FILE:13 涙見せて
「ありえないわよあの推理オタクッッッ!!!」
剣幕の言葉と同時に、園子はお弁当にフォークを勢い良く刺す。
玉子焼きの真ん中には、鋭いフォークが突き刺さっていた。
「何なのよ! 蘭という女房がいるっていうのにっ!! あ〜も〜むしゃくしゃするわ〜っ!!」
園子はパクパクと玉子焼きを口に放り込む。
「大体ねぇっ!」
「―――だね……」
剣幕の声の後に小さく続いた呟き。
その声の主は、勿論蘭である。
その場の空気が凍りついた。
「何が“待っててくれ”よ…何が“もう離さない”よ―――…嘘ばっかり…これじゃぁ変わらないじゃない、何一つ。わたしがのけ者だった、あの頃と―――」
空気は一向に溶ける兆しを見せない。
蘭に感情移入したのか、その場のクラスメートは同意の声を口走る。
「もう―――…いくら―――みんながいても無理だよ……」
ハッと園子は目を見張る。
蘭の目から、雫が滴り落ちている。
何度流した事か、何度泣かしたことか。
繰り返す、過ち。
親友を助ける事が出来ない歯がゆさを感じながら、園子は何一つ言葉を発せなかった。
自分じゃ、悔しいけどどうにもならない。
アイツがいなきゃ、この子は笑顔にならないんだから―――…
園子は唇を噛み締める。
「あはは―――弱音吐いちゃった。ごめんね、みんな忘れてっ」
蘭は笑顔を向ける。
だけど涙は正直に流れ出る。
「変わったね、蘭」
「え?」
園子は俯きながら呟く。
「前なんかいっつも涙みせてさ。あたしがいても泣いてばっかだったじゃない。けど急に最近涙殺して、強がり言って。前の蘭はこんなんじゃなかった。アヤツがいなかった頃みたいに弱くなっていいんだよ。涙流しなよ、正直に。あの頃みたいにさ。あたしは惨めだ何て思わないし、無理に信じろとか言わないから―――…」
話し終えた園子の目に映った蘭は、まさしくあの頃の蘭だった。
顔を崩し始め、遂には園子の肩を掴んで泣き出した。
まるで、子供のように。
その様子に、クラスはうれし涙を流す。
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