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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 南大陸での大騒ぎ

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(11)リーダー種との戦闘(決着)

 考助たちがわざと逃したドラゴンは、龍タイプの生物ではなく、いわゆる恐竜タイプのものだ。
 もっと言えば、翼竜タイプのもので、龍タイプのものと比べると戦闘能力は落ちるとされている。
 もっとも、そんな比較など普通の人類種にとっては意味のないものであり、ドラゴンはドラゴンとして十二分に強さがある相手なのだ。
 しかもそのドラゴンは大氾濫をまとめることができる戦闘能力を持ったリーダー種であり、間違いなく人々にとっては驚異的な存在である。
 現に、リクたち『烈火の狼』のメンバーがミツキに送られて現場に着いたときには、多くの冒険者や軍人があたりに倒れていて、治癒能力を持つ者たちが必死に駆けずり回っていた。
「チッ・・・・・・!」
 その光景を見たリクは思わず舌打ちをしてしまったが、それを唯一聞くことができたミツキがポカリと軽く頭をはたいた。
「冷静になりなさい。ここで激高しても、事態は改善しないわよ」
「・・・・・・ああ。そうだったな」
 ミツキの忠告に、リクはその場で一度大きく深呼吸した。

 リクたちが体勢を整えている間も、他の冒険者や軍人の攻撃は続いている。
 だが、その辺りにいる者たちは、さほど攻撃に優れているとは見えず、あまりドラゴンに効いているとは言えない。
 それでも後ろにある町や一般住人たちを守るために、その場で食い止めようと動いているのだ。
 ここでリクたちが冷静さを失って突っ込んでも、同じような結果にしかならない。
 モンスターを倒すときには心を強く持って、けれど消して冷静さは失わない。
 それは、リクが管理層で考助及び女性陣に、さんざん叩き込まれてきた教えだった。

 
 『烈火の狼』の面々がしっかりと体勢を整えるとまずはタンクであるゲレオンがドラゴンに強力な一撃を喰らわせた。
 流石にドラゴンの鱗は一筋縄ではいかず、大きな傷を負わせるというわけにはいかなった。
 それでも、ドラゴンの注意を引くことには見事に成功して、それまで意識していた方向からは注意を逸らすことができた。
 その隙を見て、リクが周囲へと注意を飛ばした。
「俺たちが引きつける! その間に、体勢を整えろ!!」
 リクのその言葉があたりに響くと、絶望的な状態で攻撃を加えていた者たちの顔に生気が宿ってきた。
 もともと元気があった者たちは、ドラゴンの攻撃が当たらない範囲を見極めては、傷ついた者たちを安全圏へと引きずって行く様子も見えた。

 その光景を見て安心したリクは、改めてドラゴンへと意識を向けた。
 もうすでにリクを除いたパーティメンバーが、ドラゴンへと攻撃を加えている。
 その攻撃力は、これまでのものとは一段も二段もうえのものだと誰が見てもわかるものだった。
 それはドラゴンも認めているのか、周囲には目もくれず、完全に『烈火の狼』を敵だと認識しているようだった。
 ドラゴンの意識を引きつけることに成功した『烈火の狼』の面々は、完全にドラゴンとの戦闘態勢に移行していった。

 ドラゴンの攻撃は本来、一撃当たっただけでも人には耐えがたいほどの力がある。
 タンクであるゲレオンは、その攻撃を何度も耐えきっていた。
 勿論、それはゲレオンだけの力ではなく、直前に魔法をかけているカーリの力も加わっている。
 それでも、何度か攻撃を喰らえば魔法の効果もなくなるため、カーリは何度も魔法をかけ直す必要に迫られている。
 お陰で、魔法という強力な一撃を喰らわせる隙が見つけられないでいた。
 ただし、ここで焦っては駄目だということは、これまでの実戦経験で嫌というほど経験していてわかっている。

 一方で、武器を持っている者たちは、どうにかドラゴンの固い鱗にその刃を通そうと努力しているが、やはりそう簡単にはいかなかった。
 どうみても決定力不足であることは否めないが、ここで諦めるわけにもいかない。
 なによりも、いまはリクたちの視界には映っていないが、必ずどこかでミツキが見ているはずだ。
 完全に駄目だと思えば、間違いなく手を貸してくれることがわかっているので、リクたちもどうにかしようと必死なのである。

