え〜・・・どんどんモンハンらしさが無くなってきました。f^_^; 今回も“有り得ない要素”が満載です・・・ 最後まで読んで頂けると嬉しいです。
第37話
「何なの・・・コレ・・・」
ゼロ達が街を出て2日目。
ここは、街が古竜の襲来に備えて設立した砦の外壁の上。
街中のハンター達に召集命令が下され、アルとミリア、その他多数のハンター達は少し遅れてここにやって来た訳だが・・・
・・・見渡す限り、死体の山。
ガブラスと呼ばれる蛇のような竜の死体と、人の死体が大量に寝そべっている。
ただし、原型を留めているものは極めて少ない。
ガブラスは首が取れていたり、羽がもげていたり、焼け焦げて真っ黒になっていたりする。
人も同様である。
そんな中、
夕日と血液で紅く染め上げられた大地の上で蠢く巨大な影。
漆黒の体色、力強い翼に長い尻尾。
血が垂れる口の上では、巨大な邪眼が次の獲物を探してさまよっている。
そこに、一匹のガブラスが近寄る。
ガブラスは、異形の竜に敵意を示さない様子で、ただ、上空から降下して来ただけ。
そのまま、異形の竜と対峙しているハンター達に襲いかかろうとする。
そんなガブラスを、巨大な邪眼がギョロリととらえた。
ーーー刹那
鋭い牙がガブラスへと伸びる。
一瞬の出来事に、アルとミリアは目を疑った。
竜が竜を喰らったのである。
異形の竜に襲われたガブラスは、バキバキと骨を砕かれ、元は何なのか判別がつかないような肉塊と化す。
「う・・・!」
アルはこみ上げる吐き気を、口に手をあててこらえ、その場にしゃがみこむ。
「アルちゃん、大丈夫?」
「・・・」
ミリアの問いに、アルは無言で首を縦にふる。
・・・やがて、やっと吐き気が収まったアルは、ゆっくりと立ち上がった。
「コイツ・・・普通じゃない・・・!」
「そんな事は見れば分かるわ・・・
ここは作戦を立て直して・・・」
ミリアが言いかけたとき、外壁の下から声があがった。
「ここを突破されたら街は終わりだ!
なんとしてもここでくい止めるぞ!」
叫んで、先に来ていたハンター達は全員で異形の竜に突っ込む。
ミリアは自分の耳を疑った。
「ちょ!?
待ちなさいあんた達!!」
ミリアが叫ぶが、制止の声は届かない。
異形の竜は、自らに刃向かう者を睨み付け、雄叫びをあげる。
竜は、ハンター達を噛みちぎり、叩き潰し、焼き払った。
・・・結局、ハンター達も一瞬で殺られた。
その場にいた全員が、言葉をなくす。
ーーー圧倒的で、絶望的な戦力差。
“それ”が、ここに存在する事自体が恐ろしい。
そんな感情におそわれた。
その時、邪眼がアル達を見つめた。
ーーー悪寒
その眼を見るだけで、強烈な寒気がはしる。
体は、何かに縛られたように動かなくなる。
竜の口元に炎がちらつき始めた。
その炎は、確実にアル達のもとへ放たれようとしている。
・・・なのに、
頭では理解しているのに、体は全く動かない。
悲鳴すらあげられない。
・・・炎がより一層大きくなり始める。
全員が死を覚悟した・・・
ーーーその時
轟音と共に、竜は手前に転ぶように倒れる。
それと同時に、アル達は正気に戻った。
「一体、なにが・・・?」
アルは何が起きたのか確認すると、目を丸くして驚いた。
・・・そこには、あの竜の何倍もの大きさの竜がいた。
・・・ラオである。
竜は、ラオの体当たりによりはじき飛ばされたのである。
竜はむくりと体を起こすと、ラオを睨み付ける。
すると、今度はラオの後ろから白い何かが飛び出した。
アル達が確認するより早く、竜を雷が襲う。
ギュオオ!と、苦しそうに叫んで、もう一度その場に崩れ落ちる。
雷を放った正体に目を向けると、今度は見覚えのある姿がそこにあった。
『キ・・・キリン・・・!?』
アルとミリアは驚くが、キリンは無視して二撃目を放つ。
雷が竜を襲うが、今度はそれをこらえて竜は起き上がる。
“もう耐性をつけたか・・・!化け物め・・・!
