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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 塔のあれこれ(その24)

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(3)お出迎え

 アマミヤの塔から浮遊島まで、どのくらいの日数がかかるのか、実は考助にも分からない。
 その理由は簡単で、浮遊島は上空の風の流れやちょっとした操作により移動しているからである。
 基本的には海の海流のように、空の上にも風の流れがあり、浮遊島はその流れに乗って空を漂うことになる。
 ただ、それだと固定のルートしか動けなくなるので面白くないと女神たちが言い出したのだ。
 それには考助も同意したので、結果としてひとつの風の流れから外れて別の風の流れに乗るための機能が、浮遊島には備わっているのである。
 そのため、浮遊島は常に移動していて、どこにいるのかはその時々によって違うため、正確に何日かかるのか分からないということになる。
 もっとも、考助の場合は、通神具があって浮遊島と常にやり取りができるので、ある程度の方角や距離は推測ができる。
 とはいっても、天翼族も浮遊島もこの世界に現れてからひと月も経っていない。
 そのため、浮遊島が影響を受ける気流が、どういう感じで流れているのかは全くわかっていないのだ。
 結局、エイルとの連絡を密にして、大体の方角を決めて移動するしか無いのであった。

 アマミヤの塔を出発してから三日目。
 考助たちは未だにセントラル大陸を出ていなかった。
 そもそも飛龍を使って真っすぐに海岸線を目指しても三日で到着するためには、かなり急がなくてはならないのだが、移動している浮遊島を捕まえるためにあちこちフラフラと大陸内を飛び回っているのだ。
 もともと急いでいる旅ではないので、あちこちをフラフラしていても、皆が楽しんでいるということもある。
 特に、それぞれの飛龍たちは、長時間考助たちを乗せていることが楽しいらしく、むしろ積極的に空を飛びたがっていた。

 昼休憩中に、そんなコーの様子を見ていた考助が、誰に言うでもなく呟いた。
「うーん・・・・・・。やっぱり塔の階層とは違った感覚があるのかな?」
「どうでしょう? 単に、ずっと一緒に空を飛べることを喜んでいるようにも思いますが?」
 たまたま考助の隣にいて、その呟きを拾ったシルヴィアが、そう答えてきた。
「そうなのかな? まあ、どちらにせよ、いい機会になって良かったかな?」
「そうですね」
 コーたち飛龍にとっては、かなりの気分転換(?)になっているようで、それだけでも今回の旅を企画した甲斐がある。
 普通の人々にとっては、飛龍は恐怖の対象でしかないので、気軽に人前では飛べないが、そんなことは些細なことだ。
 たまには、こうして塔の階層以外の空を飛ぶのもいいものだなと、考助は改めてそう思い直すのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 そんなことをしているうちに、五日目にしてようやく浮遊島を捕まえることができた。
『あれが、浮遊島か』
 空を飛んでいる間の会話方法である神力念話を使って、フローリアが感嘆の念を送ってきた。
 それに応えるように、シルヴィアも神力念話を送って来る。
『すばらしく、綺麗ですね』
『やっぱり、そうだよね。僕も初めて外観を見たときは、そう思ったよ』
 空に浮かんでいる浮遊島は、何か所かで滝のように水が流れ落ちて行っている。
 その光景は、まさしく雄大そのもので、その光景を創りだした女神たちの力を感じさせるものとなっている。
 それを見ていた考助が、しばらくしてから下に落ちた水はどこに消えているんだろうと無粋なことを考えたりしていたが、女神の力という一言で片付けられてしまった。
 浮遊島の要となっている浮遊装置は別にして、そのほかの部分に関しては、考助はほとんどタッチしていないのだ。

