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第十六話

 当初は俺とアリスの二人だけでローリンゲンに向かう予定が、クレア、ケイン、ミーシャが加わり、ウィンズベル騎士爵領軍は総勢五名となった。

 戦力二・五割り増しである。

 

「俺たち、ローリンゲンに行くの初めてなんだよね」

「クレアちゃんは行ったことあるのよね」

「前に領主様に連れて行ってもらいました」

「いいなあ……人がいっぱいいるんだろうねぇ」

「飯とか美味いものもあるんだろうな。楽しみだ」


 そうか。

 ケインとミーシャは町へ行くのは初めてなのか。

 村育ちだと、よっぽどの用事がなければ子どもが町に行くことは無いだろうからな。

 ただせっかく楽しみにしているところを悪いけど、ローリンゲンをのんきに観光している暇は無いだろう。


「お前ら道中暇だろ? ちょうどいい、自在光(トレイニー・ライト)の練習しとけ」

「「ええっ!?」」


 馬車の中から聞こえて来る不満の声。

 

「作り出した『自在光(トレイニー・ライト)』の形を次々に変えてみたり、思った通りに飛ばしてみたり、長時間維持してみたり。何をしても構わないけど『自在光(トレイニー・ライト)』で常々イメージの練習をしておけば、いざ実戦の際に得意な属性の魔法を使う時に自然とイメージしやすくなる。そうだな……例えばケインなら」

「え、俺?」

「火の属性の魔法なら、火球や火の矢といった炎を飛ばして攻撃する魔法以外にも、炎を剣状にすることだってできるぞ」

「炎を剣状に……」

「炎の剣とか、カッコイイと思わないか?」

「確かに!」

「しっかりとした剣をイメージするため、『自在光(トレイニー・ライト)』で剣の形を創る練習をするんだよ」

「おお、なるほど! やってみるよ!」


 単純な奴め。




 ローリンゲンへの街道を馬車で走っていると、時折旅の者たちとすれ違う。

 旅の行商人や馬車が列を為す商隊、巡礼の旅をしている者、そして戦乱に巻き込まれないよう避難する市民や農民たち。

 馬車を操りながら見ていれば彼らは、こちらとすれ違う度に大きく端っこの方へ避けて歩く。

 そして決してこちらに目を合わせようとしない。

 横道でもあれば、わざわざ急に折れ曲がって横に入り、こちらが通り過ぎた後で道に戻る人もいた。


 以前にアリスとクレアを伴ってローリンゲンへ来た時は、こんな感じではなかった。

 馬車や旅人とすれ違えば、片手を上げる程度の挨拶を交わすことはよくあった。

 ところが今回の道行きでは、そうした挨拶程度すらも交わされることがない。

 ローリンゲンに近づくにつれて、民衆のそうした態度はより顕著にわかるようになってきた。

 誰もが疑心暗鬼に満ちた目で、道行く他人を見ている様子だった。

 警戒心に満ちた人々は、すれ違う者たちと挨拶を交わすわけでもなく、他人と距離を取るようにして行動している。

 明らかに殺伐とした雰囲気が漂っていた。


 これは帝国の軍隊が近づいているから、ピリピリしているだけだと考えてもいいのかな?

 それとも元々この地方を支配していた帝国が戻ってきたせいで、表面的には抑えられていった元帝国臣民たちの不満が表に出始めてきたのか。


 心配なのは、グラナダ地方全体の治安が悪化しているのではないかということだった。

 ローリンゲン総督府は、グラナダ地方を平定するために、先住民である帝国の民たちの既得権益を出来る限り尊重した、結構な融和政策を行っている。

 そのため、リムディア王国支配後もグラナダ地方ではこれといって大きな蜂起は行われず、一見穏やかに統治されていた。

 この辺りの事に関しては、リッツハイム総督と総督府職員の手腕は賞賛に値すると思う。

 しかし、どれだけ融和政策を行おうとも、どうしたって一部の帝国の民たちが持っていた既得権益には、取り上げざるを得ないものだって出てくる。

 例えば、鉱山の採掘権などである。

 グラナダ地方の豊富な鉱物資源は、リムディアが喉から手が出るほどに欲しいものだった。

 それに商会や職人、労働者といった人、そしてリムディアから流れ込む物資といった、新しい物がリムディアから流入すればそれだけ元々住んでいた者たちの仕事は奪われ、既存の商会はそれまでと違った競争が強いられる。

