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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第11部 第1章 塔のあれこれ(その23)

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(3)抜け道と発覚

 考助は、ある拍子に面白そうなアイテムを思いついた。
 それを実行するために、シュレインのもとを訪ねた。
「シュ~レイン~」
 満面の笑みを浮かべて自分の名を呼んできた考助を見て、シュレインは若干引き気味の顔になる。
「・・・・・・なんじゃ? 宗教の勧誘ならお断りじゃぞ?」
「なんで、宗教!? しかも、一応神に向かって!?」
 わざとらしくそう言いながらのけぞる考助に、シュレインは真面目くさった顔で頷いた。
「うむ。やはり其方が神なのは、なにかの間違いじゃないかと常々思っておるの」
「いや、それは僕も・・・・・・じゃなくて!」
 思わず同意しかけた考助は、現人神としての身の危険を感じて(?)思わず思いっきり突っ込んでしまった。
「うむ。なかなかいい反応じゃったの」
「それはまあ・・・・・・いや、それはもう良いから。ともかく、ちょっと思いついたことがあるから、話に付き合ってもらっていい?」
 まじめモードに戻ってしまった考助を見て、シュレインはいささか残念そうな顔になったが、すぐに頷いた。
「それで? 思いついたこととはなんじゃ?」
「うん。シュレインの儀式とクラーラの力を借りて、少し変わった物が作れないかと思ってね」
「クラーラ様? どういうことじゃ?」
 意味がわからずに首を傾げたシュレインに、考助は先ほど思いついた構想を話し始めた。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

『面白そうね。やってみましょう!』
 考助との話を終えたシュレインが、さっそくクラーラに交神するとあっさりと乗り気な返答が返ってきた。
「いいのかの? かなり無茶な『願い』だと思うのじゃが?」
『そんなことないわよ。筋は通っているし、私がするのは最後の決めだけだから、さほど神としての権能も多く使うわけじゃないわよ』
 本来、神が直接アースガルドに手を出すことは禁じられているが、きちんと手順さえ踏めばそれは許可される。
 ただし、強い力を使う場合はより煩雑な手順が必要になるが、弱い力の場合は簡単な条件だけで大丈夫なのだ。
 今回の考助の提案は、クラーラにとっては大した手間もかからない、お手軽な権能の行使だった。
 どちらかといえば、すでに加護を与えているシュレインに対して、神託を与えることに近いような権能だったのである。

 クラーラの答えを聞いたシュレインは、小さくため息をついた。
「どうにも最近のコウスケは、妙な裏技を手に入れつつあるような気がしてならぬの」
『フフフ。貴方たちから見ればそう見えるかもしれないわね。でも、実はそうではないのよ?』
「どういうことじゃ?」
 クラーラの言葉の意味がわからずに、シュレインが首を傾げた。
 神から直接力を借りることなどそうそう簡単にできることではないはずなのだ。
 ところが、考助は交神具を始めとして、直接神に繋がる力の行使を気軽に行っている。
 普通の感覚であれば、そんなことはあり得ない! ということになるのだが、クラーラの言葉はそれを否定するようなものだった。
『あら。さっきも言ったでしょう? きちんとした規則を守れば、私たちの力はきちんと借りられるものよ? むしろ、貴方たちのほうが、そうした手順を忘れてしまったのではないのかしら?』
「そう・・・・・・なのかもしれぬの」
 少しだけ考える仕草を見せたシュレインは、クラーラに同意するように納得の表情になった。

