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今回から、ゼロとミリアの過去編に入ります。
第19話
その日は太陽の日差しが照りつける、暑い日。
ゼロは目的もなく、ブラブラだるそうに街を歩いていた。
「あぢぃ〜・・・ったく、やってらんねぇよ・・・」
数分歩くと、柄の悪そうな集団がゼロの前にあらわれた。
「お前ゼロだな?ちょっと面貸せや」
言って、裏路地を指差す。
「お〜お〜・・・この暑い中、血気盛んな奴らだ・・・」
この頃のゼロは、しょっちゅう喧嘩を売られ、する事もないのでいちいち喧嘩を買っていた。
裏路地に入っていくと、鉄の棒などを持った連中がたむろっていた。
「おい、連れてきたぜ」
一人の男がそう言うと、全員の視線がゼロに集中する。
別の男がゼロに歩みよる。
「お前がゼロか・・・ガキのクセにいきがってるって有名だぜお前」
「そりゃめでたい。俺も有名人になったもんだなぁ。」
「あ?・・・お前なめてんのか?」
「なめてんのはお前らだろ。この程度の人数で俺をどうこうできると思ってんのか?」
ゼロのこの一言で、集団に一気に火がついた。
『ぶっ殺すぞ〜!!』
男達は一気にゼロに襲いかかる。
・・・が、ゼロにとっては取るに足らない相手だった。
おまけにゼロは、この時すでにハンターの仕事を始めていた。
一人一人が強いわけはない。
かと言って、野生の獣のように集団で戦うことに慣れているわけでもない。
一人一人確実に倒していけばどうということはない相手だった。
・・・5分後、予想通りゼロはなにもなかったかのように無傷で裏路地から出てくる。
「あ〜・・・なんかよけいにあつくなっちまった・・・さっさと帰ろ・・・」
ゼロはまたダラダラと歩きだす。
しかし、ゼロはすんなり家に帰ることは出来なかった。
何故なら、今度は柄の悪そうな女の集団につかまったからである。
「あんたがゼロね」
集団の中から、長い金髪のリーダー的な女がでてきた。
ミリアである。
・・・この時、ゼロ15歳、ミリア17歳。
最初の出会いである。
「・・・人違いです」
「そんなわけないわ。だってあんた・・・」
「有名だもの。・・・とか言いたいんだろ?」
ゼロは、はぁ・・・とため息をついて肩をおとす。
「あら?話しがわかるじゃない。・・・なら、なんで呼び止められたか分かるでしょ?」
「ナンパか?」
ゼロがそう言うと、ミリアは一瞬だけ目を点にして、あはは・・・と笑いだした。
「・・・まぁ、それでもいいわね。みてくれもなかなかよ、あなた」
「そりゃどうも」
「けど、残念ながらナンパじゃないわ。・・・分かる?あなたに喧嘩うってるの。」
ミリアはそう言うと、鉄の棒を取り出した。
「あんた達!分かってると思うけど、これはタイマンだからね!絶対手ぇだすんじゃないよ!」
後ろにいた集団にそう言って、ゼロに向かって走りだした。
・・・これは正しい選択だった。
この頃ミリアはまだハンターではない。
やはり集団で戦うことには慣れていないのである。
相手が実力者である場合、連携のとれない集団は意味をなさない。
また、ミリアはハンターではなかったが、なかなか強かった。
集団になればまわりはただの足手まといに過ぎなかった。
ミリアは重そうな棒を、素早く振り回してゼロに襲いかかる。
「へぇ・・・この街にもまだこんな強ぇやつがいたのか・・・」
ゼロはひらひら攻撃をよけながら感心している。
「よけてばかりいないで少しは攻撃したらどうなの!?」
ミリアがそう言うと、ゼロは困った表情を見せる。
「そうしたいのはやまやまなんだが・・・女に手をあげるのはちょっとなぁ・・・」
この一言でミリアはキレる。
「な!?女だからって甘くみないで!!」
「いや、甘くみてるわけじゃねぇよ。実際大したもんだと感心してる。けど、そこは男として譲れんものがあるしなぁ・・・」
「今時そんな時代錯誤ははやらないわよ!」
「まったくだ・・・困ったもんだなぁ・・・」
ゼロは一人冷静にそんなことを口にする。
「あ!いいこと思いついた!」
言って、ゼロはミリアと距離をとる。
「今から5分だ・・・5分間お前の攻撃に当たらなかったら俺の勝ち。一発でも当たればお前の勝ちだ。」
この一言にミリアはピクピクと眉をつりあげる。
ワナワナと、手まで震えだした。
「あなた、私がだれだか知らないらしいわね・・・」
「知らん」
「本当に知らないの!?」
「悪いがさっぱり。・・・どっかで会ったっけ?」
「初対面よ!・・・私はミリア・マージョリー。この街じゃあ敵無しっていわれてるわ・・・」
「・・・やっぱ知らんわ。なぁ、もう帰っていいか?」
