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★海外ロマンス風の小説です。セリフや設定も出来るだけソレらしくしています。
「こんな言い方はありえない」「都合が良すぎる」等、作者を叱らないで下さい(苦笑)

★人物や団体・施設などの名称は、全て架空のものとご判断下さい。実在のものとは一切関係ございません。

★ハーレクイン程度のラブシーンは出てきます。苦手な方はご遠慮ください。
実際のハーレクインに年齢制限はありませんが、一応、R15に指定させて頂きました。

★ブログ連載完結済み作品です。
小説の基本を知る前に書いた為、今回その辺りを中心に、誤字脱字の訂正と合わせて、全話改訂します。
先が気になる方は、ぜひ、ブログにお越し下さいませ(笑)
〜前章〜 第1話
 桜の花びらがひらひら舞い降りる時期、織田夏海おだなつみは成城の一等地にある豪邸を訪れていた。
 正門には立派な表札が掛かり、『一条』と書かれてある。この邸の主、一条実光いちじょうさねみつは、夏海が勤める一条物産の社長……いや、一社の社長と言うわけではなく、年商一兆円と言われる一条グループの社長であった。

 
 ちょうど一年前、夏海は入社式で新入社員代表となり謝辞を述べた。入社試験が最優秀だった証である。総合職を希望したが、なんと配属先は秘書課。外国語は英語とフランス語が日常会話なら可能だ。しかし、出身が法学部ということもあり、秘書検定は取ってなかった。
  資格は、司法書士と行政書士を両方持っている。本来は司法試験を受けて弁護士を目指すつもりだったが、不合格となってしまった。親にこれ以上の負担を掛けたくなくて、きっぱり諦め、就職したのだった。
 だが、何の手違いか、畑違いの秘書課に放り込まれ……挙句、親の七光りで常務の席についてる『女好きの馬鹿息子』と噂される一条匡いちじょうただしの第二秘書となってしまう。
 
 本来、噂は噂とあまりあてにはしない性質たちだが……彼に限り、噂は充分な信頼に足るものであった。
 彼は、夏海の先輩に当たる、第一秘書の真野香織とは明らかに男女の関係だったのだ。その方面には詳しくない夏海だが、忘れ物をして秘書室に取りに戻った時、奥の常務室から、熱愛中の男女の声が……。まるで聞かれることなど何とも思ってないような香織の嬌声に、夏海は仰天する。
 それどころか数日後、常務が原因で、この香織と副社長の秘書を勤める南原麗子が、社内でつかみ合いの喧嘩沙汰まで起こしたのだ。その不祥事が、とうとう社長の耳にも届いてしまい……。

 そんなことがあったせいか、夏海は度々社長室に呼び出され、常務の様子を尋ねられるようになる。
 つい先日も、
「常務の勤務態度を改めさせたい。君にも協力して欲しい。上を目指すなら何事も経験だ。いずれ秘書を使う側になるとしても、秘書の経験は大きいだろう……」
 社長の意図は判らないが、総合職としての昇進まで提示された。
「スパイのような真似は信頼を損ねます。お約束は出来ませんが、会社や社長のため、果ては上司である一条常務のために、お役に立てるよう努力させて頂きます」
 夏海の答えに、社長は得心したように肯くのだった。
 

 そして入社から一年経ち……なぜか突然、夏海は自宅でお花見パーティを催す、という社長に招かれたのだ。それも、両親同伴である。
「夏海、俺たちが入っても構わんのか? なんだか場違いな気がするが……」
 社長夫人から直々に実家に電話が掛かり、ぜひに、と招かれたのだが、それでも不安だ。
「お父さんにも一張羅を着せてきたし、私も余所行きで一番のを着てきたんだけど……。でも、凄い家ねぇ。さすが社長さん」
「まあ、大丈夫だと思う。顔を出してご挨拶したら帰ってもいいんだろうし……。とにかく、よく判らないけど、社長は私のこと買ってくれてるの。娘のためだと思って、我慢してよ」
 社長命令とはいえ、およそ上流社会とは縁遠い両親を連れてくる羽目になったことに、二人に見えぬように溜息を吐く夏海だった。

 入り口で名前を告げると中に通された。裏庭では、桜の花が咲き乱れる中、立食パーティの真っ最中であった。ごく内輪の私的なパーティと言われたが……百人は超える客の多さに夏海らは戸惑いを隠せない。
 とりあえず、社長に挨拶しないと、と思い、キョロキョロしていると、社長秘書に声を掛けられる。そして、邸内のリビングから花を見ているという社長夫妻の前に、通されたのだった。

