第34話 やったー!ユピテルをつかまえたぞ!
「ルファス様!」
俺が人ごみを避けて走っていると、道の脇からディーナが飛び出てきた。
リーブラと一緒に転移してたはずだが、どうやら装備の整頓は終わったらしい。
しかし肝心のリーブラの姿が見えず、俺は彼女の速度に合わせて走りながら聞いてみる事にした。
「ディーナか、速かったな。
リーブラはどうした?」
「リーブラ様でしたら戻ると同時にどこかへ飛んで行きました。
ユピテルの反応をキャッチしたそうです」
それを聞き、俺はやはりかと頷いた。
この件は予想通りユピテルが裏で糸を引いており、一気に仕掛けてきたわけだ。
しかし奴にとって不幸なのはリーブラが戻ってきてしまった事だろう。
ともかく、リーブラが向かったならあちらに関しては俺の出る幕はない。
今回はアリエスと、彼が殴ろうとしている12星天を何とかしなくては。
「アリエス様は?」
「余の制止も聞かず飛び出しおった。どうやら此度の件、12星も絡んでいるらしい」
「12星が……?」
俺とディーナは跳躍し、家屋の上に乗る。
そして跳躍を繰り返しながら移動し、アリエスを探した。
「相手にもよるが、12星同士の一騎打ちは危険だ。
余が出向いて止めねばなるまい」
「わかりました。お供します」
俺達はあちこちを跳びながら、アリエスの姿を探す。
全く、こういう探索は苦手なんだよな。
都合のいい話だが、こういう時だけは獣人が羨ましくなる。
*
ユピテルは逃げていた。
複雑に入り乱れた街中を疾走し、リーブラの目から逃れるように路地裏へと逃げ込む。
なるべく狭く、細く、見付かりそうにない場所へ!
しかしその先に回り込むようにリーブラが空中より家屋を破壊しながら降下し、着地する。
そして間髪入れず発砲! 数百数千の銃弾が市街地を駆け抜け、けたたましい雷音を鳴らす。
「畜生!」
逃げながら、転がるように家の一つに飛び込んだ。
とにかく今は隠れなくては!
隠れて、体勢を立て直すのだ。
息を切らせて走り、タンスの取っ手に手をかける。
しかし直後、壁を突き破って突入してきたリーブラによってタンスは無惨に四散した。
「ちいいっ!」
咄嗟に風魔法を放とうとするが、それよりも早くリーブラが左腕を振り上げた。
同時にユピテルの肘から先の感覚が喪失し、遅れて腕が床に落ちる。
光刃一閃。ユピテルの反撃を完全に予測し切ったリーブラにより、腕を切り落とされたのだ。
「警告します。これで貴方の攻撃力は39%低下しました。
現時点における貴方の勝率は――」
「くそっ! くそっ!」
腕から血を流しながら、またユピテルは逃げる。
駄目だ、戦いは駄目だ。あれには勝てない。
棲む世界が違う。桁が違う。
あれは……あれは化物だ!
しかしスピードには自信があった。小回りには自信があった。
逃げればいい。逃げて、再起を図るのだ。
あんな馬鹿げた殺戮人形の相手などする必要はない。とにかく、今は逃げるのだ。
家を飛び出し、また別の家へ飛び込む。
しかしまるで待っていましたとんばかりに、玄関でリーブラが優雅に佇み、一礼すらしてきたではないか。
「警告します。貴方の逃走成功率は……」
「う、うわあああああ!!」
またも逃げる。
市街地を駆け抜け、自らが暴徒へと変えた人ごみを搔き分け、また別の家へ飛び込んだ。
廊下を駆け抜け、リビングへ。
そしてリビングでは、余裕こいて座っているリーブラとまたも鉢合わせをしてしまった。
「警告します、貴方の逃走成功確率は現時点で1%を切っております。
降伏を強く……」
「くそおおおお!!」
走り、曲がり、跳び、人ごみをかきわけ、一軒の家の中に飛び込んだ。
前回はこうして逃げ切る事が出来た。
迷路のような街を利用して、うまくあいつを撒けた。
だから今度も大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。
風の魔法で周囲の音を遮断し、呼吸の一つすらも聞こえないようにする。
「ハァー……ハァー……」
荒く肩を上下させながら、服を破いて肩に巻き付ける。
治療アイテムは……駄目だ、持って来ていない。
少しでも身軽になる事を優先して、道具は全て置いてきてしまった。
壁に背を付け、窓を注意深く見る。
……いた! あの人形が窓の外を歩いている!