ミラボレアス・・・やはりその名は伊達では無い・・・!”
古竜をもってして化け物と言わせる竜・・・ミラボレアスは、ラオとキリンに目をむける。
“代行者よ、来るぞ!”
ラオが叫ぶと同時に、ミラボレアスの牙がキリンに襲いかかる。
“く・・・!”
キリンは後ろに跳び、その牙を避けようとする。
・・・が、次の瞬間、それは無意味になった。
ミラボレアスの首が斜め上に跳ね上がったのだ。
『!?』
その場にいた全員が、何が起こったのか理解出来なかった。
「キリンとラオ!?
何故ここに!?」
聞き覚えのある声。
・・・ミラボレアスの首を跳ね上げた正体はゼロだった。
ゼロは、ミラボレアスの顎の下に潜り込み、思いっきり斬り上げていた。
『ゼロ!!』
アルとミリアが同時に叫ぶ。
「よぅ!
大変な事になってんな!」
「ってゼロ、ジョンは!どうしたの?」
アルが尋ねると、ゼロはアル達の後ろを指さす。
目を向けると、そこにはジョンが立っていた。
「ジョン、いつからここにいたの?」
「今来たばかりだ。
途中でゼロと別れて、俺だけこっちにまわった」
「そーいう事だ!
お前らはそこで、ジョンと一緒に援護にまわれ!」
下でゼロが叫ぶ。
「・・・ところで、質問に答えろよ」
言って、ラオとキリンに目を向ける。
「お前らなんでここにいるんだよ?」
ゼロが聞くと、ラオとキリンは困ったような表情を見せる。
“・・・お主にこの概念は理解出来ん。
ワシらには、代行者が神の力を行使した、としか言えんな”
「神の力を・・・?
それって・・・」
“あぁ。許されざる行為だ。
故に、我の代行者としての立場は剥奪されてしまった。”
そう言って、キリンは小さく笑う。
・・・ゼロ達が走り去った後、ラオは自らをここに移動させるよう頼み、キリンはそれを了承した。
代行者としての立場を剥奪されると分かりながら。
「どうしてそこまでするんだよ?」
キリンはどこか悲しげな目で、うずくまるミラボレアスを見る。
“・・・我は、汝の父とは交流があった。
友、と呼ぶにふさわしい程の仲だった。
我にとって、初めての友だ。
・・・だが、我はその友に何をしたと思う?”
「・・・何したんだ?」
ゼロが首を傾げると、キリンは悲しげな目をゼロに向ける。
“汝もみたであろう。
・・・見捨てたのだよ・・・
この者が集落を襲った時、我は汝の父を、友を見捨てて逃げたのだ”
「あれは俺の親父が逃がしたんじゃねぇか」
“そんな事は問題ではない。
問題なのは、我が逃げ出したという事実”
そう言って、キリンは少し顔をふせる。
“・・・あれから今まで、我は罪悪感を拭えずにいた・・・
そうして、我は汝に出会った。
・・・汝は我の事をどう思っているか知らんが、我は汝を、友と呼ぶにふさわしい存在だと思っている。
・・・その友が、今まさに以前と同じ形で失われようとしている。
我はそれが我慢ならぬ”
それを聞いて、ゼロは笑いをこぼす。
「馬鹿だなぁ。
俺は死なねえよ」
そう言って、ミラボレアスに目を向ける。
「・・・確かに、生き物としてはお前らの方が優れてる。
けどな、殺し合って勝つのは俺だ。
・・・心配すんな。
親父に出来なかったことを、俺が成し遂げてみせる・・・!」
そう言い放ったゼロを見て、キリンはますます表情が暗くなる。
“・・・それでは駄目なのだ、ゼロよ・・・
そのままでは、詩の流れをなぞり、最後に汝は命を落とす。
・・・ここで流れを変えなければ、誰かが汝の助太刀をせねば・・・
・・・故に我々は、その誰かを担う・・・”
「詩ってなんだよ?」
“2人とも、語るのはそこまでだ!
来るぞ!”
ラオが叫ぶと同時に、ゼロとキリンは左右に跳ぶ。
・・・凄まじい爆音と共に、ゼロとキリンのいた場所がはじけ飛ぶ。
ミラボレアスは三度も自分の攻撃を邪魔され、怒りの絶頂だ。
「ちっ!
