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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第12部 第1章 引っ越し

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(2)身内への説明

「――というわけで、セントラル大陸のどこかに眷属たちと一緒に住むことにしたんだ」
 一通り話を終えた考助は、最後にそう締めくくった。
 話の中でアスラの事はぼかしながら、他の神からの提案ということで話をしてある。
 話を聞き終えた一同は、納得の表情を浮かべていたり、驚いたままだったり、様々な反応を見せている。
「なるほど。これも世代交代の一環か?」
 すぐにその意図を察してそう言ってきたフローリアに、考助が頷いた。
「そういうこと。といっても、塔の権限を変えるわけじゃないし、転移陣ですぐに行き来できるようにするけれどね」
「要は、普段住む場所を変えるということじゃな?」
 シュレインがそう聞いてくると、考助はコクリと頷いた。

 考助がこれほどまでに世代交代にこだわっているのは、やはり転生前の感覚とこの世界の在り様として、神が直接人と関わってはいけないという思いがあるためだ。
 以前からそう考えていたので、アスラの申し出は、考助にとっては渡りに船だったのだ。
 あるいは、自分のその考えを見抜いたうえで、あんなことを言い出したのかもしれないと考助は考えている。

 考助の話がアスラからのものだと察していた嫁たちは納得の顔になっているが、一方で子供たちは突然のことに驚きの顔になっている。
 その中で、トワがあることが気になって、考助に問いかけた。
「引っ越す場所はセントラル大陸ということですが、具体的にはどのあたりになるのですか?」
「いや、実はまだよくわかっていないんだよね。場所は向こうで用意すると言っているから」
 住む場所を作るには人手がいるだろうと考えてのトワの質問だったが、予想外の回答を得て言葉を失っていた。
 トワとしては、てっきり転移門でも設置して、そこから人を送り込んで家を作ると思っていたのだ。
 あるいは、以前考助が塔の中で行ったように、自ら新しい家を建てるといったところうだろうか。
 まさか、神々が直接建物の建築に関わるとは、まったく考えていなかった。

 トワとは別の意味で衝撃が強かったのか、ココロが再び驚きの顔になっていた。
「まさか、神々が直接この世界に建物を建てるとは・・・・・・」
「別に珍しい話ではないですよね? 建物の神威物も世界にはたくさんあるのですから」
 ココロとは対照的に、シルヴィアが落ち着いた様子でそう言った。
「そうですが・・・・・・い、いえ! そんなことはありません! だって、数百年は神威物の建物は見つかっていないじゃないですか!」
 最初はシルヴィアの言葉に流されたかけたココロだったが、慌てて普通ではないと主張しだした。

 そんなココロに、シルヴィアがごく当たり前だという調子で答えた。
「ココロ。コウスケ様が関わっているのですよ?」
 恐ろしいことに、シルヴィアのたった一言でココロは黙り込んでしまった。
 それを見て、一体どういう認識でいるのかと問いただそうとした考助だったが、ひとつの大陸に自分の神域を創りだしてしまっているのだから説得力がないと考えて、やめておいた。
 これでも多少は、考助も成長しているのだ。
 ・・・・・・ときどき(?)忘れてしまうことがあるだけで。(by考助)

 そんな考助の妄想はともかくとして、なんとも妙な雰囲気になってしまった空気に、シュレインがクスクスと笑いながら言ってきた。
「まあ、考助のことは、いまは横に置いておいていいじゃろ。それよりも、その建物の管理はどうするのじゃ? まさか、コウヒとミツキだけに押し付けるわけではあるまい?」
 そのシュレインの問いかけに、考助が答えるよりも早くコウヒが反応した。
「メイドゴーレムがいますから、それは大した問題ではありません」
 メイドゴーレムは、コウヒとミツキの手によって何度もバージョンアップしている。
 そのお陰で、ひとつの作業に特化させれば、特に問題なく労働者として使うことができる。
 例えば、今回の場合でいえば、屋敷の管理とすれば作業範囲が多すぎて一体のメイドゴーレムで対応するのは不可能だが、掃除だけと命令していれば可能になる。
 そうやって個別の指示を与えたメイドゴーレムをいくつか作れば、屋敷の管理程度は過不足無く行える。

