第18話
「ふぅ、なんか本気で疲れちまった・・・」
ゼロは帰ってくるなりそんなことを口にした。
「・・・ごめんね、私のせいで・・・」
「はいストップ!」
ゼロはアルの言葉をさえぎる。
「そのことは言うな。・・・忘れろって言っても忘れられないとは思う。けど、もうお互い気にするのはやめようぜ。」
ゼロは優しく微笑む。
「・・・わかった。」
「わかればよし。俺はもう寝るぜ。」
「あ、そうだ。今日変な人達に絡まれたとき、ミリアさんがどうとか言ってたけど・・・あれ何?」
「あぁ、あれはな・・・」
言いかけてゼロは少し考え込む。
「・・・やっぱこの話はよそう。明日自分でミリアに聞け。」
「え?わざわざ何で?」
「そのほうがおもしろい。」
笑って言うゼロにアルは呆れる。
「はぁ・・・そんなことばっかりしてるからミリアさんが怒るんだよ・・・」
「いいのいいの。んじゃ、お休みぃ〜。」
「はぁ・・・お休みなさい」
アルはしょうがないといいたげな表情で横になった。
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翌朝ゼロが目を覚ますと、アルとリリスが何やら話し合っていた。
「リリスちゃん話って何?」
「・・・・・・」
リリスは問いかけるアルに、黙ってどこか敵意のこもった視線をアルにむける。
「・・・あなたも・・・」
リリスは視線はそのままで口を開く。
「ん?何?」
「あなたも・・・街の人達と同じなの・・・?」
「ちょっ?リリス・・・」
「いいの!ゼロは黙ってて・・・」
何を言おうとしてるのかわかったゼロが止めようとするが、アルに言葉を遮られる。
「・・・リリスちゃん。それはどういう事かな?」
「・・・お兄ちゃんが怪我してるの・・・あなたがしたんでしょ・・・?」
「・・・えぇ、そうよ。」
アルはできるだけ平然とこたえる。
「・・・・・・」
リリスは急に黙りこんで、目に涙をうかべる。
「・・・もう・・・お兄ちゃんをいじめないで・・・」
リリスは涙目で、まっすぐにアルを見つめる。
・・・それは人と接するのが苦手なリリスにとって、もてる限りの勇気を振り絞ってでた言葉だった。
リリスは、アルがたまにみせる無感情な目をみて、幼いながらにアルの正体に感づいていた。
「・・・なんで・・・なんでお兄ちゃんをいじめるの・・・?・・・お兄ちゃんはなにも悪いことしてないのに・・・」
リリスの顔は涙でくしゃくしゃである。
「・・・ごめんね、リリスちゃん・・・」
そう言って、アルはリリスの体を抱きしめる。
「・・・確かに、私は今まで街の人達と一緒だった。昨日ゼロをこんなふうにしたのも私。だから、リリスちゃんには恨まれて当然だと思う。・・・でもね・・・私は昨日から変わるって決めたの。ゼロが何者でも関係ない。私は私に正直になるって決めた。・・・だから、許してとは言わないけど、それだけはわかって欲しい。」
そう言って、リリスの体をいっそう強く抱きしめる。
「・・・わかった・・・許す・・・」
「そう。ありがとう・・・」
アルはリリスから離れて、黙って様子を見ていたゼロに目をむける。
「ごめん!なんか暗いムードになっちゃったね。今朝ご飯作って来るからまってて・・・」
アルはパタパタと台所へとかけていった。
「・・・」
リリスは黙って涙を拭っている。
ゼロはリリスの頭の上に、ぽん・・・と手をおいた。
「・・・頑張ったな・・・あと俺からも言っとく。ありがとよ・・・」
そう言って、リリスの涙を指で拭ってやる。
「・・・ほら、いつまでも泣くな。元気だしていこーぜ?」
ゼロがそう言うと、コクンと黙って頷いた。
3人は朝食をすませ、街へと向かった。
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街の入り口に着くと、ジョンとミリアが待っていた。
「よぅ、遅いぜ」
「本当よ、全く・・・私を待たせるなんて百年はやいわ」
「っつーかお前らが早すぎるんだよ。」
「早くないわよ。あんたが時間にルーズすぎるだけ。」
「・・・まぁいいや。」
「どんな物が出来てるか楽しみだな。」
「あぁ。・・・んじゃ、さっさとおっちゃんのとこ行こうぜ。」
そう言って、ゼロ達は鍛冶屋に向かった。
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鍛冶屋に着くと、親方はにこにこして待っていた。
「がははは!遅かったなゼロ!」