(いけ! いっちまえ! こっちを見るんじゃねえぞ!)
リーブラはしばしその場所で制止していたが、やがて通り過ぎて行った。
大丈夫、気付かれていない。気付いた様子もない。
心臓が五月蝿いほどに高鳴り、嫌な汗が滲む。
1秒……何の動きもない。
2秒……家の中は静寂に包まれたままだ。
3秒……依然変わりなし。
思わず安堵の溜息が漏れ、ユピテルが気を抜く。
――瞬間、ユピテルが背にしていた壁を突き破って二本の腕が生え、彼の首を絞めた。
「がッ……アッ……!」
「風の魔法で周囲を無音にするのは無意味であると忠告します。
喧騒に包まれたこの街で不自然に音が消えている場所があれば、それは逆に貴方の位置を私に知らせてしまいます」
感情の篭らない声が不気味に鼓膜を震わせ、腕に込められた力が増す。
口から泡を吹きながら、ユピテルの脳は恐怖に支配された。
(こ、殺される……このままじゃ俺は殺される……!)
咄嗟の判断。
風の魔力で己の身体を弾き、強引にリーブラの魔手から逃れる。
無論彼女の力が緩んだわけではない。
掴まれていた首の皮膚を剥がす事で、大量の出血をしながら逃げたのだ。
リーブラの掌には剥がれた皮膚が付いており、しかし彼女はまるで動じた様子もなく冷たい視線をユピテルへと向ける。
「っっ!」
ユピテルは完全に戦意を喪失した小動物のような目で機械人形を見上げ、弾かれたように走り出した。
しかしリーブラはすぐにその後を追う事はせずに、キュイ、と首を僅かに動かす。
そして、いっそ緩慢とも言える歩みで、無表情のままに後を追跡した。
「ハァッ……ハァッ……ハーッ……!」
またも別の家の中に逃げ込んだユピテルは床に座り込み、一心に見付からない事だけを祈り続けていた。
風で音を消す事すら出来ず、手で口を押さえ、必死に呼吸の音を抑えていた。
今まで女神に祈った事などない。
だが今だけは祈ろう。信仰だって捧げよう。
お願いだ神様、どうか俺をあいつから逃がしてくれ。
あの人形を、俺の前に連れて来ないでくれ!
ガチガチと歯が鳴り、冷や汗が止まらない。
ああ、何だこれは。奮えが止まらないぞ。
何て情けない……これが7曜と呼ばれて恐れられている男の姿か。
とんだお笑い草……真に恐れられる化物は別に存在していた。
自分達など、ただその不在の間にちょっと調子に乗っていただけに過ぎない。
その事を思い知らされた男はゆっくりと、物音を立てないように赤子のような緩慢な動きで立てかけられている鏡へと近付く。
壁は駄目だ。壁を背にするな。また腕が出て来るかもしれない。
今度は逃げる間もなく骨を折られるかもしれない。
窓を見るのも危険だ。そこに奴がいるかもしれない。
鏡だ。鏡越しの反射で見るんだ。
そう判断した彼は、決して間違えてなどいない。
慎重に、万全を期した最良の選択であると言えるだろう。
唯一つの間違いがあるとすれば、それは、“そもそも正解などない”という事だけだろう。
「――ッッ!!」
鏡を見て、背筋が凍った。
――いる!
鏡に映ったあの人形が、そこに立っている!
既に家の中で、すぐ後ろに佇んでいる!!
