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第7話
宿屋の子供が失踪して、問題が起こったあの日から、そろそろ一週間が経とうとしていた。
アルも状況を理解して、やっと落ち着き始めた。「ゼロ〜。朝ご飯できたよ〜。早く起きて〜」
今日はアルが食事当番である。
「んぅ〜ん・・・後三時間位寝かせて・・・」「何バカなこと言ってるの!ほら、起きなさい!ご飯冷めちゃうじゃない」
そう言って、アルはソファーに寝ていたゼロを蹴り落とした。ゼロは顔面をモロに床にぶつけたため、思いのほかダメージをうけた。 「・・・鬼」
ゼロは鼻さすりながらアルをうらめしそうに睨んだ。「何かいった?」
「何でもありません・・・」
「じゃあさっさと起きる!」ゼロは渋々その場から立ち上り、アルが料理を運んでくるまで椅子に座っていた。アルはその手に、スクランブルエッグとパンの入った皿を運んでくる。「今日の朝飯はスクランブルエッグか」
それを聞いて、アルは少しむっとする。
「え?俺何か変なこといったか?」
「それ・・・」
アルはスクランブルエッグを指差す。「玉子焼きなんだけど」
「玉子焼き!?これがか!?」
スクランブルエッグに見えた物体の正体は玉子焼きだった。「ひっくり返すのに失敗してグチャグチャになっちゃっただけよ」
「アルさん・・・。それを世間一般じゃスクランブルエッグって言うんだぜ・・・」

「何よ?文句あるなら別に食べなくてもいいのよ?」アルは皿を自分の方にもっていこうとする。 「わ〜!食べます!食べさせていただきます!」「分かればよし」
アルは皿をゼロの方に戻す。 ゼロは恐る恐る玉子焼き?を口に運ぶ。
「お?旨いじゃん」
「でしょ〜?」
「こりゃ意外だな」
「意外・・・?」
「いや…何でもない。」「早く食べないと約束に遅れちゃうよ」
「約束?」
ゼロは首を傾げる。
「ジョンが話があるって言ってたじゃない」
いわれてゼロは思い出す
「あ〜。なんかそんなこと言ってたなぁ。オマケに装備つけて来いとかなんとか・・・」
「何かあったのかな?」「さぁな。でも、あいつは情報が速いからな。何かあったんだろ」
「じゃあ早く行かないとね」
「あぁ」2人は食事を済ませ、街へ向かった。
街につくと、集会所の前でジョンが待っていた。
「よぅ。話ってなんだよ?」
ゼロが声をかける。 「まぁ、取りあえず中に入ろうぜ。話はそれからだ」
そう言って、3人は集会所の中に入っていった。中に入った3人は席を取り、座る。
「後でミリアも来ることになってる。」
「ミリアもかよ!?なんか大掛かりじゃねえか?」「何かあったの?」
「それがな…」
ジョンは少し真剣な表情になる。
「ここ最近、街の近くで、人やらモンスターの変死体がでている。」
「変死体?」
アルが聞く
「あぁ。死体の腕や足やらが、明らかに食いちぎられたようになくなってるんだ。それで、調べたところ、嫌な名前がでてきやがった」「なんだよ?」
今度はゼロが聞く。
「・・・リオレウスだ」
『!!』これを聞いたゼロとアルは同時に驚く。リオレウスとは空の王と呼ばれる飛竜である。その口からは灼熱の火炎弾を放ち、その牙はあらゆるものを咬みちぎる。ハンターを生業とするものなら必ず耳にする名前である。 一流のハンターでも敬遠してしまうほどの相手である。
「まじかよ・・・」
「あぁ。残念ながらマジだ。けど、ここまで被害が出たらほっとく訳にもいかねぇだろ」3人を重い雰囲気が包む。思いついたようにゼロが口を開く
「・・・取りあえず、アルの武器を何とかしねぇとな」
「え?私の?」
アルは首を傾げる「あぁ。今回の相手はお前が剣を持って前線で戦うには危険過ぎる。かといって弓を引くのは無理だろうから、親方に頼んでボウガンを作ってもらう」「あぁ、それがいい。」
ゼロの意見にジョンが頷く。
「よし、ちょっと行って来る。ミリアが来たら伝えといてくれ。」
「あぁ。わかった」
「行くぞ、アル」
「う・・・うん」
ゼロとアルは集会所をでて、鍛冶屋に向かった。鍛冶屋に着いて親方に事情を話すと、親方は快く承知してくれた。親方は昔ハンターだったため、同時、自分が使用していた上等なボウガンを譲ってくれるという。「ありがとうございます。」
「いいってことよ。こいつもアルちゃんに使われて幸せだろうよ。」
「おっちゃん、本当にただでいいのか?」
「ったり前よぉ!お前は俺の息子みたいなもんだからな!遠慮せずに持っていけ!」「あんがとよ!おっちゃん!」
「おう!お前達も気をつけていけよ!」
「おう!」
ゼロとアルは鍛冶屋を後にした。集会所に向かう途中、アルが口を開く。 「親方とゼロはどんな関係なの?」
「おっちゃんは、俺が逃げだした時、1人路地裏で暮らしてた俺を育ててくれたんだ」

