これから書く物語は童話です。
障害者が通う作業所に通所しているメンバーのたけちゃんとおきぬどんの
物語です。
たけちゃんは20代の男性で言語障害と統合失調症をわずらっていました。
おきぬどんは40代の女性で精神障害と軽い知的障害をわずらっていました。
でも2人はとてもやさしい赤ちゃんのような純粋な心を持っていたのです。
そしておきぬどんはぽちゃぽちゃのかわいらしいやや子みたいなお声を
していました。
はじめおきぬどんは作業所に通所し始めた頃引っ込み思案でみんなと
あまりしゃべりませんでした。どこかおどおどしたようなところもありました。
そのうちにたけちゃんも通所するようになりました。
たけちゃんは赤ちゃんや幼稚園児ぐらいの子供が好きでおうちでもやや子の
まねをしてばあばやママと遊んでいました。
そんなたけちゃんはおきぬどんのやさしくてかわいらしいやや子みたいなお声を
聞いておきぬどんのことが気に入りおきぬどんに話しかけるようになりました。
そしておきぬどんにお仕事を教えてあげるようになりました。
あるときおきぬどんが「たけちゃんよこのゴムロープはどうやって袋にいれるのかね」と
聞くとたけちゃんは「先を小さく持って袋を回しながら入れてあげると入りやすいですよ」
というふうに教えてあげました。
おきぬどんが病気の症状で幻聴が聞こえてきたときは独り言を言うときがあるので
そういうときはたけちゃんが「おきぬどんほやほやちゃんのお声が聞こえてきますか」
と言うとおきぬどんは「時々声が聞こえてくることがあるの」と言っていました。
そういう日々の中でたけちゃんはおうちでばあばにやってあげているやや子のお遊戯を
おきぬどんにもしてあげるようになりました。
たけちゃんが「おきぬどん僕家でばあばにお歌を歌ってあげているんですよ。
歌ってみますね。」
そういうとたけちゃんは両手の人差し指を立てて顔の前で左右に振りながら
歌い始めました。「ほよほよりん。ほよほよりん。ほよほよ
ほよほよりんほよほよ。やーや子とばあばはぷーうたろうぷうぷう。あーかちゃんの
お声はぽーちゃぽーちゃだー。やーや子はほよほよほよほよほよりんよー。
おーやちゅみなーちゃいほーよほよとー」と歌うとおきぬどんや作業所のみんなは
笑って「かわいいね。3歳のやや子みたいやね」と言ってくれました。
またあるときはたけちゃんはおきぬどんに両手の人差し指をつんつんと前に少し出して
「ぷうぉちゃぽちゃ」とお遊戯をしてあげました。すると初めはおきぬどんは
「うん」と言って笑っていただけだったのがそのうちたけちゃんと一緒に「ぽちゃぽちゃ」
とやってくれるようになりました。
作業所の指導員さんは「たけちゃんとおきぬちゃんは名コンビやなー」と
笑っていました。それ以来毎日たけちゃんは1日1回はおきぬどんと
ぽちゃぽちゃのお遊戯をやっています。
あるときたけちゃんは新しいお歌を思いつきました。それをおきぬどんに歌ってあげました。
「チャチャチャッチャッチャッやや子とおーきぬどんは仲良ちこよち、みんなで
お遊戯ちまちょうねーちーまちょうね。ほよほよ」と歌うとおきぬどんは
「ハハハハ」と笑ってくれました。それを見てたけちゃんはうれしくなり
「おきぬどんが笑うてくれたー。」と甘えんぼさんみたいな声で言いました。
あるときたけちゃんはおきぬどんにいつものおやすみなさいのお歌を歌うと
おきぬどんは「たけちゃんもほのほのって言うてかわいいね」とほめてくれました。
そのときたけちゃんは「おきぬどんもほのほのたんでかわいいでちゅよ」と
言って二人で笑いました。
あるときたけちゃんは指導員さんに「僕ママと一緒にお車に乗るときは
やや子がねえいつまでもぽちゃぽちゃBOXやけんばあばが嘆きよるーと
言っているんです」と言うとおきぬどんが「ぽちゃぽちゃBOXってなあに」と
聞いてきたのでたけちゃんは「赤ちゃんのことです。やや子ちゃんは乳母車の
箱の中でかわいらしくぽちゃぽちゃしよるけんぽちゃぽちゃBOXです。」
と言いました。するとおきぬどんが「ぽちゃぽちゃするってどういう意味なの」と
聞いてきたのでたけちゃんは「ころーんと横になって赤ちゃんみたいにこよこよ
ねむねむすることです。」と言いました。みんなは笑いながら「情けなやのー。
あんた何歳」と冗談めかして言うのでたけちゃんは「僕20代やけど精神年齢は
3歳なのー」と甘えた声でいいました。
おきぬどんもたけちゃんとの心と心のふれあいの中で徐々に変わっていきました。
性格が明るくなり他のみんなとも普通に話せるようになりました。
またお仕事も初めの頃は指導員さんが教えてもうまくできなかったのが
普通にできるようになりました。みんな「おきぬどんは変わったねえ。
よかったねえ」と我が事のように喜びました。
たけちゃんはこれからもずっとおきぬどんと一緒にぽちゃぽちゃお仕事ができますように
と願いながら日々を作業所のみんなと明るく楽しく送っています。
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