FILE:5 妊娠
「あれ…?」
「蘭ちゃん! 気ィついたね…」
「おぉ、さよか!」
ふらふらと視線を送る先には、平次と和葉。
どうしたんだっけ?
わたし…
蘭は記憶をたどる。
「蘭ちゃん、何かあったん? 授業しとるんやないの?」
核心を突く質問に、蘭は身震いする。
聞かれたくない。
言いたくない。
ただの嫉妬じゃない…
醜い感情。
「…和葉ちゃんたちは?」
「今日は改方学園の創立記念日なんや」
変わりに平次が答える。
あたりを見回すと、どうやら自室のようだ。
蘭の心を見抜いたのか、平次が先に口走る。
「姉ちゃんが気ィ失って、毛利のおっちゃん見つけて姉ちゃん運んだんや。なんやぐったりしとうてたからな」
「…そう…」
「ホンマは工藤呼ぼ思たんやけど…和葉が見つけられんでなァ」
「何ィ!? もういいや言うたんは平次やろ!?」
「ちゃうやろ!!」
いいよね、そういう2人は。
喧嘩してても、お互いを思ってる。
だからこそ。
羨ましいんだ。
「んでな、ひょっとしたら…姉ちゃん、妊娠しとるんやないか?」
“妊娠”
その2文字は、決して聞きたくない2文字であって。
いっその事、殺してしまおうとも考えた。
新一の重荷にはなりたくないから……
「そうなん? 蘭ちゃん……」
蘭は首を縦に動かした。
デキたのは、いつかわからないけど。
知ったのは、2週間前だった。
妊娠3ヶ月と言われた時は、目の前が真っ暗になって。
ふらふらとよろけながら家へ帰り、赤ちゃんに負担がかからないような寝方で寝そべった。
まだ、18歳だよ?
生めるかな?
まだ結婚だってしてないのに…
わたしにとって、“妊娠”とは、凄く重いもので。
不安が募るばかりだった。
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