「へぇ〜。そうだったんだぁ」「おっちゃんがいなかったら今の俺はなかったかもしれないなぁ。」
「ふぅん」
「って和んでる場合じゃねぇぞ。後はボウガンの玉を買わねえとな」
「はぁい」2人が買い物を済ませ、集会所に戻ると、ミリアが到着していた。 「遅いわよ〜。」
「しょうがねぇだろ。こっちは準備OKだ。そっちはどうだ?」「バリバリOKよ!」
ミリアは張り切っている
「ミリアさんって・・・ハンマー使うんですか?」
「ええ。最初はまともに振れなかったけど、長く使ってるうちに慣れちゃったわ」
ミリアはハンマーをなでながら話す
「すごいですねぇ〜」
アルは関心の眼差しをミリアに向ける。 「おい、アル。ミリアには逆らうな。この剛腕に殴られたら死ぬぞ」
「そこ!余計なこといわない!」
ミリアはゼロの頭をグーで殴る。
「本当の事じゃねぇかよ」
「うるさい。早く行くわよ」

4人は船に乗り込み、リオレウスが住むと報告があった森岳へと向かった。4人が森岳に着いたとき、太陽は真上にきていた。4人は現地で昼食を済ませ、ベースキャンプを後にする。「ふ〜。昼飯うまかったな〜。な、ジョン」
「あぁ。即席だったけどいけたな」
と、ゼロとジョンが話していると、ミリアが口を開く。「あんたたち。談笑もいいけど、油断してあんたたちがリオレウスの昼飯にならないように気をつけなさい。」
「げぇ〜。エグいこと言うなよ。」
とゼロが言う「しかも、何気にリアリティがあるな・・・」
「流石に笑えねぇ冗談だな・・・」

などと話していると、分かれ道の前にでる。「ここで二手に分かれようぜ。ここはバランスよく、俺とアルが右に行くから、ジョンとミリアは左に行ってくれ。」
「ハイよ。」
「さっきも言ったけど、気をつけなさいよ。アルちゃん、ゼロをよろしくね。」「はい、任せてください」
「じゃ、頼んだわよ」
そう言って、ジョンとミリアは左の道、ゼロとアルは右の道へと分かれた。分かれて少し経ったとき、ゼロがあるものを発見する。
「血だ・・・」
そう言って、ゼロは血に振れてみる。
「まだ乾いてない・・・近くにいる・・・」
すると空から、グオォオ!! と鳴き声が聞こえた。2人に戦慄が走る。 「・・・アル、さっき説明したボウガンの使い方はもう大丈夫か?」
「うん...でも、何で?」
アルが聞くと、ゼロは冷や汗をかきながら答えた。
「・・・どうやら見つかっちまったらしい」
ゼロがそう言った瞬間、後ろから羽をばたつかせ、何かが降りてくる音がする。そう・・・リオレウスが来たのである。ズシン!と重量感たっぷりの音と共に降りてきた巨体はドスランポスどころの話ではない。 体長は20mほどはあろうかというほどの巨体である。リオレウスはゼロとアルの姿を確認すると、グオォオ!!と、雄叫びをあげ、臨戦態勢をとる。 「アル!!来るぞ!!」
ゼロがそう叫んだ瞬間、リオレウスは猛スピードで突進してくる。 「散れ!!」
ゼロは叫んで右へ、アルは左へジャンプする。
「アル、下がれ!」
「わかった!!援護は任せて!!」
「わかった!任せたぜ!!」ゼロはリオレウス目掛けて突っ込む。リオレウスは向かってくるゼロに噛みつこうと頭を上から下に持ってくる。が、・・・ ボン!・・・爆発音にもにた音と共に、リオレウスの頭が跳ね上がる。 アルが撃ったボウガンの玉が直撃したのである。アルの狙撃力は相当のものだった。
「やるじゃねぇか!!」
ゼロはそう言って、リオレウスの直下まで駆け抜ける。「う・・・らぁ!!」
走ってきた勢いを利用し、物凄い速さで剣をふる。 ザキン!!・・・ゼロの剣は、確かにリオレウスへダメージを与えたが、まだまだ倒れる気配はない。リオレウスは頭を降ってゼロを上へと吹き飛ばす。
「うぉ・・・っとぉ」
ゼロは空中で体をひねり、着地する。
「ゼロ!!大丈夫か!?」
後ろから、雄叫びを聞いて、ジョン達が駆けつけた。 「おせぇよ!」
「ヒーローは遅れて現れるもんだからな!」
「それ、俺のセリフだぜ!」
「もう忘れちまった・・・な!!」
ジョンは弓を引き絞り、束ねた矢を放つ。 ザシュシュ!!・・・矢は、リオレウスの口もとに刺さる。だが、背中に向かっていった矢は、弾かれてしまった。リオレウスの背甲は、予想以上に堅かった。
「ジョン!!背中はダメだ!!顔面か、足を狙え!!」「了解だ!」
「私の存在を忘れてない!?」
とリオレウスの後ろからミリアの声がする。ミリアはハンマーを思い切り振り、リオレウスの足を殴りつける。グゥゥゥ!・・・ハンマーが効いたらしく、リオレウスはたまらず空へ飛び上がる。 が、逃げる気配はない。辺りを猛スピードで飛び回っている。
「くそっ・・・どこからきやがる・・・」
4人は辺りを警戒する。
ゴォォォ・・・。音が近付いてくる。
「アル!!横だ!!」
ゼロが叫ぶ。アルは自分の右上から特攻してくるリオレウスを確認する。しかし、体が恐怖で動かなかった。 リオレウスが目前まで迫ってきたその瞬間 「よけろバカ!!」
アルはゼロに突き飛ばされる。その直後!
ドゴン!!・・・ゼロはまともに直撃をうけ、物凄い勢いで吹き飛ぶ。 バコォン!!・・・ゼロは岩に叩きつけられ、ズルズルと落ちる。『ゼロ!!』全員が叫ぶが返事はない。ゼロは打ちどころが悪く、気を失ってしまった。リオレウスはさらに舞い上がり、再び辺りを飛び回る。全員が絶望感にさいなまれる。辺りには、リオレウスが羽ばたく音だけが響きわたっていた・・・


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