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話がモンハンから見事に脱線してしまいました。(^_^;)感想・評価をお待ちしてます。
第28話
バサバサと、上空で羽ばたくそれは、ゼロ達を怒りの形相で睨みつけていた。
「な・・・何だ?」
慌てるゼロをよそに、それは悠然と降りてきた。
ズシッと、重い音をたてて着地すると、ギロリとゼロを睨む。
“貴様・・・ここがどこだか分かっているのか?”
頭に流れ込んでくるキリンとは別の声。
キリンでないならば、今目の前にいる異形の竜から発せられたに他ならない。
・・・獅子のようなその姿は赤く、体には、その怒りを形にしたかのような熱気を纏っている。
“ここは、我が領域・・・それを侵す者は何人たりとも許さん!”
ゴォゥ!と、凄まじい音をたて、体に纏う熱気がより激しく舞い上がる。
「く・・・!何者だテメェ!」
“・・・我は燃え盛る炎の皇帝・・・テオ・テスカトルなり・・・!”
言って、有無を言わさずゼロに飛びかかる。
「ちぃ・・・!」
思わず剣を引き抜き、体の前に掲げる。
・・・・・・
攻撃がこない。
不思議に思ったゼロは、顔をあげる。
・・・そこには、あっけにとられているテオ・テスカトルの姿があった。
驚いた様子で、ゼロを睨んでいる。
“ば、馬鹿な・・・何故、貴様がその剣を扱える・・・?まさか・・・”
“そのまさかだ、皇帝よ・・・”
キリンが割って入る。
“汝が危惧した通り・・・この者は、古の竜の末裔・・・ドラゴノイドだ”
“そんな馬鹿なことが・・・ならば、近頃頻繁に感じていた力の波はこやつが・・・?”
テオ・テスカトルは、さらに驚く。
・・・と、言うより、若干怯えていた。
“・・・だが、それが何だと言うのだ!”
恐れを振り払うように叫んで、再びゼロを睨む。
“たとえドラゴノイドと言えど、我が領域を侵したからには万死に値する!”
そして、出入り口まで飛び、そこで身構える。
“もはや退路はない!我と戦え!ドラゴノイドよ!”
臨戦態勢をとるテオ・テスカトルを前に、ゼロは不思議そうな顔をする。
「なぁ・・・別に無理して戦う事はないんじゃねぇか?」
そう言い放ったゼロをみて、テオ・テスカトルはさらに怒る。
“貴様・・・!我を愚弄するつもりか!?・・・貴様が何を言おうと、我が領域を侵した時点で貴様は我の敵なのだ!”
ギロリと、今度はキリンを睨む。
“代行者よ・・・よもや邪魔立てするつもりではあるまいな?”
“する訳が無かろう・・・これ以上の干渉は、我には許されていない・・・ここまでくれば、我はただの傍観者にすぎん・・・”
「あ!てめっ、キリン!1人だけ卑怯だぞ!」
スタスタと、安全区域に非難するキリンにやじをとばすが、キリンは無視して歩き去る。
“貴様の相手は我だ!!”
見ると、テオ・テスカトルが怒り心頭で大気を焦がしている。
“もう一度言う・・・我と戦え、竜の子よ!”
「・・・分かったよ・・・」
ゼロは背中に提げていた剣を投げ捨て、闇色の剣を手にとる。
“行くぞ!”
叫ぶと同時に、テオ・テスカトルは地面を蹴る。
ガギン!と、硬い物同士がぶつかる音。
ゼロが構えた剣に、テオ・テスカトルが噛みつく。
「ぐぅ・・・!」
そのまま、力比べに発展する。
“ぐ、ぅ〜・・・”
「う・・・ぐ・・・」
ギリギリと、牙と剣がこすれ合う音が辺りを支配する。
・・・力は、五分五分。
どちらも、一歩も譲らない。
・・・が、ジリジリと嫌な音が流れだす。
テオ・テスカトルの熱気で、ゼロの肌が焼け出した。
ついに、ゼロの肌に火がついた。
「!?・・・ぐあぁっ!」
耐えきれず、後ろに跳ねる。
“馬鹿めが!”
