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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第1章 塔に向かおう

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(9)塔の話

よろしくお願いします
 リュウセンに着いてから14日が過ぎた。
 その間考助たちは、公的ギルドのランクを上げるために依頼をできるだけ数多く受けた。
 結果、本日めでたく「永遠の旅路」のランクはDランクへと昇格した。
 考助の心境としては、コウヒ&ミツキのチート乙、という感じである。
 Eランク程度の魔物で二人が遅れをとるはずもなく、二手に分かれて依頼をこなしていた。
 一つは依頼を数多くこなすためコウヒかミツキのどちらかで行い、もう一つは考助育成チームで、考助とコウヒかミツキのどちらかを加えた二人パーティである。
 どう考えても考助自身が強くならないと、この先何が起こるかわからないのでダメであろうということで、考助自身が提案した。
 コウヒとミツキも特に反対するでもなく考助育成が行われることになった。
 結果以下のようになった。

 固有名:考助コウスケ
 種族名:人族?
 固有スキル:短刀術LV3、回避LV3、隠密LV5、察知LV5、魔法陣LV5(召喚術LV5)
 天恵スキル:神の左目、眷属調教(眷属成長アップ+眷属作成+眷属指示)
 称号:女神の??(未開放) エリス(天女)の??(未開放)

 考助には常にコウヒかミツキがついている。
 そのため咄嗟のときに一撃で殺されないようになればいい、という二人の方針で鍛えられた結果である。
 リュウセンに来てから考助は、ちょくちょく色々な人のステータスを確認していた。
 その結果、割合的にスキルでLV5を持つものはかなり少ないということが分かっている。
 隠密と察知が高いのは、必死になって先生役のコウヒかミツキのどちらかから隠れ回っていたおかげだ。
 また魔法陣スキルに関しては、召喚をつかえたほうがコーを呼ぶことができるので便利だからという理由で教わった結果だった。
 どうにも偏っている気がしなくもないが、コウヒとミツキが満足げなので、考助は考えないようにしていた。
 ちなみに、たった二週間でここまでレベルが上がったのは、教師役の二人のおかげだと考助は考えている。
 というわけで、こと生き残るということに関しては、特に問題ないレベルにはなったはずである。
 ギルドランクもDランクになることだし今後のことをどうしようかと考えてたときに、この世界へのかかわり方に関しての重要な情報がちょうどいいタイミングで考助の下へ入ってきた。

 ギルドランクがDランクになった日の次の日の夜。
 ささやかながらお祝いのパーティーが開かれていた。
 発案者はゴゼンだった。
 たまたま昨日宿でゴゼンと会った際に、Dランクになったことを言ったらパーティーに誘われたのだ。
 ゴゼン自体はソロのパーティだが、長年リュウセンを中心に冒険者をやっているらしく、本人曰くそれなりに顔が利くそうで、別のパーティのメンバーが呼ばれていた。
 考助たちは三人が出席。ゴゼン側は、ゴゼンの他に男性二人と女性一人の三人が呼ばれていた。
 それぞれ順にクリーク、ギン、アイーネと紹介された。
 三人は皆パーティのパーティリーダーをやっているそうである。それだけでなく、アイーネに至っては近くギルドを立ち上げることを予定しているそうである。
 会話がすすむにつれて、考助もパーティーが開かれた理由が分かってきた。
 早い話が自分の陣営への勧誘、それが無理だとしても顔を繋いでおきたいということだろう。
 たった二週間でDランクへ駆け上がった「永遠の旅路」は、コウヒとミツキの美貌も相まって冒険者たちの間でそれなりに有名になってきていた。
 なんどか直接的に、コウヒとミツキが誘われたりもしているが、二人はその全てを断っている。
 そういうわけで、この席が設けられたのだろう。
 だが、時がすすむにつれて、三人とも勧誘から顔つなぎの方へシフトしつつあった。どう考えてもコウヒとミツキは考助から離れることはないと理解できたのだろう。
 しかも考助は「永遠の旅路」を解散するつもりはないとはっきり言っている。
 無理に勧誘するよりは、友好的な関係を築いた方がいいと判断したのだろう。
 時に賑やかに、ある時は有益な情報が飛び交い、お祝いパーティーがすすんでいく。
 そんな中、ゴゼンのある言葉が考助の耳に入ってきた。

