ロボット大会(ショート・ショート風)
「第247回、ロボット開発大会の結果を発表します」
今年は増殖システムに画期的発明がありました。結果は…」
21世紀から始まり、年一回実施されているこの大会も200回を超え、
すでに23世紀となっている。優勝すると日本政府から研究費が提供され、
その研究費は1億円から今や1兆円を超えている。
これまでの開発経緯を説明しておこう。
第10回で自律思考プログラムが開発された。
人間が詳細なプログラミングをせず、大まかな指示をすれば、
ロボットが仕事を実行するようになった。
第15回では感情プログラムが開発された。
善悪の判断が可能となり、喜怒哀楽の感情が導入された。
第120回を超えると、ロボットのボディーの開発競争が始まった。
有機物質が取り入れられたのである。
第150回においては、有機物の割合が70%を超えた。
第200回の記念大会は、各機関や企業が力を入れたのだ。
光合成を利用することで、エネルギー補給が必要なくなった。
第220回では、小さい傷なら自然治癒できるようになった。
さて、今回の大会である。
成長システムが開発されたのである。
人間のように子供から大人に成長するようになった。
これは感情プログラムにより、ロボットに個性ができてしまった弊害への対策だった。
時代に対応するための個別プログラミングが困難になったため、
自動プログラミング期間(子供)を経て、完成形(大人)となるのである。
子供の時はプログラミングに専念しているため、有機ボディーは小さくていい。
プログラミングが終了するまでに、有機ボディを成長させるのである。
しかし、まだまだ課題がある。
だから、今後もこの大会は続くだろう。
課題一つは、増殖と死である。
新しいロボットを自動的に産み、死によって世代交代をさせるという構想だ。
人間のように二台のロボットに蓄積された頭脳を一台のロボットに継承させるというものだった。
だが、これに反対する団体があった。
宗教団体である。彼らは言った。
「これはロボットに似せた人間を作る行為だ。
そんなことを神様が許すはずがない」
神々はそれを見ていた。
「俺たちもやってたな~」
「人間を創る大会。だいぶ神に近づいたけど、失敗作だな~
仲間同士で戦争ばかりやってる」