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第8話
辺りは羽をばたつかせる音に包まれている。 リオレウスが、刃向かう敵を排除しようと空を飛び回っているのだ。その奥では、ゼロがうつ伏せに倒れている。 「ちくしょう・・・どうすりゃあいい?」
ジョンが冷や汗をかきながら言う。「・・・私が囮になる・・・」
口を開いたのはアルだった。
「アルちゃん!?正気で言ってるの!?」
ミリアは驚く。
「はい…正気です。」「お前が囮になって、どうするんだ?」
「私に考えがあるの・・・」
「わかった。聞かせてくれ。」
「ジョン!?あんた自分で何言ってるかわかってんの?」「あぁ・・・だが、他にどうすることもできない。話を聞いてみるだけの価値はあるだろう」
「だけど!!普通の人間より頑丈なゼロが一撃で気絶したのよ!!アルちゃんがまともにうけたら・・・」ミリアは口ごもる。 「ええ、死ぬかもしれません・・・」
「なぜそこまで分かってるのにそんなことをするの?」
「私は・・・、狩りに来ればみんなの足を引っ張ってばっかりです。だから、こういう時ぐらい・・・いえ、こういう時だからこそみんなの役にたちたいんです!」「・・・わかったわよ。で、アルちゃんの考えって?」
「それはですね・・・まず私が囮になって、リオレウスを呼び寄せます。攻撃が直線的なので、頑張れば回避できると思います。それで、突っ込んできた所をジョンの弓で迎撃。体制を崩したところをミリアさんのハンマーで叩いてください」「単純だな…」
「ええ…でも、何もしないよりはずっと効果てきね。」
「もちろん・・・成功すればの話ですけどね」
アルは不安そうにする。
「成功するさ・・・させてみせる・・・」
「そうね。じゃあ早速開始するわよ。準備はいい?アルちゃん」「はい・・・!」
アルは頷き、1人見晴らしのいい場所へでる。ジョンとミリアは岩陰に待機する。・・・ゴォォォ!・・・音が近付いてくる。 リオレウスは先ほどと同じように、アルに特攻する。アルはギリギリまで引き寄せ、横へと緊急回避する。・・・ふぉぉん!・・・アルの横をリオレウスが通過する。アルが回避したのを確認して、ジョンがすかさず矢を放つ。ザシュ!!・・・矢の一本がリオレウスの眼球を直撃する。 グオォオ!!・・・リオレウスはひるむ。 「てやぁぁ!!」
ミリアはハンマーを振りかぶり、リオレウスの頭目掛けて振り下ろした。
グゥゥゥ!・・・リオレウスは少しふらつく。 「もう一押し!!」
そう言って、アルはボウガンの玉をリロードし、狙いを定めた。が、リオレウスは尻尾を振ってアルを突き飛ばす。
「きゃあ!」
アルは少し吹き飛ばされ、体を起こそうとする。しかし、そこにはリオレウスがすでに駆けつけていて、アルを食いちぎろうと構えていた。
「・・・っ!」
アルは死を覚悟した。次の瞬間! ザシュン!・・・グゥゥオオ!・・・悲鳴をあげたのはリオレウスだった。 アルは何が起こったのか理解できず、とりあえず体を起こす。すると、そこには切断されたリオレウスの尻尾が無惨に転がっていた。リオレウスの尻尾を切断したのは・・・
「ゼロ・・・」
そう、リオレウスの尻尾を切断したのは、意識を取り戻したゼロであった。
「よぅ。大丈夫か?…すまねぇ。どうやら俺はしばらく居眠りしてしまったみたいだな。」
「ゼロ!よかった、無事だったの・・・」
言いかけてアルは言葉をなくす。
「ゼロ・・・頭から血が・・・」
ゼロは頭部から流血していた。それも大量に。
「これか?気にすんな。岩に頭をぶつけた時に切っただけだ。」「気にすんなって・・・凄い量だよ!?」
「だから大丈夫だって!!今お前が気にしないといけないのはあいつだ。」
ゼロはそう言って、リオレウスを指差す。リオレウスは頭を殴られたため、足下がふらつき、まともに立ち上がれないでいた。
「アル・・・お前に1つ言っとく」
「何?」「敵に攻撃を受ける瞬間に目を閉じるな。お前は死を覚悟するんだろうけど、それじゃ遅すぎだ。狩猟に出る前に覚悟は決めておけ。俺らはモンスターの命を奪いに来てる。だったら逆もありだ。奴らは命をかけて向かってくる。なのにお前が命をかけないで勝てるわけがないだろ?わかったな。自分が死んでしまうかもしれない時こそ、目を見開け。最後の最後まで諦めるんじゃねぇぞ。死中に活路を見いだせ。」
「・・・わかった」
アルは頷く。
「よ〜し!突っ込むぜミリア!!」
「了解よ!」「ゼロ!!奴の左目はさっき潰した!左側から死角に入り込め!!」
「流石だな!!ジョン!!」
言葉と同時にゼロとミリアは走りだす。その姿を確認したリオレウスはなんとか立ち上がろうとするが、それは許されなかった。 ジョンとアルの攻撃がリオレウスを強襲する。「ミリア!!お前は頭を叩け!!俺は腹部を狙う!!」
「わかったわ!!」
ゼロとミリアは二手に分かれる。
「アル!!俺達も狙いを変えるぞ!!俺はミリアと頭を狙う。アルはゼロと腹部を狙ってくれ!!」
「了解!!」ジョンとアルも立ち位置をかえ、狙いを変更する。 グオォオ!!・・・リオレウスは悲痛な叫びをあげる。だが、一向にやられる気配を見せない。 「ちっ・・・らちがあかねぇ・・・」
ゼロは攻撃する手を止め辺りを見渡す。そして何かに気付くと、
「わりぃ!!ちょっと戦闘から外れる!!」
と言って、岩山の方に駆け出していった。ゼロ以外の3人は、何をするのか予想もつかなかったが、ゼロを信用し、攻撃の手を休めなかった。しかし、リオレウスは立ち上がり、頭と短くなってしまった尻尾で3人を振り払う。そして、足を引きずり、逃げだそうとした。 「逃がすか!!」
ジョンはすぐさま立ち上がり、リオレウスへ向かっていく。
「どいてろ!!ジョン!!」
頭上からゼロの声がする。ゼロは岩山の上に登っていた。ジョンはいわれた通り、後退する。
「行くぜ!!」
ゼロはそう言うと、タン!と、その場から飛ぶ。落下地点にはリオレウスの頭がある。
「うおぉらぁ!!」
ゼロは剣を、真上から一直線に振り下ろす!