「…………」
リーブラが声を発さずに、唇だけを動かす。
その動きが、ユピテルを更に恐れさせた。
口のその動きが、何を伝えたいのかを彼に教えてしまう。
“に が さ な い”
「――あああああああああああ!!」
全身が傷付くのも構わずに窓を破り、外に転がり落ちた。
だが痛みなど気にしていられない。止まってなどいられない。
ユピテルは走る。
生まれてからこれまで、こんなに怯えた事はない。
何だあれは? 何故こんなにも的確にこちらの位置を掴んでくる!?
怖い、恐ろしい。
あの無機質な人形が今、何よりも恐ろしい!
「警告します」
「警告します」
「警告します」
まるで壊れたかのように、会う度に同じ事を繰り返し述べ、しかし語られる逃走率だけが確実に下がっていく。
怖い、恐ろしい。
同じ言葉を無機質に延々と繰り返しながら、追いかけてくるあれが恐ろしい。
どこまでも追いかけてくる。
疲労などまるで無縁だとばかりに、どこまでもどこまでも追い詰めて来る!
こちらは、もう息が切れているというのに!
噴水の前まで行く。
水の中から機関銃を構えたリーブラが出て来る。
人ごみに紛れる。
ポンと肩を叩かれたと思ったら、それがリーブラだった。
白の街の馬鹿共の集会所に行き、そこに用意してあった地下の隠し通路へ入る。
既に中でリーブラがスタンバイしていた。
プライドを捨てて共有のゴミ箱の中に飛び込む。
わずか3秒後にリーブラに箱ごと引っくり返された。
近くにあった木箱を被り、隠れる。
僅か数秒後に箱を持ち上げられ、覗き込んでくるリーブラと目が合った。
どこに行っても奴がいる。
どこに逃げても奴が追ってくる!
人形の視界から逃げ切れない。
曲がり角を曲がれば、もうそこに先回りしている!
視界に映らない時が、10秒も続かない!
「あああああああ、あああああ!
ああああああああああ!!」
悲鳴をあげながらユピテルは飛んだ。
生まれてから恐らく今日まで、一度も出した事のない全身全霊全力飛翔。
身体が負荷に耐えかね悲鳴を上げようと構わない。
風圧で自慢の顔が歪もうが気にはしない。
恐怖に駆られ、ユピテルはただ真っ直ぐに飛翔した。
そして昨日まで隠れ家としていた森の中へ飛び込み――。
「――お待ちしておりました。
予測よりも5秒早い到着です。
対象の速度を再計算、誤差を修正します」
「――」
その瞬間、ユピテルの心は完全に恐怖のみに支配された。
駄目だ、理解した。こいつは……この追跡殺戮人形からは逃げられない。
12星天にまつわるいくつかの伝説。その中の一つに『天秤』を語る記述がある。
見た時は信じもしなかった。
仮に本当だとしても、自分ならば逃げ切る事が出来ると思っていた。
だが確信した。理解した。
伝説に曰く。
一度『天秤』のリーブラに狙われたならば――地獄の底まで逃げようと、必ず追いかけてくる。
「警告します。
抵抗を止めて降伏する事を強く推奨します。
周囲に貴方以外の対象がいないこの状況ならば私は貴方が逃げるよりも早く『ブラキウム』を発射出来ます」
「……う、あ、ああ……」
「貴方の勝率は0%です。
繰り返します。降伏を強く推奨します」
足が震える。
手足の感覚がない。
知っている。『ブラキウム』という名の殺戮兵器の存在を彼は知っている。
一度放てば問答無用で一定以下の実力の者を完全に抹殺し尽くす恐怖の最終兵器。
天秤のリーブラの代名詞とも言える必殺の武器。
その武器の前ではいかなる防御も小細工も意味を成さず、一瞬で焼き尽くされてしまう。
「10秒以内にこの勧告に従わない場合、このままブラキウムの起動を行います。
また、逃走や抵抗の素振りを見せても同様に発射します」
「な、あ……え!?」
「カウント開始……10……9……8……」
「ま、待て! 待ってくれ!」
「7……6……5……」
リーブラは無情にカウントを続ける。
そこに止めようという意志や、情けや、私情など入り込む余地もない。
ただ機械的に、無機質に。
10秒という限られた死刑執行までの猶予時間を読み上げるだけだ。
ユピテルは後悔の中にあった。
まだ街中にいる時に戦えばよかった。
それならばまだ、こちらにも僅かの勝機があったはずなのに。
しかし逃げ回り疲れ果て、結果、ブラキウムを構わず発射出来る位置に自ら来てしまった。
無論、実の所リーブラはいざとなれば街中だろうが発射しただろうがユピテルがそれを知る由などないし、これがカウントのみのブラフだろうと、正常な判断が出来ぬ彼ではそんな事を読む事も出来ないだろう。
こうなればもうどうしようもない。逃げるよりも先に、抵抗するよりも先にブラキウムが撃たれてしまう。
そして発射されれば抵抗など出来ない。間違いなく死ぬ。
その思考だけが脳裏を駆け巡り、ユピテルは己が既に詰んでいると強く思い込んでしまった。
「4……」
「た、頼む。なあ、待ってくれ」
「3……」
「ちょ、ちょっとでいいんだ……」
「2……」
頼むから……た、頼むから……」
「1……」
「わ、わかった! 降参する! 降伏する!
