。
 あるいは、ごくわずかとはいえ、国王の現状を変える可能性もあるのだから、期待するのも当然だろう。

 ちなみに、堂々とナナを連れている考助を見たミリアムは、初めはギョッとした表情になっていた。
 これは別に、考助が眷属を連れて行くことを知らなかったわけではなく、魔物に分類される狼がいることに、反射的に驚いていたのだ。
 いくら従魔がいる世界とはいえ、見慣れていない者も多くいるので、考助にとっても慣れた反応だった。
 当然だが、それを咎めるつもりは考助にはない。

 
 間を開けない訪問にもかかわらず、マクシム国王は以前の時と同じような笑みを浮かべて考助たちを受け入れた。
「よく来てくれました。まさか、また会えるとは思っていませんでしたよ」
「そのようなお身体にも関わらず、お騒がせして申し訳ありません」
 フローリアがそう言って頭を下げると、マクシムは声を出して笑った。
「いやいや。こちらこそ中々興味深い話を聞かせてもらって、楽しかったよ。いや、その楽しみはこれからが本番なのだろうがね」
 そう言ったマクシムの顔は、何か隠し事をしているようには見えなかった。
 勿論、王という立場にある以上、表情を隠すことなど朝飯前だろうが、それでも体調のことを考えれば、その言葉は真実のように思えた。
 要するに、マクシム国王もこの部屋に、癒しの力があるなんてことは、知らなかったということだ。

 マクシム国王の言葉を受けて、フローリアは頷いたあとに考助を見た。
「マクシム王。少しだけ騒がしくなりますが、ご容赦ください」
 考助がそう言うと、王家の面々は疑問符を浮かべていた。
 王家の面々は気付いていないようだが、考助はこの部屋に入った瞬間、ナナが落ち着きをなくしていたことに気が付いていた。
 それはシルヴィアやフローリアも同じだろう。
 ナナは、常にどこかを気にするように、意識を向けていたのだ。
 それが意味することは、少なくとも考助たちにとっては明白である。

 マクシム国王が頷くのを確認した考助は、うずうずと我慢しているようにも見えるナナに指示を出した。
「ナナ、それからスーラも。追いかけていいよ。殺さないでね」
 考助がそう言うと、足元にいたナナがまず動き、懐に入っていたスーラがパッと飛び出した。
 そこからは二体(?)の眷属の独壇場だった。
 まず、スーラが国王が半身を起こしているベッドの下に潜り込むと、反対側から何か(・・)が飛び出してきた。
 それを待っていたかのように、ナナがその何か(・・)に向かって飛びつき、ひょいと腕を伸ばす。
 そして、ナナがシタッと地面に着いたときには、右側の前足でその何か(・・)をハシッと押さえていた。

 その一瞬の出来事に、王家の面々は言葉もなく、ただ驚きを示していた。
 彼らの様子を気にしつつも、考助はナナとその足元に向けて言った。
「潰さないでよ。それから、君も別に倒そうと思っているわけじゃないから、逃げないでね」
 考助がそう言うと、ナナに抑えられていた一体のスライム(・・・・)がピタリと動きを止めた。
 見ればスーラが近付いていたので、彼女から何かを言われたのかもしれない。
 流石にそれはただの推測でしかないのだが、大きくは外れていないだろうと考助は考えている。

 動きを止めたスライムに安心したのか、ナナはゆっくりと乗せている足を外した。
 すると、考助の言葉が通じているのか、スーラがいるお陰なのか、そのスライムは先ほどのように逃げるわけでもなく、ジッとその場にとどまるのであった。
スライム登場!

というわけで、答えはスライムでしたw
本当は別のモンスターでも出そうと思ったのですが、誰にも気付かれずに存在できるのはやっぱりスライムかなと思った次第です。
どういうわけでこんなことになっているのかは、次話でw
+注意+
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