 そういったものが積み重なって、民たちの間に少しづつ不満が燻り始めた時に、帝国の軍が戻ってきた事で、そうした不満が一気に表面化してきたのかもしれない。

 治安が悪化しているのであれば、この先総督府に到着するまで警戒しておく必要があるだろう。

 うちの一行は俺とケインを除き、女性が三人もいる。そのうえに物資を満載した馬車。

 うん、どうぞ狙ってくださいと言っているようなものだな。

天球圏(スフィア・サーチ)』での索敵はこまめに行うとしよう。

 すると、そう考えてからそう時が経たないうちに、『天球圏(スフィア・サーチ)』に怪しい気配が引っ掛かった。


「アリス、小銃を持ってちょっと前に来てくれないか」

「なあに? 隊長ぉ」

「この先におそらくは大きな馬車とその馬車の側に人が一人。それから馬車の中に複数の人の気配」

「ふーん」


 それだけでアリスには俺の意図が伝わったようだ。

 頷いて小銃を担ぎ直すと、速度を緩めた馬車からヒョイッと飛び降りた。


「あれ? アリスさんどうしたんすか?」


 街道横の茂みに入って行くアリスを見たケインが、荷台から顔を出して尋ねてくる。


「ちょっと用事があるから先に行ってくれだとさ」

「あんな所で用事ってなんだろう?」

「もう! ケイン兄ってば、本当にデリカシーが無いわね!」

「デリカシーが無いって、何でだよ!?」


 ミーシャはアリスが用足しに馬車を降りたとでも思ったようだ。


「領主様。どうして馬車を停めないんですか?」

「一応急ぎの旅だからね。それにこの速度なら、アリスならすぐに追いついてこれる」


 アリスが馬車を降りたのに馬車を止めず、ゆっくりとした速度で馬を進めているのが不思議だったのだろう。クレアが不思議そうに尋ねてきたのでそう答えた。

 本当の事はあえて教えず俺はそう答えた。

 

「クレア、御者台に来るか?」

「はい」


 ついでにクレアを俺の隣に座らせる。

 若い男が一人に子どもが三人程度の荷馬車。

 待ち構えている者たちが考えている通りの連中であれば、さぞや美味しい獲物に見える事だろう。

 この先に待ち伏せしている連中が考えているとおりの者たちであれば、きっとこの美味しい獲物に飛びついてくるに違いない。

 馬車を進めることしばし。


「領主様。向こうで誰か手を振っていますよ」

「本当だ。どうしたんだろうね?」


 もちろん俺は『天球圏(スフィア・サーチ)』で知っていたのだけど、何食わぬ顔でクレアへ返事をする。

 そのままゆっくりと馬車を進めていくと、口ひげを生やした四十手前くらいの良い男が困った顔をして俺の方へ小走りに駆け寄ってきた。


「ああ、良かった。旅の方でしょうか? 少しお力をお貸し願えないでしょうか?」

「どうされました?」

「わたしはロカよりこのあたりの村や町を巡って商いをしております旅の商人。今もローリンゲンで商品を購入し、この先にある村を目指して旅をしていたのですが、風光明媚なこの森へ目を取られているうちに、脱輪をしてしまいまして」

「風光明媚……? どこにでもあるような森に見えるけどなぁ」

「ちょっとケイン兄!」

「ハハハ、まあ確かにこの辺りに住む方々にはそうかもしれませんな。ですがわたしのような海沿いの町出身の者には、季節によって違う姿を見せる山の風景は、なかなか趣き深いものなのですよ」