だからそれを撃つのはやめてくれえええええええ!」
「――……。
対象の戦意喪失を確認。
ブラキウムの起動を中断します」
無機質な恐怖を前にユピテルの心が完全にへし折れた。
プライドも自信も何もかも、無情な人形の恐怖に呑まれて屈した。
全身は油汗で濡れ、動悸は激しく歯がガチガチと噛み合う。
恐怖と絶望のあまり股間の部分には染みが広がり、なけなしの見栄すらもが崩れ落ちた。
それと同時にリーブラはカウントを中止する。
勝敗は、完全に決した。
人形に狙われている事を知って王都まで戻ってきた。
それがユピテル最大のミスだったのだ。
*
「やはりここにいたね、アイゴケロス」
「――アリエスか」
先日邂逅した公園。
そこで二人の12星は再び相対していた。
しかしその険悪さ、身に纏う剣呑さは先日の比ではない。
互いにルファスへの忠誠を誓うからこそ、己の邪魔をするならば同志であろうと討つ覚悟がある。
ルファスの意志に反した行動を取るアイゴケロスを止めようとするアリエス。
ルファスの意志に反してでも英雄を討つ、その為ならばアリエスだろうと討つアイゴケロス。
12星の中でも最も近しい二人は譲らぬ意を携え、ここに二度目の邂逅を果たしていた。
「町の人達を狂化させているのは君だろう?
それはルファス様の望む事じゃない……今すぐに止めるんだ」
「その言葉……どうやら本当に我を止めるつもりらしいな」
アイゴケロスの纏う禍々しいオーラが、より一層暗さを増す。
それに対し、アリエスもまたその全身を虹色の炎に包みこんだ。
「汝が勝てると思うか? 『牡羊』よ」
「僕だって200年前の僕じゃないさ、『山羊』」
アリエスの周囲が『メサルティム』の熱気に当てられ、蜃気楼のように歪む。
公園の噴水は蒸発し、地面が焼ける。
アイゴケロスの周囲が歪み、暗く染まる。
木々は枯れ、付近を飛んでいた虫が触れもしないのに絶命した。
「どうしてもやるのか」
「君が止まれば、避けられる争いだ」
「笑止!」
アイゴケロスが手を突き出す。
それと同時にアリエスが身体の位置をずらし、直後、彼が立っていた場所を黒い波動が突き抜けて行った。
地面を抉り、射線上にあった建造物を一直線に砕き散らし、それでも尚止まらず町の外まで波動が飛び出した。
「ふっ!」
アリエスが跳躍し、炎を纏った蹴りを放つ。
アイゴケロスがそれをガードするも、余波だけで地面にクレーターが出来上がり、公園が更地へと変わった。
しかしアイゴケロス自身は微動だにせず、反撃の一打をアリエスへ見舞う。
「ぐうっ!?」
吹き飛ぶ小柄な体躯。
建造物のいくつかを貫通するも、アリエスは何事もなかったかのように空中で回転、着地した。
それを追ってアイゴケロスが飛び、上空から黒い波動を叩き付ける。
だがアリエスは手刀を作ると、飛んで来たそれを片手で弾き飛ばした。
明後日の方向へと飛ばされた波動は天高く飛び、雲を蹴散らしてどこかへと飛び去る。
「はァ!」
アリエスが跳び、咄嗟にクロスしたアイゴケロスの腕に拳を叩き付けた。
まるで二人を中心に空中で地震が起こったかのように大気が揺れ、砲弾の如き勢いでアイゴケロスが吹き飛ぶ。
街を通過し、山を通過し、遥か遠方へと飛び続ける。
だがそれを止めたのもまたアリエスだった。
アイゴケロスの吹き飛ぶ先に彼よりも尚早く疾走した彼は飛んできたアイゴケロスを蹴り上げ、今度は空中へと飛ばす。
そして跳躍。またもアイゴケロスの先へと回りこむ。
「っりゃああ!」
両手を組んでダブルスレッジハンマー!
