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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2章 新たな大地と種族

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(2)浮遊島

「おー。これは凄いな」
 そう感嘆の声を上げた考助の前に、巨大な多面体が浮いていた。
 その多面体は、まるでカッティングされたダイヤモンドのように、様々な面で構成されている。
 鈍く光を発しているその多面体は、青から赤、赤から黄、そして黄から青へと次々と色を変えていた。
 確かに、シュレインがクラーラに頼んで作ってもらった天空石も同じような反応を示していたが、ここまではっきりとした色は出ていなかった。
 ただ、内包している力は比較にならないほど強いが、間違いなくあの天空石と同じ性質を持っていることがわかる。

 感心した表情でその多面体を見ていた考助のところに、クラーラが近寄ってきた。
「どう? 何人かの女神と協力して再現してみたけれど?」
「いや、再現どころじゃなく、完全にあの天空石を上回っているじゃないんじゃないか?」
 大きさや内包している力だけではなく、かかっている手間や使われている材料を考えれば、途方もないエネルギーが使われていることがわかる。
 その考助の答えに、クラーラと傍にいた複数人の女神が嬉しそうに頷いていた。
 この巨大版天空石は、シュレインが作った天空石を参考にして、彼女たちが作り上げた物なのだ。

 考助とクラーラたちの様子を見ていたエリスが、ここで口をはさんできた。
「それでは、これで問題ありませんか?」
 エリスは、今回の計画の総指揮という立場にある。
「うん。問題ないよ。十分すぎておつりがくる、とは言えないけれど、これで不足するとは思えないよ」
「そうですか。それでは、作業にかかってもらっても?」
「勿論。それが僕の仕事だからね」
 エリスの言葉に、考助は頷いてから早速作業に取り掛かり始めた。

 
 いま考助たちがいる場所は、アスラが普段の住まいとしている神域ではなく、今回の計画のために新たに作られた神域だ。
 ただ、神域とはいっても何かがあるわけではなく、だだっ広い空間が広がっているだけだ。
 その空間の中に、クラーラたちが作り上げた巨大天空石が浮かんでいるのだ。
 考助たちは、見えない足場の上に乗って話をしているのだ。

 エリスたちが見守る中、考助は腕に付けられた小さな画面を操作した。
 この装置は、つい先ほどまでいたアスラが考助のために用意した道具だ。
 これさえあれば、どんな素材でも用意することができ、さらにはどんな形状にでも作り替えることができるそうだ。
 その説明を聞いた考助は、どんなチート道具だと思ったのだが、それが顔に出ていたのか、アスラは考助の顔を見て「この神域でしか使えないけれどね」と宣っていた。
 それだけでも考助にとっては十分すぎるのだが、その当たりは流石に複数の世界を管理している創造神アスラの面目躍如といったところだろう。
 一応考助もこの創造神の系統に当たるのだが、そこまでの道具を創りだせるような能力は持っていない。
 もしかしたら自分の作った神域だけであれば、いずれは創れるようになるかもしれないが、現状では不可能である。

 そんなチート道具を使って考助が作るのは、要するにスーラの玩具(?)と化している浮遊装置の巨大版である。
 これだけ巨大な天空石を使うことになるので、浮かせられる物も超巨大なものになる。
 逆にいえば、それだけの物を支えられるだけの装置を、考助が作らなければならないということだ。
 さらにいえば、この巨大な浮遊装置を作る目的を考えれば、きちんと長期間の使用に耐えられるだけの物が必要なのだ。
 考助にとっては、いままでになかった超巨大建造物を作るということになる。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「よし! できた!」
 この神域では時間の概念が無いため、夢中になっていた考助には、どれくらいの時間が経ったのかは分からなかったが、かなりの時間を費やしたことはわかる。
 それでも、完成品を前に、考助は満足げな表情で頷いていた。
 といっても、いま考助の前にあるのは、天空石も完全に覆っている一辺が十メートルほどの巨大な箱だけなのだが。
 勿論、その中には、天空石をはじめとしたさまざまな装置がぎっしりと詰まっている。
 それらの装置を覆っている箱は、それこそ塔を形作っている材質と同じもので作られていた。
 要するに、目の前にある装置を外的要因で壊すためには、世界を壊せるだけの力が無ければだめだということだ。
 それだけの材質の物を湯水のごとく使うことができたのは、アスラから渡された腕輪の道具のお陰だった。

 考助の声を聞いて、作業を見守っていた女神の何人かが拍手をしていた。
 天空石ができてからここまでの作業は、完全に考助任せで手伝えることもなかったので、偶に様子を見に来ている女神がいる程度になっていたのだ。
 実際、考助が完成を宣言すると、そのうちの何柱の女神かが、アスラの住居がある神域へと移動していた。
 これから先の作業で必要になるエリスたちを呼びに行ったのだ。

 その考助の予想通り、さほどの時間も待たずに、エリスたちがやってきた。
「考助様、お疲れ様です。ああ、そのまま休んでいてください」
「そうよ。いきなり作業を進めたりはしないから」
 すぐにでも作業を始めるのかと立ち上がりかけた考助を、エリスとクラーラが止めた。
 これから先の作業では、考助の力は必要にはならないが、完成したあとに浮遊装置がきちんと動作するかどうかは、確認しなければならないのだ。

 今度は考助が見守る中、エリスが連れて来たクラーラを始めとして女神たちが動き始めた。
 これから作業を行うのは、大地に関係した権能を持つ女神たちだ。
「おおー。これは凄いな」
「我々でもなかなか行うことが無い、大規模な権能の発現ですからね」
 どこかで聞いたようなセリフを繰り返した考助だったが、隣に立つエリスも同意したように頷いた。
 実際に目の前で起こっている現象は、そうそう見ることができるようなものではない。
 なにしろ、考助が作った浮遊装置を覆い隠すように土が覆いかぶさって行き、それがどんどんと大きくなって行くのだ。
 その土の塊は、見る間に巨石と呼べるほどの大きさになり、さらに大きくなって行く。

 あれよあれよという間に立派な島といえるほどの大きさになっていったが、女神たちの作業は大地を作るだけではとどまらず、さらにその大地の上に次々と自然物を配置していった。
 天空石が収められている浮遊装置は、すでにその大地の下半分の中央辺りに埋まっていて、その上部には大きな城が建てられた。
 その城が建った瞬間、三大神の姉妹がそこはかとなく自慢げに立っていたので、誰が作ったのかは考助にもすぐにわかった。
「・・・・・・このお城、必要だった?」
 考助がそうエリスに問いかけたが、問われた本人は若干考えるように首を傾げたあとで、
「まあ、浮遊装置本体を見せられない以上、象徴のようなものは必要でしょう」
 と、取って付けたような答えを返してきた。
 もっとも、その顔は隣で頷いているジャルと同じような顔になっていて、私も混ざりたかったと言っているように見える。
 賢明にも、考助はそれに突っ込むことはしなかったのだが。

 とにかく、今回の計画の要となる本体はこれで完成となった。
 考助たちの目の前には、絶妙なバランスで配置された自然物がある浮遊島が浮かんでいる。
 広さが三十㎢ほどの大きさのその浮遊島には、新たな種族が住むことになっているのである。
○ルス!
・・・・・・といっても崩れたりしませんので、悪しからず。
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