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転生ですか?

 何処からか、雀の鳴き声が聞こえる。

 まるで、朝が来たよと知らせてくれているかのような元気な声。

 雀がこんなにも元気に鳴くのだから、きっと今日は天気が良いんだなぁ。


 そう思って、瞼を持ち上げた。


「知らない天井だ。」


 なーんて。一度は言ってみたいセリフが、起きて一発で出てきた私を褒めて頂きたいものだ。それくらいに動揺している。


 は?なんでなんでなんで?

 病院の天井なら百歩譲ってあり得るよ?でも私が今見ている天井には蛍光灯なんてものは無く、あるのは綺麗な装飾が施されたミニシャンデリアみたいな奴。そして病院の無機質な真っ白い天井ではなく、薄っすらピンク色した可愛らしい物だ。


 全く見に覚えがない。なさすぎる。

 もしかしたら、通りがかった人がお家に寝かせてくれたのかも知れないが、それにしても腹を包丁で刺されたぐらいだから直ぐに病院に連れて行かれている筈だ。

 それとも、刺されてから余り時間が経っていないのか?

 だとしたら、腹に何ら違和感が無いのは可笑しい。痛みで感覚が麻痺しているとしても、滲みでた血から服が張り付いて気持ち悪いといった事を他の箇所から感じるはずだ。

 今、私が感じるのはとても肌触りが良い服を着ていて、ふかふかの布団に入っていて、薄ピンク色したミニシャンデリア付きの天井を見上げており、雀の鳴き声を聞いていること位。


 可笑しい。可笑しすぎる。


 とりあえず、体に違和感が無いので、起きてみることにする。


 むくっ


 ふむ、普通に起きれる。何処かが痛いとかもない。

 大丈夫そうだ。ふと、自分の姿を見下ろしてみる。


「え、ええええええ!!」


 見事な双丘がそこにはあった。

 いや、曲がりなりにも女なので勿論胸はあったが、Aカップからぬけ出しておらず、この様に双丘なんてものは無かったはずだが。

 見た感じC〜Dカップだ。思わず自分の両手で鷲掴みにしてしまった。ふぉぉ、柔らか。マシュマロかなんかか?これぞ女子の憧れだわぁ。



 ん?んんん?えっ、、うそ!


「サムだこが、……無い。」


 私が中学3年間と高校生活半年で築き上げてきた、立派なサムだこ(クラリネットやソプラノサックス奏者にみられる右親指のタコの事だよ。)が、綺麗サッパリ無くなっております。

 あるのは食器洗い?何それ美味しいの?位に真っ白で綺麗な手でした。

 私のサムだこはそんじょそこらの物と比べてもらったら困る。毎日毎日汗水たらしながら、部活に勤しんだ私のクラリネット愛の結晶だったのに。先輩の話では半年経ってもまだ残っているという。


 そうして双丘を鷲掴みにした自分の両手を見つめていたら、重力に従い髪が一房落ちてくる。

 え、なんで、なんで髪の毛の色が白金色なのよ。

 一体私に何が起きた。

 え、ちょちょ、鏡は?私どうなってる?

 そう思い、顔を上げて辺りを見回す。


 あった!鏡だ。白いシンプルだがそこがオシャレなドレッサーがあった。そこへ駆け寄り鏡を覗く。


「……はぁ?嘘でしょ……!?」


 そこに映っていたのは、白金色の髪に、ペリドット色の瞳をした見知らぬ美少女だった。


 いや、見知らぬというのは少し違う。私はこの鏡に映っている少女を知っていた。


『城之内 優理絵』


 という、外見に似合わない純日本人だという事を。


 そして、『私と彼は反進行』の主人公と同じ吹奏楽部に所属する所謂悪役令嬢というキャラクターだという事も。


 嘘でしょ…。


「ええええええええぇ!!!!!」


 この時、外の電柱に止まっている雀が一斉に飛び立ったとか飛び立たなかったとか。

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