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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第8章 塔で神力の訓練をしよう

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10話 スピカ神

 エリス経由で神具の作成の許可が取れたので、早速作成するためにワンリと共に第八層の神社へと向かった。
 今回は考助が直接交神できるわけではないので、シルヴィアの時にやったように、ワンリが交神しているときに神具を作成するのだ。
 なぜ第四十八層ではなく第八層なのかというと、単純に第八層の百合之神社の方が交神しやすいとワンリが言ったからだ。
 ワンリは第八層と第四十八層を頻繁に行き来しているようなので、そのことに関しては特に疑問はない。
 ただ、何故成長した姿を見せた時は、第四十八層にいたのか疑問に思ったが、スピカ神の指示があったそうである。
 考助が真っ先に向かったのが、第四十八層の方だったので、その指示は結果的に正しかったのだが、考助が第八層に向かうとは思わなかったのか疑問だ。
 まあ、神様の特技として心を読んだと言われれば、それまでなのだが。
 と、そんなことを考えていたら、早速否定の言葉が飛んできた。
『全く・・・君は神をなんだと思っている。そんな頻繁に人の心を覗くほど暇ではないぞ?』
 なぜかワンリと交神していたはずのスピカ神が、考助に対して直接交神してきた。
 今はワンリと繋がっている状態なので、このようなことも可能なのだろう。
『そんな顔をするな。私としても、あの方に加えて、エリス姉さまやジャルのお気に入りと直接話をしてみたかったのだよ』
 直接目の前にいるかのように話すスピカ神。
 まあ、実際に考助の表情が見えていても何もおかしくはない。
『お気に入り・・・ですか?』
『あれだけ頻繁に交神しておいて、そんなことは無いと否定するつもりか?』
『いえ、そんなつもりはありませんが・・・』
『む。何か、他の女神達と話しているときとはずいぶん態度が違わないか?』
『・・・・・・無茶を言わないでください。初交神の上に、今神具作りの最中なんですよ?』
 気楽そうに(?)話しているが、現在の考助は神具作りの真っ最中であった。
『ふむ。それもそうか。済まなかった。だが、私もエリス姉さまやジャルと同じ扱いを希望する』
 ようやく作業が終わった考助は、一つため息を吐いた。
『そういう事なら、そうするけど・・・神様相手にいいのかな? 今さらだけど・・・』
『ホントに今更だな』
 ハハハという笑い声が、相手側から聞こえて来た。
 エリスはともかくとして、ジャルやスピカは神様にしてはずいぶんとフレンドリーなのだが、そんなんでいいのかと思う考助だった。
『君は、いいのだよ。そもそもあそこにいたことがある、と言う時点で十分資格はあるだろう?』
『・・・・・・何の資格?』
『我々と親しくする資格、だな』
 思わずそうなんだ、と納得しそうになった考助だが、ちょっと待てと思い直した。
『いやいや、ちょっと待って。そんなことで?』
『なんだ、聞いていなかったのか? 君にとってはそんなことかも知れないが、君が[常春の庭]に来た件は神々にとっては結構重大なことだったんだぞ?』
『え!? そうなの?』
『そうなのだよ。・・・そもそもそれなりの期間滞在していたというのに、あの方とエリス姉さま以外の者と全く会わなかったのは、おかしいと思わなかったのか?』
『・・・・・・アスラとエリスしかいないのかと思っていた・・・』
 考助の言葉に、スピカがため息を吐いた気配を感じた。
『そんなわけなかろう? まあ、それだけ徹底して会わないようにしていたんだろうが・・・』
『・・・まあ、僕はあそこでは、異分子だっただろうからね』
『いやいや、待て。それは違うぞ? 会わないように注意していたのは、我々に対してだ』
『え? どういう事!?』
『君と言う存在は、この場所にとっては、それほど珍しい存在だったんだよ。珍しい、と言うか初めての事だろうな』
『へー』
『そんな珍しい君と言う存在がいることが知られたら、間違いなく君は檻の中の動物扱いになっていただろう。あの方もエリス姉さまもそれを避けたかったんだろうな』
『うへえ』
 その光景を想像して考助は、表情をしかめた。
