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第33話・大屋政子さんの話・後編

 なぜ私ごときが大屋さんの話をここで書くのか、というと彼女のした功績がとても大きいのに、世間的に認知されてないのが残念なのです。

 彼女はバレエが大好きで自分のバレエ団を設立しました。国際的な権威あるバレエコンクールやコンペティションがないのを残念がって自分で作りました。

 この「自分」で、というところが大屋政子さんらしいところで、私が尊敬する理由なのです。

 彼女は官の出す援助金、助成金の類はアテにしませんでした。帝人の筆頭株主さんでもあったので彼女の指示で大金は動かせる立場なのに、それもしませんでした。

 自分で事業をもっている実業家さんなので(不動産業などされていました)資産は持ってますがそういうことでお金を使うと経費では認められません。本当のお金持ちの人はお金持ちでけっこう制約というものがあって、湯水のようにお金を使う人はあんまりいないものです。それでもバレエ団設立や著名なバレリーナやソリストを海外から呼ぶとそれはもう際限なくお金が必要です。

 彼女がメディアに出たのは公演、コンペティションに出てくれるダンサーや賞金を出すため稼がないといけなかったのです。

 彼女の計算された強烈な個性と無垢な話しぶりで人気はあったでしょう。個人的に私から見ると雲の上の財界人ですけど、親しみやすい笑顔ときれいな足のラインにファンを自称していました。

 

 また語学も通訳不要なぐらい堪能な方でしたから、海外の著名人とも親しい交際ができたのです。一体当時の外交官でもないのに、民間人で個人的にこうして交際できる日本人が大屋さんをのぞいて誰ができたというのでしょう。

 特にベルギーの国王一家とも親しく、当時の仏大統領ともタメ口で話せたという。民間外交官と言われるぐらいあちらのセレブな人たちから信頼され親しまれていたという。

 ヨーロッパの元バレリーナからはマサコには良くしてもらった、マサコには感謝しているといわれる留学生も未だにいます。名前も顔も違うのに、日本人バレリーナというだけで大屋政子さんを連想して「MASAKO」と呼びかけられたというエピソードも聞いたことがあります。海外へバレエ留学されるお嬢さん、特にベルギーに行かれる方には大屋政子さんの伝記などは読まれていくことをおすすめいたします。すでに時遅しで当時の外交官たちのイジワルが効果を及ぼしているかもしれませんけれど。年老いた元プロバレリーナでも「MASAKO」は日本では有名ではない、うちにくる留学生たちも誰も知らないし尊敬されてないと思われていて話題にされないかもしれませんけれど。


 大屋政子さんの没後は大屋さん主宰のバレエコンサートはなくなりました。あれは本当に大屋さん個人の力だけでもっていたのです。

 こういった活躍に嫉妬してか当時の外交官からは表立っていじめられた、と名指しで実名をあげているのを見たことがあります。よほど腹にすえかねる思いもあったのでしょう。

 またバレエ界のある実力者にも多額の援助をしたにもかかわらず大屋さんと仲たがいされたせいで大屋さんの功績がなかったことにされたとか。その人ももうトシだし、立派な自伝も書かれているのでそこらへんもっと詳しく自分の言い分を書いてほしいですね。大屋さんを知っている人からは未だに恩知らず、と言われていますし…。

 つらい思いをされたことも多々あったのではないかと推測します。

 いまわの際には実の娘さんには「こんなに弱い母を許してね」とおっしゃったそうです。傍目にはあんなに力強く世の中を生き抜いていき、好きな人生を歩まれたようにみえるのに。

 きっと世の中には知られていなくとも母娘ともに、内外的に大変な思いがあったのではないかと思います。


 バレエが大好きで海外に飛び出して活躍されていく方々にお願いします。先人のバレリーナや大屋さんのようなバレエの庇護者の苦労を思いやってください。彼女たちの努力があってこそ、今があると思います。

 そしてどうか日本人であることを誇りに思ってください。子供向けの薄い本1冊でいいので日本独特の礼儀作法や日本史を勉強してから行かれることをおすすめいたします。海外の歴史や文化を勉強するのも大事ですが自分の育った国を誇りに思うことはもっと大事なことだと私は思うのです。

 私ごときが偉そうに…と言われ叩かれそうですけど。



 

 

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