待ってましたと言わんばかりに、ゼロが空中から着地する寸前を狙って炎を吐き出す。
「ぐわぁぁぁ!?」
“ハハハハ!そのまま焼け死ぬがいい!”
テオ・テスカトルが勝利を確信した。
・・・次の瞬間、炎が盛り上がってテオ・テスカトルに向かってきた。
“なに!?”
炎はそのまま直進し、目前で弾けた。
「うおぉぉらぁぁ!」
そして、炎の中からゼロが飛び出す。
「だりゃあぁぁ!」
ガキィィ・・ン・・・
“・・・ぐおぉぉぉ!?”
ゼロの一撃は、テオ・テスカトルの角を粉砕する。
それと同時に、体に纏っていた炎が消滅した。
「やっぱり、クシャルダオラと弱点は一緒だったな!」
“ぐおおおおお!!”
テオ・テスカトルは、悶えながらも前足を高速でゼロに突き出す。
「なに!?」
ゼロは驚きながらも、本能的に身を後ろに引く。
・・・しかし、完全には避けきれなかった。
テオ・テスカトルの爪が、ゼロの脇腹をわずかにえぐる。
「・・・っつ!」
そのまま後ろに跳んで、脇腹を抑えながら膝を突く。
「くそ・・・!」
瞬時にテオ・テスカトルに視線を戻す。
・・・テオ・テスカトルは、苦しそうに息を荒げて、ゼロを睨みつけていた。
“やはり・・・貴様らドラゴノイドの戦闘能力は底無しか・・・!・・・おのれ・・・おのれ、おのれおのれおのれぇぇぇぇ!”
炎の根源は断ったはずなのに、ゾワリと、大気が燃えるような憎悪が湧き上がる。
「な・・・?これ・・・は?」
ヤバい!
・・・何が来るかは分からない。
でもヤバい!
第六感が、体中の全細胞が、あれはヤバいと警告する。
「ち!・・・動け、動けぇ!」
重くなった足に喝を入れる。
“無駄だ・・・そこで無力に爆ぜる(はぜる)がいい!”
・・・テオ・テスカトルは、カチンと、牙をかち合わせる。
そして、文字通り爆ぜた。
爆発音と共に、地面の欠片が吹き飛ぶ。
“・・・ハハハハ!欠片も遺らんか!”
テオ・テスカトルは、声高らかに笑う。
・・・風が吹き、砂煙がはれていく。
その、少し向こう。
そこに、1つの人影が浮かび上がる。
・・・言うまでもなくゼロである。
「へへ・・・まさに間一髪ってとこか?」
テオ・テスカトルは、信じられないといった表情でゼロを見つめる。
“ば・・・ばかな!?・・・あれを避けただと!?”
「ギリギリだったけどな・・・」
“こ・・・こしゃくな・・・!”
怒りのボルテージがグングン上がっていく。
“貴様だけは・・・貴様だけはぁ!”
もはや怒りで我を忘れている。
“消えろ・・・消えろ!”
何度も何度も、牙をかち合わせた。
そのたびに、ゼロの足下が爆ぜる。
「うわ!ちょ、待て!」
ゼロは避けるのに必死である。
「・・・このままじゃ、拉致があかねぇ・・・」
一体どうすれば・・・?
ゼロは一瞬そう考えた。
たった一瞬。
しかし、テオ・テスカトルはその一瞬を見逃さなかった。
“そこだぁぁ!”
「!?」
ゼロの動きが鈍くなったところに、爆発が襲った。
「ぐはっ!」
・・・そのまま飛ばされ、無残に地面を転がる。
「・・・が・・・ぁ」
かろうじて直撃は避けたものの、体は限界を伝えている。
・・・けれど、まだ立ち上がろうとする。
「・・・まだ、負けられねぇんだよ・・・!・・・帰るって約束したんだよ・・・!それなのに、こんな所で・・・!」
もがくゼロの体がフワリと宙に浮く。
「え・・・!?」
顔を横に向けると、そこにはテオ・テスカトルの姿があった。
「テメェ・・・何を・・・!?」
ゼロをくわえ上げたテオ・テスカトルは、勢いをつけてゼロを地面に叩きつける。
「ぐあああぁぁぁ!!」
ボキボキと、あばらの骨が折れる音がする。
「が・・・がは・・・」
苦しい・・・
呼吸が、上手く出来ない。
・・・ならば、殺すか?
