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第103話 リーブラの強い祈り(?)がアストライアに届く――!

・最近の出来事

最近見たRPG系小説の敵「このスキルの効果により一定時間うんたらかんたら~ステータス下降がうんたらかんたら~」

主人公「事前に発動しておいた魔法の効果により巻き戻しがうんたら~」

このやり取りをターン制で数話くらいやってる


私「(´・ω・)おお、すごいRPGしてる。これぞRPG系って感じのバトルだ。参考になるなあ」


うちの主人公「はあああ!」

ベネータ「っちゃあああ!」

バキッドガガガガッ、バシッビシッ、ズガガガガ

ポーピー シュインシュインシュイン

ピシュン、ピシュンピシュンピシュン

ドゴン、ドゴン、ドゴン、ドゴン

ユウキギーミギミパワー

\デデーン/  \あ、シャモ星……/


私「(´・ω・)」

私「(´・ω・`)」


よし、何も問題はないな。

「あまり調子に乗らぬ事です、レオン」


 リーブラの目が輝き、彼女を中心として周囲を覆う光の幕が形成される。

 すると、先程まで確かにいたはずのアリエスとディーナがフィールドの外へ排除され、レオンとサジタリウス、リーブラの三人だけが場に残された。

 その隔離空間を見て、これから何が起こるのかをレオンとサジタリウスは一瞬にして察知した。

 ……来る! 十二星の中でも最大の殲滅力を誇る、過去に数多くの戦士達を葬ってきたあのスキルが!

 リーブラに白い光が収束し、星の如く煌く。

 極光が膨張し、脈動する。


「ブラキウム発動!」


 星が、爆発した。

 光のフィールドの中を、更に鮮烈な閃光が駆け巡り、蹂躙する。

 その様はまるで光の暴風。色鮮やかな粒子が舞い散り、あらゆる防御を貫通し捩じり切る。

 天法もスキルも意味がない。このブラキウムによる攻撃はあらゆる能力の上位に位置付けられ、問答無用で優先される。

 即ち、一度この技が発動したが最後、HP10万を超えぬ限り必ず死が訪れるという反則中の反則。

 ルファスをして『攻撃力だけならば自分よりも上かもしれない』と言わしめる、かつて女神の聖域を防衛していたからこその上位権限にも等しい暴力。

 その光の渦の中を――レオンは無造作に突っ切った。


「!」

「温い! なァ!」


 レオンの剛腕が繰り出され、リーブラが咄嗟に腕をクロスして防御する。

 だが鋼鉄の腕の上から衝撃が伝わり、腕に亀裂が走った。

 たった一発の拳でリーブラの身体が弾かれ、光のフィールドが霧散する。

 ブラキウムは確かに効いた。確実にダメージも刻んでいる。

 だが、それを意に介さぬほどにレオンのHPが凄まじいのだろう。

 さして気にした様子もなく、レオンは更にリーブラとの間合いを詰める。

 サジタリウスもどうやら、かろうじて意識を保っているようで何かしらのアイテムを服用するのが視界の端に見えた。


「おおおォォォ!」

「ッ!」


 レオンの第二撃を跳躍して回避し、リーブラは空中で静止する。

 やはり腐っても裏切っても十二星最強。一筋縄でいく相手ではない。

 ならば、こちらも切れる手札の全てを切るまでの事だ。

 そう決断したリーブラは、主から事前に許可を得ている新武装をこの場へと呼び出す。


「アーマメント・セレクション! 『アストライア』!」


 リーブラの召喚に応じ、遠く離れたブルートガングのゴーレム射出口が開き、鋼鉄の翼が飛翔した。

 アストライアと名付けられたそれは音速を超えてリーブラの元へはせ参じ、今まさに跳躍しようとしていたレオンへ閃光を発射し、リーブラの援護射撃を行う。


「うおっ!?」


 これにはレオンも意表を突かれたのか見事撃墜され、アストライアが空を旋回した。

 更に二発、三発。

 砲門から閃光を放ち、レオンへ牽制を行う。

 無論そんな攻撃で倒れるレオンではないが、気を取られたその一瞬にリーブラとアリエスが距離を詰め、刃と炎の蹴りを放つ。

 レオンはこれを見て、即座に蹴りを回避して刃を額で受けた。

 僅かに皮膚が切れて出血するが、ダメージ自体は浅い。


「うざってえ!」


 お返しの蹴り一発でアリエスを吹き飛ばし、華奢な身体が城壁にめり込む。

 続けてリーブラへ拳を繰り出すも紙一重で回避され、距離を取られてしまった。

 そればかりか離れるついでに発射された目からの光線が背中にヒットし、ますますレオンをイラつかせる。

 その隙にリーブラが空へ飛び、その上にアストライアが移動。

 まるで自身を折りたたむように形状を変え、赤い線でリーブラとアストライアが繋がれる。


「リンク!」


 リーブラの為だけに新造されたゴーレムとリーブラが空中で結合。

 アストライアの砲門がリーブラの肩に背負われるように曲がり、腰を通して更に二門の砲が前へと出る。

 最後にアストライアの翼が展開され、三対六枚の鋼の翼をリーブラへと与えた。


「合体完了……参ります!」

「なんだァありゃあ?!」

「どうやらしばらく見ないうちに新たな戦闘形態を獲得していたらしいな」


 リーブラは四門の大砲と己の右腕をレオンとサジタリウスへ向け、厳しく見下ろす。

 相手は共に十二星、生半可な火力は通じない。

 ならば打つべき手は一つ……最大火力による殲滅あるのみ!