ザグシャァ!!メキメキ!!・・・ゼロの一撃はまともにリオレウスの頭を捉えた。グギュオオォォ!!・・・リオレウスは最期の雄叫びをあげ、2、3歩後ずさりし、ズシン!とその場に倒れた。「・・・いよっしゃあぁ!!やったぞ〜!!」
ゼロは歓喜のガッツポーズを見せる。
「・・・やったぞ〜!!よくやったゼロ〜!!」
ジョンが続く。 「全く・・・一時はどうなることかと・・・」「まぁいいじゃねぇかミリア!!こうしてみんな生きてんだからよ!!」
「な!?・・・大体あんた途中でやられたゃったじゃない!!」
「もう忘れろ〜。あはははは!!」
ゼロはジョンと肩を組んではしゃぐ。すると、奥でほうけているアルに気付く。
「おい!!アル!!なにしけた顔してんだ!?お前もはしゃげよ!!」
「うん!!」
ゼロにいわれてアルもはしゃぎ始める。「あ!!アルちゃんまで!!・・・よ〜し。こうなったら私もはしゃぐわよ!!」
ミリアも参加する。 4人はしばらくはしゃいだ後、日がすっかり沈みかけていることに気付き、その日はベースキャンプに泊まることにした。4人はベースキャンプで夕食を取る。
「いやぁ!!戦いの後の飯はうまいなぁ!!食も進むぜ!!」
ゼロは大喜びである。
「あんたの大飯喰らいはいつものことでしょ・・・」ミリアは呆れている。 「まぁいいじゃねぇか。今日ぐらい許してやれ。」
「しょうがないわね・・・」ミリアはアルがまたほうけていることに気付く。
「アルちゃん。さっきからどうしたの?」
「あ!いえ!その・・・自分がこんな大仕事を本当にやったのかなぁって、実感わかなくて・・・」「なに言ってるの!今日はアルちゃんがいたから勝てたようなものよ!」
「そ、そんなことないですよぉ・・・」
アルが照れている横でゼロが立ち上がる。
「ゼロ、どうした?」
「ちょっとな・・・」
「便所か?」
「・・・ジョン・・・お前もうちょっとデリカシーをもて・・・じゃあちょっと行ってくる」
そう言って、ゼロは茂みの奥に消えた。3人はしばらく談笑を続けた。するとすぐ後ろの茂みが、ガサガサ!と音をたてる。
「なんだ?」
ジョンは茂みをかき分け、音の正体を探す。そして、驚くべきものをみる。 「・・・ゼロ?・・・おい、ゼロ!!」なんと、そこにはゼロが倒れていた。そして、額にまいた包帯から血が滴っている。そう、ゼロはリオレウスにやられた傷から大量の出血をしていた。しかし、周りに心配をかけないよう、わざと元気に振る舞っていたのである。
「ゼロ!!しっかりしろ!!」
ジョンが呼びかけるが返事はない。 「アル!ミリア!街に戻るぞ!ゼロは俺が運ぶ!お前らは出航の準備だ!急いでくれ!」
「わかったわ!」そう言って、アルとミリアは出航の準備をする。ゼロの荷物を積もうと、アルはゼロの大剣にてを伸ばした。しかし、剣は微動だにしない。
「う・・・動かない」それをみたミリアが駆け寄る。
「アルちゃん、あなたじゃこの剣を持てないわ。ハンマー使ってる私でさえようやく持ち上げることができるって感じだから。アルちゃんはこの荷物を船に積んで」ミリアは小さな包みを手渡す。
「はい、分かりました。」
そうして、荷物をすべて積み、ゼロはジョンに抱えられて船に乗せられた。船は大急ぎで街にむかっていった


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