「本日は、お招き頂きまして、ありがとうございました。私の両親です」
 そう紹介すると、父も母も馬鹿丁寧に頭を下げ、挨拶してくれた。
 夏海の両親はここに来る前、社長夫妻といったら居丈高なのではないか? と心配していたが……。
「まあ、お忙しいところ、よくお越し下さいました。パーティ用の出前ばかりなので、お口に合わないかも知れませんが……。楽しんで頂けたら嬉しいのですけど」
 社長夫人である一条あかねは、まるで偉ぶった雰囲気はなく、とかくにこやかに話しかける。
 その後も、社長夫妻は、まるで夏海の両親を主賓のように扱い、会社での夏海の仕事振りだけでなく、家族の内輪話まで、し始めるのだった。


 実を言えば――そうなのである。本日のパーティの主役はまさに、夏海と彼女の両親であった。

 つい先日、匡はいささか致命的な女性問題を起こした。
 匡にとってはいつも通りの遊びで、始めは相手も大人の関係を承知していたが、一方的に本気になり、結果、わざと妊娠したのだった。
 問題は、相手が一条家の遠縁にあたる女性で、彼女には数ヵ月後に結婚を控えた婚約者がいたことだろう。しかも、その婚約者は政界の大物の息子で、顔を潰すには憚られる相手だった。
 匡は最初、兄で弁護士の聡に泣きついたが、とても一介の弁護士の手には負えず、結局、父に頼らざる得なくなり……。実光は、金とコネを使って相手に納得させ、子供は堕胎させたのだった。
 このことは、父と長兄の聡だけが知っており、母たちには当然、秘密だ。しかし、今回の一件で、とうとう父は三男坊に最後通牒を言い渡したのである。

「私が決めた縁談を、今度、お前から断わった時は、一条家から出て行ってもらうぞ!」
 父の本気に、さすがの匡も反抗心は鈍り……そして用意されたのが、この花見の宴なのであった。


「実は、お嬢さんを息子・匡の嫁に、と考えておりましてね。不出来な三男坊ですが……ゆくゆくは次男と共に、会社を任せたいと考えております。将来は、夏海くんにも役員として、息子の公私共にパートナーとなって貰えたら、と」
 夏海はもちろん、父も母も絶句だ。
 父が、どうにか声を出すが、
「な、な、な、……夏海……お前、まさか、こちらのご子息と、そういう付き合いをしてるのか?」
「ま、まさか! 常務は私の上司です! そんなこと……」
「いやいや、お父さん、そういったことではないんです。夏海くんは非常に身持ちの確かなお嬢さんだ。そこを見込んで、息子の嫁に、とお願いしたいのです」
 そこに社長夫人も、
「出来ればね、結婚してこの家で一緒に暮らして頂けたら。もちろん、新婚当初は新居を建てて、二人っきりもいいんですけどね。子供が生まれたら、何かと便利でしょう? 長男は家を出てしまっていて……戻る気はないらしくてね。次男のお嫁さんには嫌われてしまって。これで、娘が嫁に行けば、私たちも寂しくって……」
「いやあ、しかしですな。なんと言いましょうか……。一介の板前の娘なんか、とてもこちらに嫁にやる甲斐性は……お恥ずかしい話ですが」
「その点は何もご心配は要りませんよ。お嬢さんやご両親に恥をかかせる様な真似は、決して致しませんから」
 降って湧いたような縁談に、夏海の両親は及び腰だ。当の夏海ですら、呆然としたままである。
「あ、あの……急にそんなことを言われましても。とても即答は出来かねますが」
「ああ、もちろんだ。ゆっくり考えてくれたまえ。無理にとは言わないよ。断わってくれても、君をクビにしたり左遷したりはしないから安心しなさい。君は文句なく優秀だ」
「は、はあ……」
 本当だろうか? と夏海が思っても仕方のないところだろう。 
 
 そこに、ドアが開いて常務……社長の三男・一条匡が入ってきた。
「匡……夏海くんのご両親だ。今、話をさせて貰った。お前からも充分に頼んでおきなさい」
「はい。はじめまして……一条匡です。織田くんには、いつもお世話になっています。どうやら、父は彼女の入社当時から目をつけていたらしく、総合職希望の彼女を、わざわざ僕の秘書に手配したくらいです。今までは、正直言って見合いと聞くだけで逃げ回ってましたが……織田くんとなら、将来のことを真面目に考えて行きたいと思っています。ご両親にも賛成頂けたらありがたいです。よろしくお願い致します」
 練習したみたいなセリフだわ……と、半ば夏海は感心していた。
 男性からこんな風に言われたのは初めてでドキドキはした……が、匡の女性関係が脳裏を掠める。どうしても、常務を結婚相手とは思えない夏海であった。

  
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