 コウヒがメイドゴーレムを使うと言うと、ミアが少しだけ驚いた顔になった。
「そうなんですか? てっきりワーヒドさんたちを使うのかと思っていました」
 クラウン統括という表舞台から引退をすることになっているワーヒドたちは、今後は管理層に住むことになっている。
 ミアは、その流れでそのまま新しい屋敷を管理させると考えていたのだ。
 そのミアの言葉に、考助は首を左右に振った。
「いや。最初はそう考えていたんだけれどね。ふたりから止められたんだ。どうせだったら新しい屋敷に行けるメンバーは少数にした方がいいってね」
 考助がそう言うと、コウヒとミツキに視線が集まり、そのふたりは同時に頷いた。

 考助は、以前から管理層から通じる自分の神域を作ったりして、いざという時の安全領域を用意しているが、今回の建物もそうした場所にした方がいいとふたりは申し出たのだ。
 それに、アスラが用意する建物であれば、外部からの侵入者も防げるように作るだろう。
 この世界の最高神が用意する建物が、安全性に不安が出るはずもない。
 それに、管理層から新しい建物に直接行くための方法は、塔の転移門ではなく、考助が用意した転移陣を使うつもりでいた。
 それであれば、使える人を限定することができるし、なにか問題が発生してもすぐに対処ができるのだ。

 考助の身の安全のためだと言われれば、他の者たちはなにも言うことができない。
 こと考助の安全に関しては、コウヒとミツキに敵う者は誰もいないのだ。
「新しい場所に行けるのは、限られたメンバーってことね?」
 コレットの問いに、考助が頷いた。
「うん。具体的には、僕が作ったプライベートエリアと同じメンバーにしようと思ってるよ」
 考助のプライベートエリアは、もともと女性陣に言われて考助が作ったものだ。
 その中には、考助、コウヒ、ミツキ、シュレイン、シルヴィア、コレット、ピーチ、フローリアの八人しか入ることができない。
 ワーヒドたちを抜かせば、本当の意味での初期メンバーといえる。

 考助が新しく定住することになる場所が非常に限られた者たちしか入れないと知った子供たちは、なんとも微妙な表情になった。
 それを確認した考助は、苦笑を返した。
「なんて表情をしているの。別に今生の別れというわけじゃあるまいし。というか、別に新拠点に入りびたりになるというわけじゃないからね?」
「そうなんですか?」
 代表して問いかけて来たトワに、考助は頷き返した。
「当たり前じゃないか。だって、こっちには生まれたばかりのシュウだっているんだよ? それを放置するわけないじゃない」
 シュウに限らず、他の子供たちと一切の連絡を絶つつもりはない。
 というよりも、そんなことは考助の方がお断りだ。
 今回の件は、考助にしてみれば、あくまでも新しい拠点が増えるというだけのことだ。

 子煩悩な一面があることを誰よりもよく知っている子供たちは、考助の言葉に安堵の表情を浮かべた。
 それを見るだけで、新しい拠点のことをどう考えていたのかがよくわかるが、考助は敢えてそれ以上はなにも言わなかった。
 それは、十年二十年という単位で見れば、いま言った通りのことになるのだが、百年二百年という単位で考えた場合にはどうなっているかはわからないためだ。
 もっとも、そんな先の未来には、これからできる新しい拠点さえ引き払っている可能性もあるのだが。
 それはともかく、いまのところはあくまでも新しくできる拠点のひとつでしかないと、考助は考えているのであった。
考「(by考助)って何!?」
作「いやだって、それ入れとかないと、読者が納得しないだろうし」
考 orz
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