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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第3章 過去へ訪問

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(3)できれば考えない方向で

 コウヒを始めとした管理層とアスラを筆頭にした神域を騒がせている張本人たちは、のんびりと周囲を見回していた。
「シュレイン、大丈夫?」
「うむ。コウスケのお陰でけがはない。転びもしなかったしの」
 シュレインは、そんなことを答えながらのんびりと周囲を見回した。
「それにしても、ここはいったいどこじゃ?」
 ぐるりと見回すが、辺りは完全に草原で、ちょっと前まで壁に囲まれた部屋にいたとは思えない光景だった。
 その原因がなんであるかは、考えるまでもない。

 考助とシュレインは、揃ってシュレインが持っている錫杖に目をやったが、当然ながら(?)それに反応することはなかった。
「水鏡に錫杖が反応して、場所が変わったとなると、あまり考えたくない結果になるよねえ」
「うむ。できればあまりいい結果とは言えないの」
 ふたりともなんとなくこの状況を理解しているものの、最悪の結果は考えたくないというのがにじみ出ている。
 しかし、先ほどまでの状況を考えれば、どうしてもその結論に行きついてしまうのだ。

 ゆったりと周囲を見回しながら状況を確認していたふたりだったが、それに割り込んでくる声があった。
『随分とのんびりとしたものね。こっちはかなり焦ったのに』
「ミツキ・・・・・・!?」
 声からミツキだということはわかったが、その姿は見えない。
 どういうことだと声が聞こえて来た方を見たが、やはりそこには誰もいなかった。
『ここよ、ここ』
 ミツキの声がする場所を考助がジッと凝らしてみると、やがてぼんやりとその姿が見えて来た。
「あ、いた。・・・・・・のはいいけれど、その姿は一体なに?」
 ようやく見つけることができたミツキの姿に、考助は戸惑ったような、驚いているような、複雑な表情になった。

 ミツキの姿は、考助が目をようやく凝らして見つけることができたことからも分かる通り、透明になっていて存在が希薄になっていた。
 さらにその大きさも五センチ程度で、小さな妖精といわれても違和感のない状態になっている。
 かろうじて、背中にある三対六枚の翼だけが、妖精との違いを主張しているようだった。
『考助様が、変なことに巻き込まれると思った瞬間に、どうにかついて行こうとしたんだけれど、肉体ごとは無理だったから慌てて魂を分離してついてきたのよ。しかも、無理やりに近い状態だったからこの姿を維持するので精一杯でね』
 そのミツキの説明で、考助は思いっきり渋い顔になった。
 ミツキがそんな状態になるまで追い込まれるとなると、やはり自分たちが先ほどから考えないようにしていた状態になっていることが、またひとつ裏付けられたことになる。
「そうか・・・・・・。そこまでしてついてきてくれてありがとう。・・・・・・と、言いたいところだけれど、状況はあまり芳しくないな」
『そうね』
 考助の分析に、ミニミツキが頷いた。

 ミツキと会話を続ける考助に、シュレインが不思議顔で問いかけて来た。
「ミツキはどこにおるのじゃ? 声はするが、姿は見えんぞ?」
「ここに・・・・・・って、そうか。シュレインには見えないか」
 本人が言っていた通り、ミツキはここに来るために、かなりの無茶をしている。
 考助との絆を利用して、無理に来ているためになんとか考助には見えている状態だが、シュレインにその姿が見えていないのは、仕方のないことだ。

「うーん。といってもな。・・・・・・どうにかできるかな?」
 考助はそう言いながら、ミツキに向かって右手の人差し指を差し出した。
 考助の意図を察したミツキは、抵抗することなくその指を掴んだ。
 掴んだといっても、大きさで比較すれば、抱きしめたといってもいいような状態だ。
 なんとなくいやーんな感じを思い浮かべた考助だったが、その想像を振り払って人差し指に神力を込めた。
 加減がわからないので、最初は弱めに行っている。
『うん。大丈夫そうね。もう少し強くしてもらってもいいかしら?』
 ミツキの指示に従って、考助も少しずつ込める神力を強くしていった。

