赤い満月の昇る空(6/20)縦書き表示RDF


赤い満月の昇る空
作:菊太間郎



5 深淵に伸ばされし王国の手


5 深淵に伸ばされし王国の手



僕がこの村に来て一ヶ月がたった。

僕はもうこの村にすっかりと馴染んでいた。

村の子供たちとも仲良くなり、僕は充実した毎日を送っていた。

「ダイスケさん。そろそろ時間ですよ。」

フィリアの呼びかけで僕は稽古の時間に気づく。

この村に来てから僕は毎日カーネルさん達に剣の稽古をつけてもらっている。

「うん、すぐ行くよ。」



村はずれの森

―ガキィ―

二つの剣が打ち合う音。

カーネルさんの剣を受け止め、僕はすぐに飛びいた。

二振りの剣が僕に斬りかかる。

ギリギリのところで剣をかわしつつ、反撃の機会をうかがう。

カーネルさんと副団長をしていたというトムさんの息はピッタリで反撃の機会がなかなか見つからない。

僕が徐々に追い詰められていった、その時

カーネルさんとトムさんの剣が同時に振り下ろされた。

チャンスが来た。

僕はトムさんの剣を払い飛ばすと同時にカーネルさんの剣を避け、カーネルさんの横に回りこみ、カーネルさんに剣を向けた。

「「まいった。」」




「いやーそれにしても私達じゃ相手にもなりませんな〜」

トムさんは豪快に笑っている。

「いや、そんなことないですよ。実際危なかったですし。」

「それにしても強くなられましたな。もはやどの国の騎士を相手にしても遅れをとることはありませんよ。」

確かにこの一ヶ月の間に強くなったとは思う。

最初は防ぐだけで精一杯だったカーネルさんの攻撃も大分見えるようになってきた。

でも、僕は未だに自分がどうするべきなのかを見つけることができずにいた。

「おや、なにやら村のほうが騒がしいですな。」

確かに村のほうから声が聞こえてくる。

何かあっただろうか。

「三人共大変だ!」

一人の男が叫びながらこっちに来た。

「どうした?」

「ヴァンガ王国の兵隊が村に!」

その言葉を聞いた僕らは急いで村に戻った。




村に戻ると、村の入り口には人だかりができていた。

人を押しのけて何とか一番前に来る。

そこには、30人ほどの甲冑に身を包んだ兵隊がいた。

その中の隊長らしき男が言った。

「ここが聖クリス王国の残党の村であることは既に分かっている。大人しく我々に従え。」

人々の間にざわめきがおこる。

もちろん従うということは殺されるということだというのは皆分かっているようだ。

人々が動揺しているとき、5歳くらいの男の子が飛び出した。

「ここは僕達の村だ!帰れ。」

男の子は手に持った木の棒で隊長を叩いた。

「このガキが!」

隊長は剣を抜き男の子を斬りつけた。

男の子の胸からは血が吹き出た。

僕は急いで男の子に駆け寄った。

「よかった、生きてる。だれか治療を!」

男の子は幸いにも生きてた。

しかし、早く治療しないと危険な状態だった。

「私がやります。これでも、少し魔法が使えるんです。」

フィリアが男の子を抱えて行った。

僕は隊長を睨みつけた。

「なんだお前は、勝手なことをして。あんな小僧の一人や二人どうだっていいだろう。ここに来る途中にあった村など我々に従おうとしないから2、30人は斬り殺したぞ。」

許せなかった。

僕の中からふつふつと怒りが沸いてきた。

気づくと僕は隊長を殴っていた。

隊長は吹っ飛んで兵隊の中に突っ込んだ。

「お、お前〜。こんなことをしてどうなるか分かっているのか!名を名乗れ!」

「僕は、聖クリス王国第18代王位継承者ダイスケだ。」

僕は自分でもなぜかは分からないけど、自分が王子であると言っていた。







ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「赤い満月の昇る空」に投票 「この作品」が気に入ったらクリックして「ネット小説ランキングに投票する」を押し、投票してください。(月1回)





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう