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第11話
ジョンは自宅の前にたどり着き、家の中に入っていった。
「親父!いま帰ったぞ!」
ジョンが声をあげると、奥からジョンの父、マルシアがでてきた。
「おぉ!帰ってきたか。今日は何をしてたんだ?」
「別に・・・街をぶらぶらしてただけだ。」
ジョンは面倒くさそうに答える。
「そうか。もうすぐ夕食が出来るから、それまで待っていなさい。」
「はいよ。」
ジョンは返事をして、自分の部屋にはいる。
ジョンは部屋に入ると、疲れきった様子でベッドに倒れ込む。
「はぁ・・・親父をどうやって説得しようか・・・」
ジョンはしばらく考えていたが、なかなか考えが浮かばなかった。ジョンは考え疲れて、うとうとし始めた。
コンコン。
ドアを誰かがノックする。
「誰だ?」
ジョンは目を覚まし、体を起こす。
「ジョン様、お食事の用意ができました。」
ドアをノックしたのは使用人だった。
「わかった。すぐいく。」
ジョンはそう言うと、ベッドから立ち上がり、部屋からでる。
部屋からでると、使用人が待っていた。
「ご主人様はすでに食事の席に着かれております。ジョン様も早く連れて来るようにと言われております。」
「わかったよ。全く、せっかちだな。」
ジョンは使用人に連れられて、食事へ向かった。部屋に入ると、長い机の先にマルシアが座っていた。
「おぉ、ジョン。やっと来たか。」
マルシアはジョンに早く座るよう促す。ジョンはそれに従って席につく。
食事の途中でマルシアが口を開く。
「ところでジョン。例の話だが・・・」
「何度も言ってるけど、俺は家を継ぐ気はないぞ。」
「なぜだ?暮らしもずっと豊かになるのだぞ?」
「俺は裕福になりたいなんて思ってねぇよ。」
「お前のためを思って言ってるんだぞ。」
「俺のためを思ってるんならほっといてくれ・・・」
お互い考えを変えようとせず、この話し合いがひとまずの終わりを迎えたのは夜中になってからだった。ジョンは食卓を後にし、自室へと入っていった。
「ふぅっ・・・」
どさっと、ジョンはベッドに倒れ込む。
「はぁ・・・この地獄はいつまで続くことやら・・・」
ジョンがため息をもらし、途方にくれていると、カツン・カツン、と窓に石が当たる音がする。
「だれだ?こんな時間に・・・?」
ジョンは面倒くさそうに窓を開け、下を見下ろす。ガツン!!
「ぶほっ!」
ジョンの顔面に飛んできた石が直撃する。
「・・・ってぇな!誰だ一体!?」
ジョンは再び下を見下ろす。そこには、ジョンの顔目掛けて石を投げようと構えているゼロがいた。
「待て待て!窓は開けたんだから石はもういらんだろ!そこにおきなさい!」
言われてゼロはしぶしぶ石をおく。
「何で悔しそうなんだよ・・・。っていうか何の用だ!?」
ゼロは何かを催促するような仕草をする。「あいつ何やって・・・」
言いかけてジョンは、はっとする。そして、自室にあるタンスの一番下を開けた。
そこには、古いロープが入っていて、ジョンはそれを手に取ると窓から投げた。ゼロはそれを確認すると、ロープをよじ登り、ジョンの部屋に侵入する。
「ふぅ・・・お前気付くのおせぇよ。」
ゼロが笑って言う。
「悪かったよ。で?何の用だ?」
ジョンがきく。
「別に・・・ただ何となくな・・・」
ゼロは座りこみ、ジョンの部屋を見渡す。
「懐かしいな・・・。何年ぶりだ?こうしてお前の部屋に侵入すんの。」
「大体7年くらいじゃねえか?それより、お前よく覚えてたな。」
ジョンは感心している。
「そりゃあ忘れねぇよ。ガキの頃、お前のガードマンに追っかけ回されたりしたんだからな。」
「ははっ・・・そんなこともあったな。」
ジョンは笑っている。
「笑いごとじゃねぇよ。結局あの後朝まで追っかけられたんだぜ。」
「あぁ・・・俺も親父にこってりしぼられたよ。あんなのとはつきあうなー!って大変だったんだぜ?」
ジョンは話ながら、腑に落ちない表情を見せる。
「ん?そういえば・・・ゼロがいきなり俺ん家に侵入した理由はなんだ?」
「別に・・・豪邸の窓から、金持ちのくせにしけた面してる奴が見えたから喝をいれたくなっただけだ」
「悪かったな。しけた面でよ。」」ジョンは少しムッとする。