「駄目よ。あと5分間、私の攻撃をよけるんでしょ?いっとくけど、手加減なんかしないわよ!」
言葉と同時にミリアは再びゼロに襲いかかる。
・・・が、ゼロには一向に当たる気配はない。
「くそ!なんで当たらないのよ!」
ミリアが悔しそうな声をあげる。
「なんでって・・・俺がよけてるからだろ」
ゼロは、ふん・・・と鼻で笑う。
「生意気・・・!絶対当ててやるんだから!」
「ま、頑張れ」
・・・結局、ゼロには一発も当たらず、ゼロはスタスタ帰っていった。
ミリアはその場に膝をつき、信じられないという表情をみせる。
「姉さん!」
まわりの集団がミリアに駆け寄る。
「・・・あんた達、今日はもう解散よ・・・」
「でも・・・!このままほっといていいんですか!?」
「ごちゃごちゃうるさいわね・・・私が解散って言ったら解散よ。」
「わ、分かりました・・・」
集団は解散し、ミリアだけがその場に残された。
「こんな屈辱は始めてよ・・・。ゼロ、覚えてなさい。」
そう言って、ミリアも帰宅した。
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「ただいま・・・」
ミリアが帰宅すると、ミリアの両親が入り口で待ち構えていた。
「ミリア・・・!あなた今日は何をしてたの?まさかまた喧嘩してたんじゃ・・・」
「うるさいなぁ・・・母さんには関係ないわ。」
「ミリア!母さんに向かってその口のききかたはなんだ!」
「なによ!父さんにも関係ないわ!」
「母さんはあなたを心配して・・・」
「もういいからほっといて!」
ミリアは母親の腕を振りほどいて、自室に駆け込んだ。
「なによ・・・どっちも本当の親じゃないくせに・・・」
そう、ミリアはこの両親の本当の子ではない。
小さいころに親にすてられたミリアは、ここの夫妻に養子として迎えられたのである。
「・・・明日こそゼロを倒してやるんだから・・・!」
ミリアはそう決意して、眠りについた。
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翌朝ミリアは一人で街をうろついていた。
ゼロを見つけるためである。
しかし、なかなかゼロを見つけられずに昼になってしまう。
ミリアは捜索を一時断念し、格安の食堂へ向かった。
店に入るなり、ミリアは目を丸くして驚いた。
視線の先にはゼロがいた。
何やら注文が決められずに悩んでいる様子である。
ミリアはゼロの座っている席の反対側に腰掛けた。
「あんた・・・こんなとこでなにやってんの?」
「ん?・・・って昨日の!?」
ゼロは椅子から、ガタッ・・・と腰を浮かせて驚く。
「やっべ〜・・・。厄介なやつに見つかっちまったよ・・・」
「厄介って何よ?」
ミリアは目を細めてゼロを睨む。
「いや、なんでもないっす・・・」
「ったく・・・あんたさっきからなんか悩んでるみたいだけど、メニューくらいさっさと決められないの?」
「いや、今買い物帰りでさ、俺貧乏だから持ち金がもうすくねぇんだよ。んで、俺でも注文できそうな物ねぇかなぁって探してんだけどなかなか見つかんなくてよ・・・」
真剣に悩むゼロを見て、ミリアはゼロに抱いていた復讐心が消えてしまった。
「はぁ・・・あんたそんなに貧乏なの?」
「あぁ。常にギリギリだぜ」
「親は・・・いないんだったわね」
「・・・あぁ。っつか何で知ってんだ?」
「そりゃあ、悪い意味でこの街であんたのこと知らない奴はいないわよ。」
「ふ〜ん・・・ま、いちいち説明しなくていいから楽でいいけどな」
「・・・あんた本当に前向きねぇ・・・」
ミリアは感心する。
「ん?そうか?・・・つかそんなことより今は昼飯の問題だ・・・」
「いいわ・・・足りない分は私がだしてあげる。」
「本当か!?」
「いっとくけど貸しよ」
「なんだよ、ケチ・・・」
ゼロはいじける。
「あっそ。ならここで一生悩んでなさい。」
「うわぁ!ミリアさん最高っす!いよ!太っ腹!」
「・・・あんた本当に馬鹿ね」
ミリアはふふっ・・・と笑う。
「馬鹿で結構!」
ゼロはウェイトレスをよんで、注文を済ませる。
運ばれてきた料理をガツガツ食べる。
「行儀の悪いやつね・・・」
ミリアは呆れる。
「気にすんな。俺はいそがしいんだ。」
ゼロはそう言って、あっという間に料理をたいらげ、バタバタと帰る支度をする。
「なにをそんなに慌ててるのよ?」
「早く帰らねぇと妹たちがやかましいんだよ」
「あんた妹いたの!?」
ミリアは驚きを隠せない。
「いるいる。かわいい奴らだぜ!」
ゼロはじゃあな!・・・と言って、走って家に帰って行った・・・


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