「へえ、そういうもんか」


 ロカといえば、以前総督府で紹介されたロンドベル伯爵の治める港町だったか。

 商人風の男は、馬車から顔を出したケインとミーシャへ、人の良さそうな笑顔を見せる。


「ま、その結果がコレなんですけどね……」


 少し薄くなった頭髪をボリボリと掻く男の目を追ってみれば、確かに荷馬車の車輪が道側にある(くぼ)みに嵌まり込んでいる。


「なるほど。話はわかりました。この窪みから脱出するのをお手伝いすればよろしいのですね?」

「ええ、少々欲張りすぎて買い込んでしまったせいか、荷が重すぎてうちの歳を食った馬ではとても引っ張り出せないのです」

「任せてくれ! 力仕事は得意だぜ?」


 ケインが張り切って馬車から飛び降りる。


「荷台を持ち上げればいいのか?」

 

 そう言って早速荷台の下に手を入れるケインに、続いて降りてきたミーシャが小首を傾げた。


「それよりも先に荷台の荷物を降ろして、馬で引っ張ればいいんじゃない?」

「そちらのお嬢さんの言うとおりですね。先に荷物を降ろしましょう。手伝って貰えますか?」


 ケインとミーシャに続いて、クレアも馬車の荷台に向かおうとする。

 そこで俺はクレアの手を握って彼女を引き寄せた。


「領主様?」

「その前にちょっといいですか?」

「はい? ええっと何でしょう?」

「荷物を降ろして荷台を軽くすることには賛成なのですが、できれば荷物にはご自分の足で降りてもらいたい」

「はあ? 何言ってんだ、領主様?」


 怪訝そうに言って荷台の幌へ手を掛けるケイン。

 そのケインに向かって俺は駆け出す。


「え? え?」


 突然、兄に向かって走り出した俺を見て戸惑うミーシャの前を掛け抜けて、俺はケインの襟首を掴むと後ろに引きずり倒した。


「わっ、ちょっ…………えっ?」


 勢い良く後ろに引き倒されて抗議の声を上げようとしたケイン。

 しかしその鼻先に突き出された鈍色(にびいろ)の輝きに目を見開いた。

 

「白昼堂々と街道に野盗が出るなんて、やっぱり治安が悪化してきているのかな?」

「ちっ……勘が鋭いやつだな」


 人の良さそうだった笑顔が剥がれて、唇を歪めて笑う商人風の男。

 その男を俺はせせら笑う。


「勘が鋭い? 窪みに車輪が嵌って、載せた荷物が多すぎて抜け出せない。その割には荷台の車輪に歪みは無く、馬も汗をかいていない。これだけ人通りのある街道で、馬の汗が乾いてしまう程の時間、誰一人通り掛からなかったとは考えづらい。あなたのことを怪しむには十分な理由ですよ」

「あ、ありがとう領主様」

「手荒な助け方で悪かったな、ケイン」


 ミーシャが尻もちを着いたケインを助け起こす。


「ケイン兄、大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。領主様のおかげで助かった」

「でも、領主様。よく荷車の車輪の事だとか、馬の汗なんかに気づいたねぇ。あたし、全然わかんなかったよ」

「ちっ……馬の汗には気づかなかったぜ」


 感心したように言うミーシャ。そして悔しげに吐き捨てる商人風の男。

 本当は天球圏(スフィア・サーチ)で荷台に隠れている人の気配を感知していただけで、荷車の車輪や馬の汗なんかは当てずっぽう。

 カッコつけて、それっぽく聞こえるように言ってみただけのでっち上げだ。

 でも何だが感心してくれてるようなので、わざわざ訂正する事もないだろう。


「まあ、どっちにしても同じだがな。おい!」

 

 商人風の男が呼び掛けると、荷台に隠れていた男たちが総勢五名。

ゾロゾロと外へと出てきた。

 五人とも荒事慣れしていそうな凶相の持ち主で、ここらの農民が食うに困って仕方なく野盗稼業に手を出したというようには見えない。

 日頃からこうした事に手慣れている感じだ。

 ただ武器は貧相だな。

 せいぜいが大振りのナイフ程度。

 こちらによく見えるようにニタニタ笑いながらナイフを翳している。

 当然、魔法士の俺にしてみれば、ナイフ程度の凶器など何の脅しにもならない。

 それでもクレア、ケイン、ミーシャの三人には効果的だったようで、三人とも表情にさっと緊張の色が差した。


「命が惜しけりゃ全ての荷物を差し出しな」

「そっちの姉ちゃんも置いてけや。ガキは……よく見りゃ、上玉になりそうだぜ? どうしやす、お頭?」

「適当に売り飛ばしゃ金になるだろ。こういうのが好きっていう変態もいるからな」


頭と呼ばれた商人風の男の答えに、ゲラゲラと野卑な笑い声が上がる。

 