「火力最大……全砲門解放……フルファイア!」


 リーブラから、破壊の閃光が解き放たれた。

 右腕から、両肩から、腰から、目から。

 計七箇所をフル稼働し、七条の破壊光がレオンとサジタリウスへ直進する。

 かろうじて二人はそれを避けるも、攻撃は一度だけではない。

 時間差をつけて次々と砲撃が二人へ降り注ぐ。

 一発一発、そのいずれも小手調べ抜きの破壊兵器。それが断続的に絶え間なく降り注げばさしものレオンといえど効かないはずはない。

 彼は舌打ちをして跳び上がり、リーブラへ蹴りを放つ。

 だがアストライアとの合体により機動力を増したリーブラは一瞬にして更に高度を上げてレオンの攻撃を回避し、反撃の全砲一点照射でレオンを撃ち落とした。


「ちいっ!」


 レオンは空中で回転して着地し、忌々しそうにリーブラを見上げる。

 単純な戦力ではレオンが勝るが、少しばかり相性が悪い。

 負ける相手ではないのだが、このまま続けても無駄に体力を削られるだけだ。

 いつアイゴケロスやスコルピウスが復帰するか分からない今、リーブラ一人にそこまで手こずるわけにもいかない。

 それにジワジワとスコルピウスの毒で体力が削られているのもまた、レオンの焦りを加速させた。

 アリエスはどうにでもなる。奴は所詮、元々がカスに等しいクズモンスターだ。

 クズがいくら強くなろうがクズでしかない。本来ならば十二星にいる事すら不自然な食われる側の存在……そんな奴が己の脅威になるわけがないし、なるとも思わない。

 だからアレはどうでもいい。

 隅っこで観戦している青い髪の女は……あれはよく分からないが、まあ放置でいいだろう。


「サジタリウス!」

「ああ」


 レオンが叫ぶと、それに応じてサジタリウスが弓を引く。

 その、放たれてもいない矢の先端をレオンが掴みリーブラを見上げた。

 無駄に鍛えられた掌は矢を掴んだくらいでは出血すらもしない。


「アルナスル!」


 サジタリウスの絶対命中のスキルが発動し、矢が一瞬にしてリーブラの前へと転移する。

 回避不能の矢はリーブラの脇腹に刺さり、だが本命はそれではない。

 矢を掴んで、一緒に移動してきたレオンの方だ。


「!?」

「もらったぜ!」


 レオンが打ち下ろした右拳がリーブラの肩へ突き刺さり、砲門を砕く。

 そのまま地面へと急降下して墜落するかと思われたリーブラだが、間一髪浮上して再飛翔。

 だが逃さぬとレオンが追随し、大砲のような蹴りで吹き飛ばされてしまった。

 錐揉みしながら吹き飛び、城壁を貫いて町中へと入る。

 そこへ、己の町だというのに家屋を貫きながらレオンが突進し、止めの一撃をリーブラへと放った。

 回避は不能、防御も容易く貫かれる。

 まさに絶体絶命の危機に、だが間に何者かが割り込むことでリーブラの代わりにレオンの拳を顔で受け止めた。


「な、なにィ……!?」

「……チッチッチ、ミーの存在を忘れてはいませんか、レオン?」


 眼鏡が砕け、拳の余波で彼の後ろの地面が抉れる。

 だが肝心の拳の直撃を受けた当人はまるで揺らがず、余裕の笑みすら浮かべてその場に立っていた。


「お返しです! 『アクベンス』!」


 カルキノスが流麗なフォームからハイキックを繰り出す。

 ただの蹴りではない。レオン自身の攻撃を上乗せしたカウンターアタックだ。

 その一撃にレオンの巨体が浮き、今度は彼が吹き飛ばされた。

 斜線上にある建物を粉砕しながらもレオンは意地で体勢を立て直し、着地する。

 だがその後を追ってカルキノスが突進した。


「野郎! 敵の攻撃を待つだけしか出来ねェ能無しの蟹風情が!」

「YES! YES! YES! ミーは確かにそれしか出来ません。

それしか出来ぬからこそ……その点においては誰にも負けないのです!」


 カルキノスが何処からか出した片刃の鋏を以てレオンへ連撃を浴びせる。

 無論それはレオンにほとんど通じない。ただ無駄に苛つかせるだけだ。

 しかしそれでいい。それが狙いなのだ。

 レオンの蹴りがカルキノスの顎へめり込み、一瞬カルキノスの身体が浮く。

 だが直後、それをも上回る蹴りがレオンの顎へめり込み、彼の身体を宙へと跳ね上げた。

 そして彼自身もレオンを追って跳躍した。


「野郎ォ!」

「止めろレオン! 手を出すな!」


 サジタリウスの忠告を無視してレオンが剛腕を叩き込む。

