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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第1章 塔に向かおう

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(8)冒険者ギルド

よろしくお願いします
 公的ギルド。
 それは、ある程度の大きさの街には必ず存在している公的機関が運営するギルドである。
 公的ギルドのメンバーは、何も冒険者に限ったものではない。
 冒険者、商人、職人、等々・・・。
 公的ギルドに入会するのは、人が何かの職に就くときに必ず通る道とさえ言われている。
 勿論、貴族など長男長女が、家督を継ぐような特殊な場合は別だが。
 いわば職業斡旋所と職業訓練所を合わせたような組織なのだ。
 まあ職業訓練所といってもあくまで実践的に経験を積んでいくことになるのだが。
 公的ギルドには必ず掲示板が用意されている。
 その掲示板に各種依頼が貼られていて、その依頼をカウンターに持っていき受付を行う。
 依頼を受けるのに、特に人数の制限はない。複数で受ける場合はパーティー単位で受けることになる。
 パーティ人数の上限は六人。それ以上の人数が集まって行動するときは、複数パーティかあるいは私的ギルド単位への依頼になる。
 公的ギルドから見て、複数パーティと私的ギルドへの依頼の区別はない。
 依頼内容で大人数で対応する必要になった場合に、受ける側が複数パーティか私的ギルドで受けるかの違いである。
 公的ギルドの方から依頼に関して人数制限を設けることはない。人数に関しては、あくまで受ける側で決めることになる。
 依頼にはランクが設けられていて、そのランクに対応したパーティしか受けられない。
 ランクとは個人に対して設定されるのではなくパーティ単位で設けられている。例え登録の際に個人で登録したとしてもその際には一人パーティを設定することになる。そのパーティランクで受けられる依頼が決まる仕組みだ。
 ランクは、S・A・B・C・D・E・Fの七ランクがある。
 FランクのパーティはFランクの依頼しか受けることができず、EランクのパーティはEとFの依頼を受けることができる。
 高ランクのパーティはそのランクより下の依頼を受けることが可能だが、自身のランクより二つ下(例えばBランクだとD以下)の依頼を受けることはいいこととはされていない。低ランクパーティが育たないからだ。
 ちなみに、私的ギルドの設立には特にきまりや手続きなどはない。設立したと宣言すればいいだけである。
 それ故に、どこの機関においても全てのギルドを把握しているところはない。世界のあらゆる場所で、好き勝手に新しいギルドができたり消えたりしているから当然と言えば当然だ。
 だからこそ世間に名の知れた私的ギルドという存在は、皆から尊敬や憧れだったりあるいは嫉妬や妬みといった対象になる。
 有名ギルドのメンバーになるか、あるいはギルドを設立するというのは、一種のステータスシンボルと言っていい。
 だからこそ伝手のない若手は、有名ギルドにスカウトされることを目指して頑張るそうだ。
 一部では、公的ギルドの職員が斡旋したりすることもあるそうだ。

 以上、考助たち三人が、リュウセンの公的ギルドの美人な職員からメンバー登録の際に聞いた話のまとめである。
 登録の際に、ギルドについての詳しい話を求めたらわざわざ席を用意してくれた上に、かなり細かい話までしてくれた。
 どうやらリュウセンの公的ギルドにとって、新規登録者というのはとても貴重な存在であるようだ。
 それはともかくそんな話をしている間に、メンバー証が出来上がった。
 メンバー証はそれを持つ個人の魔力や聖力パターンを登録して出来ているそうである。
 魔力・聖力パターンは指紋のように個人個人で違っているので、二つと同じものがないので身分証として最適ということだった。
 考助がもらったメンバー証は以下のように記載されていた。

 名前:コウスケ
 年齢:二十歳
 パーティ名:永遠の旅路
 ギルド名:なし

 至ってシンプルである。
 よくあるように個人スキルなどの記載はない。
 というより、この世界でスキルの存在が認められているかは、まだ聞いたことがない。
 考助は左目の力で見ることができるが、それが一般的に知られている可能性は低いと考えていた。
 パーティ名に関しては、三人で決めた。何となく中二臭かったりしたが、それ以上考えるのが面倒だったのでさっさと決めてしまった。
 美人な職員の話では、後から変更も可能とのことなので、あまり深く考えていない。
 ギルドは特に所属していないので空欄だ。
 ちなみに年齢に関しては自己申告で、アスラから転移の際に外見年齢は二十歳くらいにしておくと言われたので、二十歳にしてある。
 考助と同時にコウヒやミツキもカードを受け取った。
 当然ながらパーティ名とギルド名は考助と一緒。年齢は・・・秘密だそうだ。