「みんなして二言目にはそれかよ・・・で?そんなににこにこしてるってことはいい物ができたってことだよな?」
「ん〜?まぁ見て驚け・・・」
そう言って親方は奥から漆黒に輝く鎧を持ってきた。
「へぇ〜・・・これはまた・・・」
言ってゼロは、鎧を指で弾く。
キィン・・・と響く音で鎧の質の良さが分かる。
「なかなか・・・いや、かなりすげぇな。ちょっと着てみてもいい?」
「おぅ!サイズは間違いなくぴったりなはずだ。お前の防具はつくりなれてるからな!」
「さすがおっちゃん。」
言って、ゼロは体に鎧をつけていく。
やがて、すべてをつけおえた。
「ん、なかなかいい感じ。腕も足も動きやすいし、胴体もスマートな感じで動きやすい。・・・けど・・・」
言って、ゼロは兜を外す。
「これは邪魔だな。まわりがよく見えん。」
「そう言うと思ったぜ。兜かしてみな。」
親方はゼロの手から兜を取り上げる。
「ここをこうして・・・こうすれば・・・」
親方がカチャカチャいじると、兜がどんどんバラバラになる。
「ほら、こんなもんだろ。」
親方が差し出したのは、必要最低限の所だけカバーされたアクセサリーのような物だった。
「おぉ!これなら視界のじゃまにならないぜ!やるなぁ、おっちゃん!」
「おぅ!一生に一度の機会だからな!腕によりをかけてつくらせて貰ったぜ。この世に一つだけの鎧だから大事にしろよ。」
「分かってるよ。・・・で、金の方はいくら位だ?」
「金はいい!いい仕事させてもらった礼だ!」
「本当か!?いやぁ、おっちゃん太っ腹!」
「おぅ!また何かいい素材があったら持って来いよ!」
「了解。やっぱおっちゃんは頼りになるな」
「ま、実際頑張ってるのはお前らハンターだ。このぐらいはせにゃあバチがあたるってもんだ!」
「・・・ちょっといいっすか?」
後ろからジョンが顔をだす。
「この弓の張りを強くしてもらえないっすか?どこ行ってもこれ以上は無理だっていわれるんだけど・・・」
「かしてみな」
ジョンは背中にさげていた弓を手渡す。
「へぇ〜・・・お前さんこんな強弓を引いてたのかい。大したもんだ・・・。だが、この位だったらすぐに強くできるぞ。ちょっと待ってろ。」
親方はなれた手つきで弓をいじりだす。
「なぁ、ジョン」
親方が作業してる横でゼロが口を開く。
「なんだよ?」
「いや、今日は狩りにいく予定もねぇのに何で弓だけ装備してきたのかなって思ってよ」
「いや、お前が鎧をつくるんなら俺もついでに弓を強くしてもらおうと思ってよ。・・・どこ行ってもだめだったんだが、やっぱ親方は腕がいいな。」
「まぁ、ここら辺でおっちゃんにかなう鍛冶屋はいねぇだろ。」
「これでよし・・・と」
親方は、出来上がった弓をもって立ち上がる。
「ほら、出来上がりだ」
ジョンは弓を受け取る。
「引いてみな?」
ジョンはいわれた通りにする。
ギッ・・・と音をたてて弓を引いた。
「・・・いい感じだ・・・どうもありがとうございます。」
「おぅ!それもタダで構わねぇよ!大したことしてねぇしな!」
親方はがははと笑う。
「本当っすか?いやぁ、助かります。」
「よかったじゃねぇか。じゃあ飯食いに行こうぜ。腹へっちまった。」
「わかったよ。」
「んじゃ、また来るよ」
「おぅ!いつでも来い!」
ゼロ達は親方と別れて、昼食を食べに行った。
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適当に注文をとり、料理が来るのをまっている時にアルが思いだしたかのように口を開く。
「そういえば・・・ゼロとミリアさんってどういう関係なんですか?」
「・・・なんで私に聞くの?」
ミリアはぴくぴく眉をつりあげて聞く。
「えっ、いやっ、あの・・・ゼロが直接聞けって言うから。」
「ゼ〜ロ〜?」
ミリアがゆっくりゼロに視線を向けると、ゼロはニヤリと笑う。
「いいじゃねぇか。聞かせてやれ。お前の武勇伝をよ・・・」
それを聞いたジョンが隣でぷっ、とふきだす。
「ははっ・・・確かにあれは武勇伝だな。」
「ジョン!あんたまで何言ってんの!?」
「ほら、リリスも聞きたそうだぞ」
ジョンはリリスを指差す。
リリスは興味深くミリアを見つめる。
「はぁ・・・分かったわよ・・・あれは確か二年前の事ね・・・」
ミリアは、昔を思い出しながら話し始めた・・・
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