「すねんなよ・・・ところで、親父さんとの話し合いはどんな調子だ?」
「相変わらずだ。どっちも考えを譲ろうとしねぇかららちがあかない・・・ゼロ、お前何かいい考えねぇか?」
ジョンがゼロにたずねる。
「さぁな・・・俺は親父なんかいねぇし、俺の考えなんか参考にならねぇぞ」
「いいからお前の考えを言ってみろよ」
「そうだなぁ・・・親父の考えなんか無視して家出する。」
「それだと絶対に使用人やらガードマンに連れ戻されちまうじゃねぇか。」
「じゃあおとなしく親父の後を継ぐ。金持ちになれるんならそれもわるくねぇしな。」
「お前に聞いた俺がバカだった・・・」
「その通りだ。だからいっただろ?参考にならないってよ。俺の考えはあくまで俺の考えだ。お前の考えじゃない。こういうことは他人に頼らずに、お前自身で考えて答えを見つけなきゃいけないんだよ。どれだけ俺に聞いたって答えなんかでてこねぇよ。」
「・・・すまない。」
「別に謝ることじゃねぇよ。俺は俺の考えを言っただけだ。」
「あぁ、ありがとよ。参考にはならなかったけど、道標にはなった。」
「そうか。ならよかった。・・・さて、俺はそろそろ帰るとすっかな。」
そう言ってゼロは立ち上がる。
「じゃ、またな。また暇になったら遊びにきてやるよ。」
ゼロは窓から飛び降り、やがて姿が見えなくなった。
「俺の考えか・・・」
ジョンはつぶやき、ベッドに横たわる。
ーーー朝ーーー
ジョンは、使用人がドアをノックする音で目を覚ました。昨夜、ベッドに横たわった後、ジョンはすぐに寝てしまったらしい。
ジョンはベッドから体を起こし、部屋の外に出る。
部屋の外では使用人が待っており、朝食ができたと伝えて、ジョンを食卓へと連れていった。
扉を開けると、やはりマルシアはすでに席についていた。
「遅かったではない料理が冷めてしまうぞ。」
「悪かったな。先に食っときゃよかったじゃねえか。」
言いながらジョンは席につく。
「まだお前との話も、ちゃんと終わってないからな。」
「もう何度も言ってるが、俺は家を継ぐきはない。もう決めたんだ。誰が何を言っても考えはかえないぜ。」
「・・・なら、親子の縁を切ると言っても変わらんのか?」
「あぁ、変わらない。」
「・・・」
しばし沈黙。
「・・・分かった。かった。お前がそこまでの覚悟ならもう何も言うまい。・・・ただ、お前の家はここだ。たまには顔を出しに来なさい。」
「あぁ、そうさせて貰うよ。」
「では、朝食にしようか。もうすっかり冷めてしまったがな。」
「あぁ。」
2人は朝食を終え、ジョンは自室に戻って家を出る準備をする。
「持ってきたのはこれだけか・・・」
ジョンは荷物を持ち、部屋をでた。ジョンはガードマンに門を開けるよう言い聞かせて、家を出る。そして、意外なものを目にする。
「ゼロ・・・」
そこにはゼロが立っていた。
「よぅ。遅かったじゃねぇか。」
「なっ・・・何でここに!?」
ジョンは動揺している。
「何でってそりゃあ・・・昨日あんだけ喝いれてやったのにけりつけて来なきゃ男じゃねぇだろ?」
「男じゃねぇってお前・・・こんな朝早くにご苦労なこった。っていうか家をでたの何時だよ?」「は?家?帰ってねぇよ。昨日はここに野宿した。」
「野宿ぅ!?馬鹿かお前は!?」
ジョンは驚きを隠せない。
「お前俺が出てこなかったらどうするつもりだったんだよ!?」
「出てこなかったらぁって・・・出てきたじゃねぇか。」
「まぁ、そうだけどよ・・・。」
「ならそれでいいじゃねぇか。」
「ってお前アルは?」
「あぁ、アルには家をあけるって言ってある。」
「そうか。ならよかった。」「何だよ、俺が黙って家をあけると思ってんのかよ?」
「まるっきりそうみえるな。」
「お前もう少し歯に絹をきせろよ・・・」
ゼロはあきれている。
「・・・まぁいいや。今から集会所に行くぞ。」
「は?何で?」
「アルとミリアが厨房を借りてご馳走作って待ってんだよ」
「アルとミリアが?」
「まだわかんねぇか?お前の出発式だよ!」
「まったくのお見通しかよ・・・分かった、行こうぜ」
ジョンはあきれた様子で、ゼロはルンルン気分で集会所に向かった。


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