 そもそも神に関わることというのは、その多くが神殿で管理されてきた。
 神殿は歴史上、そうした多くの知識や知恵を一般に広く伝える一方で、重要なものに関しては秘匿してきた歴史がある。
 それは、神を知らない一般の者が、不用意に神に触れることによって、その怒りを買ったりしないようにということもあるが、見方を変えれば単に神殿がそうした知識を独占するために行っているともとることができる。
 神殿に属さない者からすれば、それはおかしいだということになるのだが、だからといって、一方的に神殿が悪いということにはならない。
 なぜなら、昔は誰でも使えたそうした知識を、神殿側に管理を押し付けて、自分たちは失伝させてしまったともいえるからだ。
 神の知識は膨大な量に上るので、一個人ですべてを管理するのは無理だともいえるが、少なくともそうした失ってしまった知識というのは、歴史の流れで必要ないと選択されてきたともいえる。
 全てが神殿のせいだというのは、少しばかり無責任といえるだろう。

 そうした歴史的背景に思いを馳せるシュレインに、クラーラは別の角度からも指摘した。
『もっとも、それは私たち女神の側にも問題はあるのだけれどね』
「どういうことじゃ?」
『あら、だって、人々の間でそうした知識が失われてくのを、黙って見逃がしていたのだもの』
 神託という形で伝えようと思えばいくらでも伝えられる神々が、そうした手段を取らずにいたということは、神の側にも責任があるというのがクラーラの意見だった。
「それはそうなのじゃが・・・・・・」
 クラーラの言葉に、シュレインはどこか納得いかずに首を傾げた。
 そもそも神は、直接関与することを控えているので、そうなるのは当然ではないのかと思ったのだ。

 そんなシュレインに、クラーラはそれ以上の説明をすることはなかった。
『あら。随分と話がそれてしまったわね。とりあえず、考助から言われたことを試してみる?』
「ああ、そうじゃったの」
 話をしている間にすっかり考助から頼まれたことを忘れていたシュレインだったが、クラーラに促されてようやくそのことを思い出して頷くのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 クラーラとの作業を終わらせて、無事に考助が求めるアイテムを作ることができたシュレインは、考助を探し回っていた。
 だが、シュレインが考助を見つけるよりも先に、シルヴィアに捕まった。
「シュレイン、大丈夫ですか?」
 シルヴィアからいきなりそんなことを言われたシュレインは、面を喰らったような顔になった。
「大丈夫というのは、どういうことじゃ?」
 なにかシルヴィアに心配させるようなことをした覚えがないシュレインは、そう聞くことしかできない。
 本当になにも思い当たりが無かったのだ。

 そんなシュレインに対して、シルヴィアはより心配そうな顔になって、
「そんな赤い顔をしてなにを言っているのですか。熱でもあるのではないですか?」
 シルヴィアにそう言われたシュレインは、思わず額に手を当てた。
 シュレイン自身には、熱があるという自覚はなかった。・・・・・・というよりも、シルヴィアに言われた顔が赤いという理由に、思い当たりがありずぎた。
「あ~、うむ。そのことか。・・・・・・確かに、いつもとは体調が違うといえばそうなのじゃが、別に悪いことではないのじゃから、心配はいらぬ」
 なんとも不思議な言い回しだったが、シュレインのその言葉を顔を見ていたシルヴィアは、巫女としての能力(?)を最大限に発揮して、正しい正解にたどり着いた。
「あっ! あらあら。そうでしたか。おめでとうございます!」
 完全に確信したようにそう言ってきたシルヴィアに、これは隠せないと悟ったシュレインは、笑顔になって頭を下げた。
「ありがとう。じゃが、考助に言うべきかどうか、少し悩んでおっての」
 折角なので悩みも相談しようと、シュレインはシルヴィアにそう持ち掛けた。

 シュレインの言葉を聞いたシルヴィアは、驚いた顔になった。
「え? そのことを言いに行くつもりだったのではないですか?」
「いや、それとは別件じゃの」
 すぐにそう返してきたシュレインに、これはなにかあるのだと察したシルヴィアは、真面目に話を聞く体勢になるのであった。
ごめんなさい!
すんごく中途半端ですが、今回はここまでで次話に続きます。
まあ、後半のやり取りは、敏い読者の皆様ならすぐに分かるでしょうがw
それプラス、なにを作ったのかも次に報告します。
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