もう少し寝とけよな!」
文句を言いながらも、ゼロはミラボレアスに向かって行く。
その姿を確認したミラボレアスは、口に炎をためる。
「やべ・・・!」
それを見たゼロは、慌てて進路を変更しようとする。
“逃げる必要はない!
そのまま走れ!”
「!!」
キリンが叫び、ゼロはそのまま突っ込む。
・・・何故かは分からないが、ゼロはキリンをすんなりと信じられた。
轟音が響き渡り、ミラボレアスの口から火球が吐き出される。
その瞬間、キリンの角が光を放ち、雷がミラボレアスの火球を打ち消した。
「ナイスアシストだぜ!」
叫んで、ゼロは跳び上がる。
「ハァァ!」
勢いよく剣を振り下ろし、剣はミラボレアスの頭部を直撃する。
ミラボレアスの頭部はゼロの剣に襲われ、地面に叩きつけられる。
・・・叩きつけた・・・
つまり、斬るに至らなかった。
「どーいう硬さしてんだよコイツ!?」
痺れた手を抑えつつゼロが叫ぶ。
斬るには至らなかったが、失神させるには十分だった。
ミラボレアスは首をうなだれて目をまわす。
そこに、大砲の玉が飛来する。
見れば、ジョンの指揮の下、大量の玉が運ばれていた。
大砲を打つ係、玉を運ぶ係の者がせっせと働いている。
“なかなか心強いではないか・・・
あの者達に、あの槍のような兵器を起動させるように伝えてくれ”
ラオはそう言って、ミラボレアスの後ろから体当たりし、ミラボレアスの体を前に前にと押す。
ゼロは、視線を外壁の上に向ける。
「ジョン!ラオに合わせて竜撃槍を起動しろ!」
ジョンは無言で頷く。
「ミリア!
竜撃槍を起動してくれ!
他の奴は攻撃を続けろ!」
指示をだし、皆がその通り動く。
ミリアは、外壁に設置されてあるスイッチのような物の前に立ち、ハンマーを構える。
「こっちは準備OKよ!
合図してくれればいつでも起動できるわ!」
「よし!そのまま待ってろ!」
ゼロはラオに目を向ける。
ミラボレアスと竜撃槍の距離はあと僅か。
「ラオ!次は思いっきり体当たりしろ!」
“よし、分かった”
ラオは頷き、少し後ろに下がる。
すると、ミラボレアスは気を取り戻し、ゆっくりと体を起こした。
・・・が、すでに手遅れだ。
次の瞬間には、ラオの体当たりにより吹き飛ばされた。
ーーー直後
「今だぁ!!」
ゼロが叫び、ミリアはスイッチを思いっきり叩く。
竜撃槍は、ミラボレアスが丁度とんでくるタイミングで射出される。
・・・竜撃槍は、ミラボレアスの翼を貫き、片目を抉った。
・・・しかし、それだけだった。
ミラボレアスの甲殻を直撃した槍は、全て明後日の方向へとねじ曲がる。
その場にいた全員が、言葉を無くした。
古竜迎撃のために造られた兵器が、古竜に通じない。
もはや皮肉を通り越して滑稽である。
・・・ミラボレアスは、辺りに凶悪な殺気を撒き散らして立ち上がる。
その凄まじさに、ミラボレアスのまわりが歪んで見えそうなくらいだ。
その目に、怒りはない。
そんな優しいものではすまされない。
ーーー殺意
それしか該当する言葉が見つからない。
その殺意の矛先は、ラオに向けられていた。
ミラボレアスは雄叫びをあげながら、四つ足でズルズルとラオに駆け寄る。
その姿は、あまりにもおぞましい。
「ラオ!!逃げろぉ!!」
ゼロが叫ぶが、それは無理だった。
ここは、巨大なラオが動くには狭すぎるのだ。
身を翻すだけでも、かなりの時間を要する。
もちろん、今のラオにそんな時間はない。
何も出来ぬまま、ミラボレアスの牙がラオの首へと食い込んだ。
グオオオ・・・!と、ラオの悲痛な叫び声が響き渡る。
「やめろぉー!!」
弾かれたように走り出し、ゼロは何度もミラボレアスを斬りつける。
・・・しかし、ゼロの剣は僅かな傷をつけるのがせいぜいだった。
竜撃槍の有り様を見れば驚くべき事だが、それではラオを助けられない。
キリンも雷で攻撃するが、大して効いていない。
ギリギリと、牙はより一層深く食い込む。
「はなせって言ってんだろーが!!」
それでも、ゼロは諦めない。
そこへ
“もういいのだ、ゼロよ・・・”
ラオが声をかける。
“わしは・・・もう、十分生きた・・・
だから・・・もういいのだよ・・・”
「うるせぇ!!
