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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第4章 南大陸での大騒ぎ

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(8)謎の人物

 突然現れた五人(+二匹)の姿に、会場は一瞬騒然となった。
 それはそうだろう。
 この場に集まっている者たちは、軍関係者が多いとはいえ国の重要人物たちがなのだ。
 そんな場に、身元がよくわからない、仮面をつけた者たちが来ればそうなるのは当然である。
 彼らを呼んだガゼランを非難するような声と、要人たちを守ろうとする軍人たちで騒めく会場に、ガゼランが苦笑しながら右手を上げた。
「あ~。すまないが、この方たちがこの場にいる誰かを傷つける意図が無いことは、この俺が保障する。まずは話を聞いてもらえないか?」
 その言葉で、一応話を聞くつもりになったのか、言葉での非難は一旦静まっていた。
 だが、さすがに要人たちへの警護は忘れていないようで、いつでも剣を抜いたり、魔法を放てるような準備は怠っていないようだった。

 そんな中で、周囲と違ったことを考えている者がいた。
 それが誰かといえば、スミット王国国王のクリストフである。
 クリストフは最初、転移魔法陣で現れた者たちを見て、周囲の者たちと同じように警戒をしていた。
 だが、その警戒がすぐにふとした疑念に変わっていた。
 きっかけは、彼らの中央に立つ男を見てからだ。
 着ている服装で男だと判断したクリストフだったが、その男性の雰囲気が、どこかで感じたことがあるような気がしたのだ。

(一体、どこで? いえ、そもそも私はなぜこんなことを考えて・・・・・・)
 なぜか思い出さないと大変になるという思いだけが沸き起こってきて、さらにガゼランの先ほどからの態度や言葉を思い出すにつれて、まさかという思いが湧いてきた。
 それが来てしまえばあとは一瞬だった。
 過去、自分が経験したとある事件のことが脳裏によみがえってきた。
 そして、その事件の中心人物といま自分の目の前に立っている男性が同一人物であることがピタリと頭の中で一致したのだ。

「な、なぜ・・・・・・!?」
 そのクリストフの呟きは、たまたまガゼランが騒ぎを抑えたのと重なって、思いのほか周りに響いた。
 警護のために近付いてきた軍人のひとりも、訝し気な視線をクリストフへと向けて来た。
 もっとも、クリストフ本人はそれどころではない。
 こんな場所にいるはずのない者が現れて、心中は盛大に荒れ狂っていた。

 そのクリストフの様子に気付いた男性――考助・・が、先んじて話しかけた。
「お久しぶりです、クリストフ国王。ですが、できればあまり騒ぎにならないようにしていただけると、ありがたいです」
 考助がそう言うと、クリストフは何とか心を落ち着けようと深呼吸をした。
 一国の王がここまでの様子を見せていることに、さすがに周囲も固唾を飲んで見守っている。
「はい。では、そのように」
 クリストフが、どうにか平静を装ってそう答えられたのは、今までの国王としての経験が生きたためだ。
 既に国王としては醜態をさらしていると言ってもいいのだが、この相手を前にしては、そんなことはどうでもいいことである。

 それよりも今は別の大きな問題がある。
「――どういうことかな?」
 クリストフは、矛先を変えることで、どうにか今の状況を確認しようとした。
 矛先を向けられたガゼランは、肩をすくめながらクリストフを見た。
「私を責めないでください、クリストフ国王。この場に呼んでくれと言ったのは、この方ですから」
「な、なぜ?」
 まさか神である考助がこの件に関わってくるとは一切考えていなかったクリストフは、驚きの視線を、仮面をかぶった考助へと向けた。