アイゴケロスの頭部を思いきり打ち下ろし、地面へと戻した。
墜落すると同時に地面が砕け、揺れ、周囲の動物が我先にと逃げだす。
そこにアリエスは休まず、炎を生成すると連続で発射した。
虹色に輝く炎弾が次々と地面を抉り、アイゴケロスを討ち据え、幾度となく爆ぜる。
「……!」
しかしやはりこの程度ではダメージすら満足に通らないようだ。
煙を裂いていくつもの輝きが奔り、アリエスを狙い撃つ。
月属性の高位魔法、ルナシューター。
高命中、高威力の直線状に走る魔力の閃光。
月属性の高位魔法、ルナブラスト。
同時に3体の対象をロックし、狙い撃つ黒い弾丸。
月属性の超高位魔法、ルナティックレイン。
月の光の如き数多の閃光で敵全体を殲滅する光の雨。
それ以外にも月に属する高位魔法、上位魔法が雨あられと乱射される。
だがアリエスは両手から炎を吹かす事で空中移動を行い、撃たれる魔法を悉く避ける。
右に左に、上に下に。
めまぐるしく変わる視界にもまるで平静さを失う事なく、僅かな魔法の隙間へと飛びこんで行く。
「メサルティム!」
突撃しながらその形相を歪める。
小柄な少年の身を巨大な羊の形をした炎が包み、加速する。
瞬く間に彼は炎に包まれた虹色の怪物へと変貌し、アイゴケロスにありったけの力で体当たりを叩き込んだ。
もしこの光景をルファスが見たならば「それ、そういう技じゃないから」と突っ込みを入れたかもしれない。
少なくとも、彼女の知る『ゲーム』では存在しない使い方だ。
アイゴケロスが盛大に吹き飛び、流石にこれは堪えるのか低く呻く。
しかし彼もまた12星。吹き飛びながらアリエスに手を翳し、そして必殺のスキルを解き放った。
「デネブ・アルゲディ!」
一際巨大な黒い波動が一直線に進み、アリエスを呑み込む。
互いに最大の技を直撃で受け、黒と虹色の柱が空中に向けて立ち上った。
数秒に渡る沈黙。
それを破り、まずアイゴケロスが立ち上がった。
続けて煙の中から、服がボロボロになり肩が露出したアリエスが姿を現す。
互いにダメージはある。しかし戦闘続行に支障が出る傷ではない。
「……流石にやるね、アイゴケロス。
200年経ってもその魔力に衰えなし、か」
「貴様もな、アリエス。
随分と出来るようになった」
二人は互いを認め合うように笑う。
しかしここは戦場、目の前にいるのは敵だ。
互いの意地と忠誠を貫くべく、二人の12星は再び『敵』目掛けて疾走した。
ダメだ! しょうぶの さいちゅうに あいてに せなかは
みせられない! ダメだ! しょうぶの さいちゅうに あい
てにせなかはみせられない! ダメだ! しょうぶのさい
ちゅうにあいてにせなかはみせられない! ダメだ! し
バン(∩´;ω;) バンバンバンバン゛ン
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
\/___/ ̄
ょうぶのさいちゅうに あいてに せなかはみせられな
い! ダメだ! しょうぶの さいちゅうに あいてに せなか