「しっかし、お前さん達ならいずれ塔を所有するなんてこともあったりしてな」
 結構な酒が入った会の終盤、ゴゼンとしては会話のネタとして冗談として話したのだろう。
 事実、クリークら三人もジョークの一つとして笑って聞いていた。
 それを聞いて、考助は疑問に思ったことを聞いた。
「所有? 塔って個人で所有できるんですか?」
「なんだい。知らなかったのかい?」
「塔はね。最初に最上層を攻略できた者が所有できるってのが、昔からの決まりなんだよ」
「まあ残念ながらセントラルの塔は一つも攻略されたためしがないんだがね」
 今まで知らなかった情報に、考助はふと気になったことを聞いた。
「塔は国家が所有するものだとばかり思っていました」
「ああ。それは話が逆でね」
「逆?」
「塔を攻略できるような強者や英雄が、のちに国家の王になったりするってのが正しいのさ。なんせ塔から得られる利益は莫大なものになる」
「なるほど。そういうことですか」
「まあ、そんなわけで、このセントラルにある塔も当然その対象にされたが・・・」
「いまだそれを果たしたものは、いないというわけ」
「なんせここの塔は、たどり着くだけでも一苦労だ。そこから先、さらに塔を攻略するってのはねぇ・・・」
 ある意味、セントラルに存在する全ての冒険者の夢でもあるのだろう。
 塔攻略のためにわざわざ他の大陸から渡ってくるものもいるくらいだ。
 それどころか、大陸の国家が過去何度か大軍で攻略に乗り出したりもしているが、結果として一度も成功したことがないのだ。
 ヒューマン含む人類種がセントラルに上陸して以来、塔の攻略は一つの大きな目標となっている。

 その後、特に何事もなく会がお開きとなって、考助たち三人は借りている部屋へと戻ってきていた。
「それで? われ等が考助様は、本気で目指すのかしら?」
 部屋のドアが閉まってミツキの最初の言葉が、これである。コウヒも口には出していないが、同じことを聞きたそうにしている。
 やっぱり二人には隠し事はできないと思う考助だった。
「・・・どうかなぁ。まだ決めかねてるというのが、本音かな。攻略されていないということは、何が出てくるかわかってないということだし。そもそも戦力二人だけでどうにかできるとも思ってないよ」
「攻略できるなら攻略したいと?」
「そりゃあね」
「・・・なぜ?」
「僕らはどうやったって今後目立って行くからね。かといってこそこそ過ごすのもなんか違う気がするし。だったらいっそのこと拠点として使えないかなーって思ってね」
 塔のある場所が場所だけに、どこかの勢力に組み込まれるよりよほど面倒がなさそうなのだ。
 どうせ目立つなら、確実に安全性が保障されている場所に拠点がある方がいい。そういう意味では、塔を所有してしまうというのは、考えの一つとしてありだろう。
 拠点として使えるかは、塔がどういうものかわからないと判断しようがないのだが。

「では、塔を攻略することを前提として考えてみましょう」
 悩む考助に、コウヒが提案してきた。
「まず、塔までの移動に関しては特に問題はないでしょう」
「そうね。コーたちがいるからね。他の人たちよりは、よほど楽に着けるわね」
「次に塔そのものについてですが、これは結局のところ攻略してみないと分からないというところでしょうか」
「・・・そうだね。攻略どころか到達すらほとんどされてないみたいだから、情報もほとんどないだろうし」
 結局のところ塔に関しては、何もわかっていないというが現状だ。
 塔の所有を目指すということは、何が起こるかわからない未知の場所へ踏み込むしかない。
(別に塔に限らず、未踏の地を目指すというのは危険はつきものか)
「・・・まあとりあえず、酒も入っていることだし今すぐ結論出すのはやめようか。明日までにきちんと考えるよ」
「わかりました」
「は~い」

 翌日。
 危険だと判断した場合は、すぐに逃げ出せる状況を確保したうえで、塔の攻略に本格的に乗り出すことに決めたのだった。

 結果としてその決断が、後の世界に大きな影響を与えることになるとは、この時この世界の誰も考えてはいなかった。
ちなみに考助はコウヒとミツキが仲間になった時点で、この世界で目立たないように生きていくのを諦めていますw

次話投稿は翌日20時投稿予定

2014/6/3 誤字修正
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