 殴られた衝撃でカルキノスの身体が回り、だが遠心力を乗せたカウンターがレオンの頬へめり込んで更に回転させた。

 専守防衛。カルキノスは決して自分から大きな攻撃を行う事はないし、そもそも出来ない。

 彼の持つ唯一の攻撃スキルは敵の攻撃を起点とするが故に攻めにはまるで向かない。

 役立たずだの何だのと言われているのも別に嘘でも何でもない。事実、攻める時に限定すれば彼は十二星の中で一番何も出来ない。

 足は遅いし遠くに攻撃出来ないし、範囲攻撃すらもない。

 出来る事はいつだって一つ、『待って反撃する』。それだけだ。

 だが、だからこそレオンのようなタイプにはこの上ない力を発揮するのも彼であった。

 地面へ叩き落されたレオンへ、更にカルキノスが接近する。

 レオンはそれを殺意を以て睨み、拳にありったけの力を込める。

 防御? カウンター? そんなのは知らん。

 固いというなら、それを上回る暴力で粉砕すればいいだけの話だ。


「オオオォォォォオオオオオッ!!」


 嵐のような連撃がカルキノスを襲う。

 拳打、裏拳、膝蹴り、肘打ち、蹴り上げて踵落とし。回り蹴りにダブルハンマースレッジ。

 打ち下ろして打ち上げて、暴力の限りを叩き込む。

 カルキノスの端正な顔が瞬く間に血に濡れ、身体が大きく仰け反る。

 だが口元は弧を描き……次の瞬間、レオンは不用意な暴力の代償を自らの身体で払う事となった。


「HAHAHAHAHA!」


 拳打、裏拳、膝蹴り、肘打ち、蹴り上げて踵落とし。回り蹴りにダブルハンマースレッジ。

 打ち下ろして打ち上げる! 先ほどレオンが行った攻撃をそっくりそのまま返し、今度はレオンが血に染まる。

 カルキノスのダメージも決して浅くない。いかに最硬の防御を誇る彼でもレオンの攻撃が効かないなど、有り得ない。

 だが、それ以上のダメージをレオンに叩き込む事で一見すると優勢に見えているだけだ。

 最後に蹴りでレオンを地面に伏せ、優雅に着地を決める。


「Hay! come on!」


 膝を付くレオンを見下ろしながらカルキノスが挑発するように指を動かす。

 更にそこに、今まで傍観を決め込んでいたディーナの回復天法が飛び、カルキノスを全回復させてしまった。

 これで、削り合いによるゴリ押しすらもレオンから奪われる事となり形勢は一気に傾く。

 流石に不味いと考えたサジタリウスが援護しようと動くが、その後頭部に砲門を押し当てられる事で止まらざるを得なくなった。

 見なくても分かる。リーブラだ。

 更にアリエスがよろめきながらも立ち上がり、町中に巨大な山羊の幻影と蠍の怪物が顕現する。

 どうやら立ち直ったらしい二人は、最早かつての同胞という事を完全に忘れて殺意に漲っていた。

 そんな二人の様子を見て苦笑いし、カルキノスはレオンへと突き付けるように言う。


「Checkmate。勝負有りですよ、レオン」


 レオンはその言葉に、歯を噛み締めるしかなかった。


カルキノス「HAHAHAHA! 攻撃一辺倒とかいいカモです!」


Q、あれ、もしかしてカルキノスって凄い強いんじゃ……?

A,


VSアリエス

アリエス「メサルティム」 効果:触れ続ける事で割合ダメージ発生の継続ダメージ。アクベンスは起動しない。防御力無意味。

カルキノス「ぎゃー!」


VSアイゴケロス

アイゴケロス「闇の触手で縛って放置すればおk」

カルキノス「ぎゃー!」


VSスコルピウス

スコルピウス「はいはい、毒攻撃毒攻撃」

カルキノス「ぎゃー!」


VSリーブラ

リーブラ「ブラキウム」

カルキノス「ぎゃー!」


VSカストール

カストール「アルゴナウタイ」

カルキノス「ぎゃー!」


VSウィルゴ

カルキノス「こ、これならミーでも……」

ルファス「……」ジー

カルキノス「……」

ウィルゴ「え、えい!」ぽこっ

カルキノス「……ぎゃー!」


結論:やはり蟹か……。

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[良い点] カルキノスのターン! やっときてくれて嬉しいです 最初からおもしろくて気に入っているキャラが活躍するシーンは、とても良いです
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