 考助がミツキに神力を送ったのは、一分もかかっていない。
 だが、その間にミツキの姿はだんだんと濃くなっていき、やがてシュレインにも見えるようになった。
「おお。やはりそこにおったか」
 考助が人差し指を差し出したときから想像はしていたが、姿が見えたことでようやく確信できた。

 そのシュレインの声で、十分だと判断した考助は、ミツキに神力を送るのを止めた。
『あら。もっとくれてもいいのに』
 少しだけ拗ねたような顔になったミツキに、考助は首を左右に振った。
「それは駄目。直接魂に干渉しているんだから、あまり不確かなことはしたくない」
 いまのミツキの状態は、肉体がなく魂だけの存在だ。
 そのミツキに直接考助の神力を与えているのだから、肉体に戻ったときにどんな影響が出るかわからない。
『仕方ないわね』
 ミツキもそのことがわかっているので、そう言いながら渋々といった感じで頷くのであった。

 ちなみに、考助はこの段階でコウヒがミツキと同じように付いてきているとは考えていない。
 あの事故(?)が起こったときに傍にいなかったということもあるが、もしきているならミツキと同じようにすでに姿を現しているはずだからだ。
 それが無いということは、付いてこれなかったのだということがわかる。
 付け加えれば、すぐ傍にいたミツキでさえこんな状態になっているのに、離れた場所にいたコウヒが対応できたとは思えなかったのである。

 
 シュレインがミツキの姿を確認できるようになって、ようやく三人はもう一度いまの状況をきちんと整理することにした。
「――といっても、まあ、ほぼ確定と言ってもいいと思うけれどね」
「そうじゃが、まあ、あまり結論を早めるとろくなことにならないじゃろう?」
『そうね。少なくとも誰かと話をして、確定しないと駄目だと思うわ』
 確定的なことを決めつけるのは先延ばしにしつつ、三人は頷き合っていた。
 たとえ全員が確信していたとしても、万が一間違っていた場合には、元の場所に戻れなくなってしまう可能性もある。
 そのため、三人が敢えて今の段階で結論を出さないのは、当然といえる。

「きちんとした情報を得るためには、ほかの人から情報を得ないといけないと思うけれど、どう?」
「賛成じゃの。いつまでもここにいても仕方ないの。出来るだけ早めに、里か村でも見つかればいいのじゃが」
 少なくとも、辺りを見回してもそれらしいものは見当たらない。
 人が集まっているような場所を見つけるには、どうしてもいまいる場所から移動する必要があった。
「・・・・・・それで? ミツキはいったいなにをやっているのかな?」
 なにやら先ほどからごそごそと動いているミツキを見て、考助がそう問いかけた。
『やっぱりこの状態は不便ね。いつもは無意識に使っている力が全然使えない・・・・・・あら?』

 実はミツキは、考助とシュレインが村の話題を出したときから、周囲の様子を探る魔法を使おうとしていたのだ。
 ところが、肉体から離れた影響のためか、普段は意識せずに使っている魔法が、面倒な手順を踏まないと使えないことがわかった。
 そのために、いろいろと試していたのだが、ようやくその魔法を発動することができた。
 そして、同時にその魔法に反応するものがあった。
『向こうのほうで、なにか起こっているみたいだけれど、どうする?』
 なんとも都合のいい展開だが、せっかく現れた都合のいい存在に、考助とシュレインは顔を見合わせた。
 そして言葉にすることなく、三人は無言でミツキが差した方角へ向かって歩き始めたのである。
ミツキが半透明に!
かなり慌てていたので、万全の状態では来ることができていません。
ついでに、考助やシュレインも・・・・・・。(これはまた今度w)

それはそれとしてようやくここまで来ました。
次はいよいよ対面ですw
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