1582年のある日のお話。晴天。
【信長公御前お経バトルが、本日、安土城下のちびっこ広場にて開催されまーっす! みんな来てねー!】とゆってセクシーなお姐さんがウインクしてこっちを見てるビラが街のあちこちに貼られてある。
おそらく、ビラの絵は、信長公の妻、濃姫がモデルであろう。作者、ホンモノを見たことがないのでカンですが……。
好奇心旺盛な安土っ子たちは、モー、興奮してならない。
「南蛮人が連れてきたらっぱぁーというヤツらは、顔がまっ黒らしいよ。パパ、早く見たいネ!」
「うむ。わしなど、市場でLP買っちまったからな、ぜひともホンモノを見なければ……」
みんなワクワクドッキドキ。団子やらポップコーンやらを頬張りながら、ひっぷ衆と呼ばれる外人集団、および日蓮宗の坊主たちの登場を今か今かと待ち続けていた……
その頃、城内にある楽屋では、日蓮宗の坊主たちが仲間割れをしていた。
「おい、てめぇ! 何だよ、そのリズム。黒んぼのマネすんじゃないYO!」
「てめぇこそ、YOゆうとるやんけ! いいか? 今はラップ・ミュージックの時代や。いつまでも、太鼓鳴らして『ナンミョーホーレンゲーキョー』じゃダメだ。もっと、積極的に流行を取り入れていかんことにゃ、この戦国の世、バテレンどもに信者をごっそり奪われちまうYO!」
決めのポーズをとったら、ボスらしき大柄の坊主が、灰皿を畳に叩きつけ、
「黒んぼのマネすんじゃねぇYO! オレたちゃ教義で勝負するんyeah!」
と絶叫した。
「ボス! あんたまで……!」
「ところで、蓮乳はどこ行った?」
「あの、その、営業に……」
「バカヤロー! ドラムスがいなきゃ話にならねぇ!」
「しかし、今日中に信者六人ゲットしないと、蓮乳の美人の奥さん、池田会長に差し出さにゃならんスよ! しかも奥さん、それもアリみたいなノリになってて……」「ええい、めんどくせーな。うちの球団は!」
「バンマス! 球団じゃなくて教団っス!」
「どっちでもええわ、アホ! うーん、ほんなら、この中でボイパ(アカペラでドラムのことネ)できるヤツ、おらんのかい!!!」
楽屋を見渡すと、丸メガネをかけたワシ鼻の小坊主がおずおずと手を挙げた。
「ゑ、えれきギタァーならできますが……」
ずこー!
みんな、同時にズッコケた。確かに、そっちの方がすげぇけど、い、イミねぇーーーー!
「ギブソンでもレスポールでも……あ、一応ディストーションもかけられます」
「如雲、お前は黙っとれ!」
「キュイーン」
(←何かムカつく口の歪み具合で)
「ムカーッ」
ボスは丸メガネをぶん殴って数メートル後方にぶっ飛ばし、鏡台にゲキトツさせた。丸メガネの坊主頭に破片が刺さり、血塗られた丸メガネが畳の上に転がっていた……
「うぅ……いてぇぇよぉぉ……ヨーコぉおお……」
「玲音さん。大丈夫っスか!?」
あわてて、嬢痔が駆け寄る。
何がなにやら
「OH MY GOD」
というカンジで、マネージャーの林檎は、首を左右に振り、両手を広げて、ため息をついた。そして、スティックをを手に取りジッと見つめた。
(オレ、久しぶりに叩いてみよっかなぁ……ただ、春のパンツ祭り以来、数十年ぶりだから上手くいくかどうか……)
バンマスは、「こんな内輪もめ、見られたらやべぇ」と思い、安土城地下楽屋のドアをロックして人が入れないようにした。
その頃、日が沈みそうな安土の街に鐘の音が鳴り響いた。
ごーん。
ごーん。
ごーん。
ちびっこ広場では、日蓮チームがいつまでたっても来ないので、ひっぷ衆が単独ライブを3時間くらいやって場をもたせていたが、へなへなダンスで、ふらふらふらふら、今にも倒れそう!
「おい、三成! 日蓮チームは、いつ楽屋から出てくるんだ!」
「それが、課長。なんか、チームリーダーから、今日は休みますってケータイがさっき・・・・・・」
「あんの、クソ坊主どもァ!」
ひっぷ衆だちのラップリズムは、ノロノロしてきて、1/16ビートくらいになってる。
てか、いいかげん、客も飽きてきて、あくびとかしてる。TV局の人も生中継なので、かなりあせってる。たこ焼き屋やらラーメン屋やらミスドの出張販売やら、出店の人らはもうかってウハウハしていたがネ……。
「パパぁ。もう飽きたよぅ。回転寿司に行こうよぅ」
「まァ待て待て。せっかく、ここまで待ったんだ。今帰ったら損だよ」
「わーん! お腹すいたよぅ」
「困ったなァ・・・・・・」
ついには信長公がキレた。
「あんのクソ坊主ども、打ち首じゃあーーーーーー!」
如雲たちの討ち首を、秀吉課長に命じたとさ。
めでたし、めでた……くねーーーーー!
なんじゃそれーーーーーー?????
【おしまい】 |