 登録も終わりギルドカードを受け取った三人は、すぐ外には出ずに掲示板で仕事依頼のチェックしていた。
 どんな依頼があるのかを調べるためだ。
 見ると本当に色々な依頼がある。
 といっても考助にとっては、ゲームなどで馴染んだようなものばかりである。
 冒険者系であれば、魔物討伐や採取。商人系であれば、商品入荷。職人系であればアイテム作成等々。
 掲示板で依頼チェックをしている間、考助たちはかなりの注目を浴びていた。正確には、コウヒとミツキが、である。
 掲示板がある場所は食堂兼酒場になっているためギルドメンバーたちが情報収集を兼ねてくつろいでいた。
 その冒険者たちの注目を集めているのである。男女問わずに、である。
 同性にとっても彼女たちの容姿は、注目するに値するのであろう。
 もっともそういった視線を二人は完全に無視している。
 考助たちは登録したばかりなので受けられる依頼はFランクのものだけなのだが、どういったものがあるのか確認するため一応すべての依頼を見ている。
 今日依頼を受けないことは、すでに決めてある。
「どう?」
「特に問題ありません」
「そうね。低ランクほど常設依頼が多いみたいだし、受けられるものは受けていった方がいいみたいね」
「・・・そうだね。確認はもういいかな?」
 考助の確認に、コウヒとミツキは頷いた。
「それじゃあ、買い物に行こうか」
 考助がそう言うと三人は連れ立って、公的ギルドから出ていった。
 中にいた者達は、それをただ見送っていた。
 普段であれば、昼間でも酒が入っている者がいたりするため、初心者をからかう者が出たりするのだが、今回に限ってはそんなことも起こらなかった。
 それを特におかしいと思わずに、彼らはまた普段の様子に戻っていった。ただし、その話題は先ほどの新人二人のことであった。残念と言うべきか、当然と言うべきか、考助のことは印象に残っていないものがほとんどだった。

 公的ギルドから出た三人は、そのままの足で予定通り生活用品の買い出しに向かった。
 服から日用品、長期の冒険に必要なものまで思いついたものは片っ端からそろえて行った。
 時間が勿体ないので、途中からミツキが別行動で違うものをそろえている。
 ついでに情報に関しても少しでもいいから雑談ついでに集めるつもりのようだ。

 考助とコウヒは、買い物を少し早目に切り上げて宿に戻った。
 シュミットとの約束があるからだ。
 二人が宿に戻ると、すでにシュミットがカウンターのそばで待っていた。
「すいません。お待たせしましたか?」
「いえいえ。そんなに待ってはいませんよ。それに、約束の時間もまだですし」
 ちょっとした挨拶を済ませて三人は、奥まった場所へ移動する。
 さすがに金額が金額なだけに、あまり目立つところで受け渡しするわけにもいかない。
「ではこれで全部になるので、ご確認ください」
「・・・・・・確かに、受け取りました。ありがとうございました」
「いえいえ。こちらこそ良い取引をさせてもらいました」
 そう言うシュミットは、満面の笑顔である。もちろん商売用の笑顔というのもあるだろうが、実際にかなりの儲けが出ていた。
「そう言えば伺いたかったんですが、相場って簡単に動くものなんですか?」
「そうですね・・・扱うものによる、としか言いようがないですね。・・・何か商売でも考えておられるのですか?」
「いえいえ。さすがにそこまでは考えていませんよ。集めた素材で相場が崩れたりしたら面倒ですから伺いたかったんです」
「なるほど、そういうことですか・・・そうですね・・・例えばですが、考助様が今回お出しいただいたような物でしたら百枚単位で持ち込まれますとさすがに値が崩れるでしょう。あれはあくまでもご婦人用として買い取りましたから。
 逆に消耗品として使われるような素材、例えば薬草などはいつでも需要がありますので、よほどの量が持ち込まれない限りでは値が崩れるといったことは起こらないでしょうね」
「・・・なるほど。ありがとうございます。参考になりました」
 素材の商人への直接の持ち込みは手っ取り早く稼ぐにはいいが、あまりやりすぎると派手に目立ってしまう要因になりえる。
 堅実にいくには、ギルドに出ている依頼をこなすのがいいということだろう。
「いえいえ。こんな事でしたらいつでもお話しできますよ」
 軽く笑ったシュミットは、それでは、と一言言いおいて自分の部屋へと去って行った。

 考助とコウヒが夕食を終えて購入した物の整理が終わったころ、ミツキが部屋へと戻ってきた。
 若干頬が赤くなっている。アルコールが入っているのだろう。
 夕食は別でとると前もって話していたので、それは特に問題ない。
「おかえり」
「ただいまー。疲れたから、ご褒美頂戴」
「ミツキ!!」
 ミツキが考助に抱き付いて、んーと唇を寄せてきたのを見て、コウヒが怒った。
 酔ってるのかと思ったが、目が笑っているのを見た考助は、ふざけているだけだとすぐにわかったのだが。
「とりあえず、荷物の整理を終わらせようよ」
「えー。キスぐらいいいじゃない。・・・どうせこの後もっとすごいことするんだし」
「そ・・・そうですが・・・」
 赤くなって俯いたコウヒを見て、考助は思わず視線を逸らした。
 とんでもない破壊力である。
 それを見たミツキも悪戯が成功したように笑っていた。

 結局三人が、この世界で初めてのベットで寝ることができるのは、かなり夜が更けてからになるのであった。
次話投稿は翌日20時投稿予定

2014/5/11 誤字脱字修正
2014/6/3、13 誤字修正
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