「!?」
頭の中に、自分とは別の声が響く。
「だ・・・まれ!お前、は、引っ込んで、ろ・・・」
何故?
お前こそ引っ込めばいい。
目の前のそいつは敵だ・・・なら、殺すのが道理だろ?
「な、んで、敵とか、簡単に、決めるんだよ・・・?意志が、通じるなら、分かり合える、かも、しれねぇだろ・・・?」
貴様は甘すぎる。
その甘さのせいで、貴様はこの程度の敵にここまでやられるのだ・・・
「だま、れ・・・」
さぁ、体を明け渡せ・・・
俺がそいつを殺してやるよ・・・
「だ・・・だめ、だ・・・意識が・・・」
殺す・・・
「意識が・・・」
殺す・・・
「意識が・・・反転・・・」
殺す・・・
・・・反転する・・・
「殺す・・・」
・・・・・・・・・
テオ・テスカトルは、トドメをさそうともう一度ふりかぶる。
そして、無抵抗のゼロを地面に向かって急降下させる。
・・・次の瞬間、地面に倒れ伏していたのは、テオ・テスカトルだった。
叩きつけられる瞬間、テオ・テスカトルの牙から逃れたゼロは、勢いを利用してテオ・テスカトルの顔面を地面に叩きつけた。
それを見て、キリンがピクリと反応する。
“目覚めたか・・・タナトス・・・!”
「・・・・・・」
ゼロは無言で、落ちている剣を拾う。
すると、刀身が黒から赤へ変色する。
・・・いや、もっと根源的な色。
赤というより紅。
血を連想させる、混ざりのない紅色。
“あの刀身の色・・・やはり、タナトスはゼロと共にあるということか・・・”
“ぐぅぅぅぅ・・・”
意識を取り戻したテオ・テスカトルに、ゼロは無言で近寄る。
“き・・・貴様ぁ・・・!”
立ち上がり、ゼロに食らいつこうと飛びかかる。
・・・しかし、その牙がゼロを捕らえることはなかった。
牙がゼロに到達する寸前に、ゼロが全ての牙を粉砕してしまった。
グオォォ!と、悲痛の雄叫びをあげるテオ・テスカトルに近付き、剣を振るう。
・・・ズルズルと、肉がズレる音がする。
そして、ボタリ・・・と、音と共にテオ・テスカトルの両の翼が落ちた。
“・・・・・・!!”
もはや言葉にならないほどの苦痛と驚きがテオ・テスカトルを襲う。
「・・・・・・」
あくまで無言で、今度はテオ・テスカトルのたてがみを片手で鷲掴みにし、ズルズルと引きずる。
・・・そして、塔の端まで引きずって、ニヤァ・・・と、心底楽しそうな笑みを浮かべ
「・・・死ね・・・」
・・・たった一言口にして、塔の頂上からテオ・テスカトルを投げ捨てた・・・。
翼をもがれたテオ・テスカトルは、落下に抵抗する術はない。
そしてこの高さ。
間違いなく、死ぬだろう・・・
しかもそれに加え、先程自分で投げ捨てた剣・・・今まで使用していた剣を、落下するテオ・テスカトルに投げつけた・・・
「・・・終わりか・・・くだらん。皇帝と言えど、この程度か・・・」
途端に、ゼロは頭を抱える。
「ち!・・・うるさい奴だ・・・いいだろう。返してやるよ・・・」
・・・言って、がくりと膝をつく。
ゼロの手に握られた剣は、紅から黒に戻る。
“終わったか・・・”
キリンが駆け寄ってくる。
「・・・教えろ、キリン・・・俺は一体なんなんだ?この剣はなんだ?・・・ここに来たくらいじゃ、肝心な事が何も分からねぇよ・・・ここで分かったのは、ここで何があったのかって位だ・・・」
“そのようだな・・・”
「そのようだなってお前・・・」
“賢者に会いに行け・・・”
賢者・・・
さっきもそんな事を言っていた。
“これが最後の手段だ・・・賢者に会いに行って分からなければ、他に方法は無い”
「だ、から・・・その賢者・・・てのは、一体・・・誰・・・」
力無く呟き、ゼロは気絶してしまった・・・


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