 ちなみに、リクは仲間たちへ指示を出しつつ、自身でも攻撃をしながら、ミツキが倒れた者たちへと手を貸しているのが見えた。
 奇跡的ともいえるが、最初に受けた印象とは違って、命を落としたような者はひとりもいないようだった。
 まるで、そうなるようにミツキがタイミングを図って、この場に連れて来たようにも思えた。
 もっとも、考助から受け取った通信のタイミング、ミツキが来てこの場に連れて来たタイミングを考えれば、ただの偶然だということはわかるのだが。
 ドラゴンを攻撃していた部隊が、単に牽制をしていただけで、深追いをしていなかったために、致命的なことにはなっていなかったのだ。

 そんなドラゴンとの戦闘には関係のないことを考えつつ、周囲を見回して安堵の表情になっていた。
 リクたちがドラゴンとの戦闘をする間に、倒れていた者たちは完全に近くからいなくなり、ほかの者たちも遠巻きにリクたちの戦闘を見るだけになっている。
 それも、残っている者たちは、いざというときの最低限の戦力だけで、あとは別の方面の手助けに向かったようだった。
 ミツキがこの辺りの指揮者と連絡を取ったのか、あるいは残っていた者たちがリクたちのことを知っていたのかはわからない。
 ただ、リクたちにとってはこの状況は都合のいいものだった。

「ゲレオン! 引きつけるだけで攻撃は受けるな! カーリ、強力なやつを頼む!」
 それだけでリクがなにをしようとしているのか、何度も同じことを繰り返してきた仲間たちは瞬時に察知したようだった。
 といってもそんなに難しい指示を出したわけではない。
 ゲレオンだけにドラゴンの注意を引きつけされるのではなく、カーリを除いた全メンバーでドラゴンの注意を引くのだ。
 そうすればゲレオンの負担が減り、カーリが強力な魔法を使うための時間ができる。
 いままでその手を使っていなかったのは、周囲にメンバー以外の人がいると考えて控えていたのである。

「お待たせ!」
 カーリが短くそう言うと、ドラゴンに攻撃をしながら注意を引いていた『烈火の狼』のメンバーが一斉にドラゴンの周囲から離れた。
 そして、その次の瞬間、ドラゴンに可視化した無数の風の刃が上空から襲い掛かった。
「Gyaooooooo!」
 さすがにその攻撃は見事に効いたようで、ドラゴンが悲鳴のような声を上げた。
 特に翼に対するダメージが甚大だったようで、完全に飛ぶことはできなくなっているようであった。

 空を飛ぶという利が無くなったドラゴンは、その後は完全に主導権を『烈火の狼』に取られていた。
 相変わらず鱗は刃を通さなかったが、翼からの出血がドラゴンの動きを完全に鈍らせている。
 それであれば、攻撃をかわすことも余裕で、魔法も最初とは比べるまでもなく当てることができるようになっていた。
 そして、『烈火の狼』とドラゴンのリーダー種との戦闘が始まって二時間ほどが経過すると、完全にそのドラゴンは動かなくなっていた。
「・・・・・・やったか?」
 エディが警戒を解かずにそう問いかけると、他の面々もようやくドラゴンを冷静に観察する余裕が生まれた。
 勿論、完全に攻撃態勢を解いているわけではない。
 というよりも、自分たちがドラゴンを倒したということが信じられなくて、その場でしばらく固まっていた。

 その空気を吹き飛ばすように、仮面をつけたミツキが気楽な調子でドラゴンへと近付いて行き、
「何をやっているのよ。きちんと倒しているわよ?」
 そう言いながら、ドラゴンの鼻先をコンコンと叩いた。
 それを見てようやく実感がわいてきた『烈火の狼』の面々は、しばらくぶりの大捕物の成功に雄たけびを上げた。
 それには勿論、リクも混ざっており、女性たちふたりは控えめに歓声を上げている。

 そして、多少遅れて、『烈火の狼』の戦闘の一部始終を見守っていた者たちからも歓声が上がった。
 こうして、南大陸の地に、一組の英雄たちが誕生したのである。
リーダー種による犠牲者はゼロ!
なんというご都合主義w
もし、考助たちが最初に弱めていなければ、一人二人は犠牲になっていたことでしょう。
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