 まあ、実際にはそんなことは起こらなかったのだから、考助としては二人に感謝するしかない。
『この際だから話してしまうが、この世界は完全に閉じられた世界だ。この世界が開くときは、こうして交神するかあるいは、アースガルドに我々の誰かが降臨するときくらいだろう』
『そうなんだ』
『うむ。ところが、だ。あの時は特に誰も降臨したということは無かったのに、君という存在がいきなり現れた。最初に君の存在に気付いたあの方も、さぞ慌てただろうな』
 そう言えば、なぜあんなことになっているのか原因は分からないと言っていたな、と思い出した考助である。
 あの時は、考助自身が飛ばされてきた(?)理由が分からないのかと思っていたが、それ以外にも分からないことがあったということなのだろう。
『そう言えば、僕が飛ばされてきた原因ってわかったの?』
『さて、どうだろうな。少なくとも私は知らない。恐らくだが、エリス姉さまも知らないだろう。あるいは、あの方なら何かわかっているかもしれないな』
『そうなんだ・・・ふーん』
『・・・あまり興味がなさそうだな?』
『うーん。・・・まあ、無いと言えば、嘘になるけど、無理してまで知りたいとは思わないかな?』
『なぜだ?』
『だって、もし知る必要があることなら、アスラ辺りならさっさと教えてくれるでしょう?』
『・・・・・・フフフフフ』
 突然聞こえて来た笑い声に、考助は首を傾げた。
『・・・あれ? 今、笑う所?』
『ああ、いや、すまん。なるほど、あの方に気に入られるわけだ、と思っただけだ』
 誰から、とは聞くまでもないだろう。
 ちなみに、今話しているスピカもそうだが、エリスやジャルもアスラの名前を口にすることはほとんどない。
 [常春の庭]にいた時のエリスは、そんなことはしていなかったので、考助は何か理由があるのだろうと当りを付けた。
 あるいは、これは考助の想像だが、アスラの名前はこの世界では、気軽に口にしてはいけないのかもしれないと思っている。
『君が口にする分には、問題はないからね』
 心を読んだかのように、答えを返してきたスピカだった。
『また、ナチュラルに心を・・・まあ、いいか。今更だし』
 考助はそう言って、諦めたように溜息を吐いた。
『それで、なんで貴方たちは名前を言わないの?』
『私達がその名を口にすると、世界に与える影響が大きすぎるからだ』
『そうなんだ?』
『そうなんだよ』
 よくわからないが、そう言う物なんだと納得するしかないと思った考助だった。
 これ以上聞いても、答えてくれなさそうな雰囲気だったというのもある。
『ああ、そうだ』
『何?』
『今回作った神具は、ワンリ用だと聞いているが、当然自分(考助)用のも作るんだよな?』
『・・・・・・わかりました。作ります』
 初めて会話したというのに、何となくスピカの言い回しが分かってきた考助である。
 今のは絶対に、作らないと許さないぞ、という脅しが・・・・・・。
『そんなことは無い。ただ単に、エリス姉さま用のもジャル用のも持っているのだから、私用のも欲しいと思っただけだ』
 間髪入れずに、考助の心の中の考えに突っ込んでくるスピカ神。
 無駄なところで神の力を使わないでほしいと思った考助である。
『作るのは構わないんですが・・・そんなにポンポン神具を作ってもいいんですかね?』
『・・・今更、君がそれを言うのか?』
『・・・・・・そうでした』
 今までの神具作りに関しては、完全に考助が主犯だ。
 エリスやジャル用の交神具に関しては、直接の依頼があったからと言うのもあるのだが、作ったのは考助なので、言い逃れは出来ないだろう。
『まあ、君が作る分には、さほど心配する必要はあるまい』
『・・・そうなんですか?』
『まあ、それこそほどほどにすれば、な』
 お墨付きがもらえれば、暴走しそうな考助に、釘を刺してきたスピカ神。
 ここで下手なことを言えば、色々やらかしそうな考助だけに、予防線をはったという所だろう。

 そして、ワンリのために神具作りに来たはずなのに、いつの間にか自分用の神具作りを約束させられた上に、今後の神具作りに関してある程度の釘を刺されるという意味のわからない状況に首を傾げることになる考助であった。
ワ・・・ワンリは?

答え・・・おとなしく二人の会話を聞いていました。
良い娘です。

2014/5/16 誤字訂正
2014/6/3、21 誤字訂正
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