 そんな考助の疑問はともかくとして、浮遊島はいま考助たちの目の前に浮かんでいる。
 考助は、アスラの神域で遠目に見るか、島の上から直接見ていたため、こうして空を飛んで近付いてくる浮遊島を見るのもまた別の感動があった。
『なんというか・・・・・・本当に凄い物を作ったんだなあ』
『なにをいっているんだ。コウスケもそれに関わっているのだろうに』
 他人事のように感慨深く言った考助に、フローリアが半分だけ呆れたように茶々を入れて来た。
『いや、まあ、そうなんだけれどね。どちらかといえば、中の無骨な箱を作ったという認識しかないからなあ』
 考助としては、自分が作ったのは浮遊装置の箱の部分という認識しかないため、これだけ雄大な自然を作り上げたと言われてもピンと来ないのだ。
 女神たちに言わせれば、それだけの装置を作り上げた考助が凄いということになるのだが、この辺りの認識のずれは、結局のところ使える権能の差なので、致し方のない部分があったりする。
 それを認識できるアスラは、敢えてそれを言ったりしていないので、両者の差が埋まるのは当分先のことだろう。
 もっとも、それで何か不都合があるわけでもないので、アスラが放置しているというのもあるのだが。

 ぐるりと島を一周してみようというフローリアの提案に全員が頷いて、それを実行している最中にシルヴィアがあることに気が付いた。
『コウスケさん、あれは天翼族の皆様では?』
『・・・・・・あ~、うん。そうみたいだね』
『大歓迎だな』
 考助としてはできることなら気付きたくなかった事実に、フローリアが敢えての念押しをしてきた。
 考助たちが見つけたものというのは、島の一角に今回移住してきた天翼族のほとんど全員が集まっているのではないかと思われる程に人影が集まっていたのだ。
 それはまさしく、フローリアが言った通り、考助を出迎えるためのものだった。

 
 考助たちが飛龍に乗ってきていることは天翼族もわかっているので、飛龍がとまれる場所をエイル(らしき人)を含めた何人かの天翼族が示していた。
 考助が、指示されるままに飛龍をとめてから降りて、天翼族たちがいる場所へ向かうと、
「いらっしゃませ!!!!」×天翼族全員
 と、大合唱してきた。
 自分の後ろの方で、コウヒ、シルヴィア、フローリアがニヤニヤしているのを感じながら、考助は顔を引きつらせた。
「ああ、うん。ありがとう。でも、皆、作業とかは?」
「コウスケ様がいらっしゃるのに、そんなことはどうでもいいです!」
 エイルがそんなことを力説してきた上に、後ろにいた天翼族も思いっきり頷いていたので、ついに考助はこめかみに手を当ててしまった。

 その考助の様子を見て、さすがに不味いと思ったのか、シルヴィアが前に出て来た。
「エイルさん、でしたよね? 少々よろしいでしょうか?」
 そんなことを言い出してきたシルヴィアに、エイルは首を傾げつつ、すぐに頷いた。
 そして、シルヴィアは、考助がいる場所から少し離れた場所――天翼族に囲まれるような状態になって、なにやら話し始めた。
 残念ながら考助には、シルヴィアたちの話している内容までは聞こえなかったが、遠目で見ている分には、チラチラと自分を見てきているのが分かった。

 同じようにその様子を見ていたフローリアが、
「ふむ。天翼族は、シルヴィアに任せておいた方がいいだろう。その間に吾らは、飛龍たちの世話でもしようか」
「あー、うん。そうだね」
 考助としては、シルヴィアがなにを話しているのか、多少気になるところではあるが、フローリアに強引に腕を取られてしまって、話を聞くことができなかった。
 そのあとも、シルヴィアとエイルの口から話の内容は聞き出せなかった。
 ただ、天翼族の考助への対応が、考助にとってはいい方向に、劇的に変わったので敢えて聞く必要はないかと思う考助なのであった。
思わせぶりな終わり方をしましたが、実はシルヴィアは大したことは話していませんw
考助は派手なことは嫌い、から始まって、嫌われたくなければ~、と諭して、次回以降は~、とアドバイスしただけですw

次は塔に戻って、日常回ですかね。
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