 クリストフの様子に、今度は別の意味で騒めいている会場に、内心で苦笑していた考助は、どうということはないという感じで答えた。
「大した理由ではありませんよ。単に、珍しいリーダー種の素材がほしくなっただけです」
 気軽にそう答えた考助だったが、実際にはそれだけが今回の件に介入することを決めた理由ではない。
 リク経由で今回の件を聞いた考助は、さすがに黙って大勢の者が犠牲になるのを見ているのが忍びなかったのだ。
 ただ、神となってしまった自分が、たとえ相手がモンスターだとしても一方に味方をするのは良くないので、建前としてリーダー種だけを狩るということを条件に参加を打診したのだ。
 猫の手も借りたかったガゼランが、考助の申し出を拒否するはずもなく、今回の討伐の参加が決まったというわけだ。

 そんな考助の立場を理解して、クリストフが真剣な表情に戻って頭を下げた。
「・・・・・・ご協力に感謝します」
 さすがに一国の王がこんな態度に出るような相手は、ほとんど存在していない。
 この場にいる者たちは、国の要人にいるだけあって、察しが良い者たちも多かった。
 何となく、本当に何となくだが、考助の正体を悟って息を詰めている者たちが多かった。
「うーん。まあ、協力というか、今回は本当にいろいろと欲しい素材がありましたからね。・・・・・・というわけで、あとはよろしく」
 考助はこれ以上この場にいるのはまずいと判断して、気楽な調子でガゼランにそう言いながら右手を上げた。
 そして、次の瞬間には、魔法陣によって現れた者たちは姿を消していた。

 ホッとした空気が場に流れるのと同時に、クリストフが恨めし気な顔になってガゼランを見た。
「なぜ、あの方たちが?」
「そんな目で見ないでくださいよ、クリストフ国王。私もいきなり言われて焦った口なんですから。とにかく、今回の氾濫には彼らも参加します。もっとも先ほど言っていたように、手を貸してくれるのはリーダー種だけに限ってのことですが」
 氾濫で一番厄介なのはリーダー種なので、これだけでも十分といえる。
 なぜなら、リーダー種を討伐したあとは、統制の失ったモンスターを個別撃破していけばいいだけだからだ。
 ただし、それでも問題はある。
「先ほど話した作戦に変更はありません。あの方たちがどの程度手を貸してくれるかは、はっきりしていませんからね」
 ガゼランがそう言うと、なんとなく事情の察している者たちの顔が納得したようなものになった。
 この瞬間、考助たちの介入は、神の気紛れということで片付けられることになったのである。

 
 正体不明の人物(神)が出現したことにより、波乱の展開とはなったが、それ以外は予定通り話し合いは進んだ。
 といっても、彼らが出てきたのは話し合いの終盤だったので、その後はさほど詳しい話し合いがされたわけではない。
 勿論、ガゼランもそうなることを狙って、考助たちを呼び出したのだ。
 彼らの行動はあくまでも不確定要素として話を進めて、自分たちは自分たちで出来る限りのことをするという、これまでと変わらない結論になった。

 この話し合いを持って、クラウンが関わっている国々では、今回の大氾濫に対する対策が次々と打ち出されていく。
 それは周辺各国にもおよび、直接被害に遭わない国々は、援助という形でモンスターの氾濫の防ぐことになっていた。
 援助は、氾濫に対して直接的な効果があるわけではないが、モンスターを片付けたあとに国という形を取る必要がある各国にとってはとてもありがたいものとなる。
 さすがに火事場泥棒のような形で氾濫後に土地を奪えば、それ以外の国からの非難を避けることはできなくなるため、普段仲が悪い国も今回だけはある程度の援助を申し出てきている。
 ただし、それは敵国にある相手に送るのではなく、別の国に送るという迂遠な方法を取っていたりするが、なにもないよりははるかにましである。

 こうして各国の準備が進む中、南大陸では過去に類を見ない大氾濫が、ついに一般の者たちにも目に見える形で起こるのであった。
(前回に引き続き)仮面の人物は誰なんだ~?
あ、もう名前出してましたね、はい。

どうでもいい茶番はともかくとして、ようやく準備期間が長かった話もついに本番に突入します。
戦闘シーンは・・・・・・「塔の管理をしてみよう」に必要でしょうか?w
+注意+
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