もういいとか言うな!!
最後まで諦めんじゃねぇよ!!」
ゼロは攻撃を止めない。
そんなゼロを見て、ラオは心底うれしそうな顔をする。
なんとか首をゼロの所まで伸ばし、鼻でゼロを軽くつつく。
それを拍子に、ゼロは攻撃の手を止める。
“お主は・・・そこ抜けに・・・優しいのだな・・・
こんな老いぼれの命すら・・・気にしてくれるとは・・・
こんな感情は・・・初めてだ・・・
今なら・・・代行者の気持ちが痛いほど理解できる・・・”
ラオは、嬉しいそうに目を細める。
“・・・だが・・・だからこそ、お主に伝えねばならぬ事がある”
「一体何を!?」
ゼロは焦った様子で聞き返す。
“・・・あの人間達を・・・遠くに避難させろ・・・
わしが殺された後・・・恐ろしい事が起こる・・・”
「だから死なせねぇって言ってんだろ!!
俺が・・・」
“ゼロ・・・”
ラオはゼロの言葉を遮る。
“・・・わしの遺言を聞き入れてはくれぬのか・・・?”
少し悲しそうな瞳でゼロを見る。
「・・・そんな目して・・・
反則だろ・・・!」
言って、悔しそうにラオに背を向ける。
“・・・ありがとう・・・”
ラオは、小さく呟いた。
ゼロは、外壁の下まで走る。
「ゼロ、どうした!?」
上からジョンが声をかける。
ゼロは、拳を握りしめ
「ラオの遺言だ!
お前らは逃げろ!」
叫んだ。
「な!?
そんなこと出来る訳・・・」
ジョンが言いかけたとき、ベキン!と、嫌な音が響いた。
・・・ラオの首が折れる音。
ラオの永きに渡る生に終止符を打つ音が・・・
『な・・・!?』
ゼロ以外の人間は、何が起きたのか理解出来なかった。
けれど、奥でラオの首が地面に崩れ落ちるのをみて、ようやく理解する。
ゼロは振り向く事はせずに叫ぶ。
「逃げろって言ってるのが聞こえねぇのかよ!!
あいつが命をかけて遺した言葉だぞ!?
逃げろっつったら逃げろ!!」
「・・・」
ジョンは無言でゼロを見る。
「モタモタするんじゃねぇよ!!」
ゼロは必死に叫び続ける。
ジョンは少し迷って、ようやく口を開いた。
「・・・全員逃げろ!
出来るだけ遠くへだ!!」
「でも・・・!!」
アルも口を開くが、ジョンに睨まれて怯む。
「文句ぬかすな!!
命令だ!!」
「わ・・・分かった・・・」
アル達はバタバタと立ち去る。
ジョンも少し遅れて、その場を後にした。
ジョン達を見送り、後ろを振り向くと、凄まじい光景がそこにあった。
・・・ミラボレアスがラオを喰らっている。
バキバキと甲殻を砕き、ブチブチと肉を引きちぎる。
「何・・・やってんだ・・・?」
体の奥底から、どす黒い何かが湧き上がる。
タナトスに支配される時とは違う。
・・・アルを自衛団から救い出した時と同じ衝動。
理性が失われ、代わりに野生がこみ上げる。
「・・・何してんだテメェ!!」
完全に狂う前に、キリンが目の前に飛び出してきた。
“怒りを鎮めろ!
これ以上力の波を発すれば、他の竜達を巻き込むぞ!”
「くっ・・・!」
キリンに怒鳴られ、ゼロはなんとか我を取り戻す。
キリンはゼロが落ち着いたのを確認すると、ラオを喰らっているミラボレアスに目を向ける。
そして
“・・・始まるぞ・・・!”
暗い表情でそう告げる。
同時に、ゴキゴキと、聞き慣れない音が辺りに響き始めた・・・
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。