「さて、抵抗するなら殺す。おとなしくしていれば男は見逃してやる。どうする?」

「はいはい、月並みなセリフをありがとう。どちらも却下で」

「まあ、そう言うだろうとは思ったぜ。身のこなしを見りゃ、あんたは腕に覚えがありそうだしな」


 そう言って頭が懐から取り出したのは拳銃。


「あ、銃……」


 それを見て、ケインがうちの馬車の荷台へちらりと目を向けた。


 そうだね。

 あそこに君たちの小銃が置きっぱなし。

 これから戦場へ向かおうというのに、この辺りは戦場じゃないからと油断したかな?

 でも、帝国がこの周囲に斥候を放っていないとも限らない。

 自分の武器を手放してしまったのは減点だね。


 初めて悪意を持った相手に銃口を突きつけられた時の恐怖で、ミーシャが顔を引きつらせている。

 彼女にはその時間が永劫のようにも感じられていたに違いない。

 実際にはほんの僅かな時間だったのだけども。


 クレアは――。

 クレアもまた表情が強張っている。

 ただ、何やら小さく呟いていて――。 

 何を呟いていたのか、俺はそれを聞き取ることはできなかった。

 クレアを視た次の瞬間。


 ターンッ!


 森の中に響き渡る銃声。


「っつお!?」


 頭の手から弾き飛ばされた拳銃。


「何だ!?」

「頭っ!」


 突然の銃声に慌てる男たち。


「動くなっ!」


 クレアからすぐに意識を男たちへと向けると、何が起きたのかわからず狼狽えている所へ大声で一喝。

 この場の主導権を握る。


「動くなよ? 動けばうちの優秀な狙撃手が、いつでもお前たちの頭を撃ち抜くぞ?」

「狙撃手だとっ!?」


 その単語に怯えの色を見せて、周囲の森を見回す男たち。

 もちろん、その程度の索敵でうちの狙撃手(アリス)が見つかるはずもない。

 

「クソ、狙撃手と言っても一人だけだろ! こうなったらてめえら――」

「おっと、バラけて逃げようなんて思うなよ? 『風よ 我が行く手を阻むものを 切り裂け――風裂斬!(エア・スラッシャー)』」


 野盗たちの背後、十メートルくらい離れた所に生えていた木を、見えざる風の刃が斬り裂いた。


「ま、魔法……」

「さて、自分はウィンズベル騎士爵だ。抵抗すればこの場で殺す。お前たちを拘束し、ローリンゲンへと連行する。ケイン、ミーシャ。荷台からロープを持ってきて全員縛れ」

「畜生……貴族だったのか」


 俺が魔法士だと知って大人しくなった男たちを全員縛り上げていく。


「や、お疲れ。相変わらず大したもんだな、狙撃の腕だけは」

「だけはってぇ……ひどいなぁ、隊長ぉ」


 森の奥から姿を表したアリスに俺は手を上げて労ってやる。

 男たちを縛り上げているケインの横で、ケインの小銃を預かっていたクレアが何やら納得したように頷いていた。




 さて、要らぬ時間を取られてしまった。

 野盗を縛り上げた俺たちは再びローリンゲンに向けて馬車を進めた。

 ちなみに野盗どもは、荷台とロープを結んで強制的に歩かせている。

 途中で倒れようが、引きずってでもローリンゲンに連行するつもりだ。

 こいつらの余罪を追求すれば、この待遇ですら生ぬるい程の非道な行いがいくらでも出てきそうだからな。

 

「領主様はこの人たちの事に気づいていたから、アリスさんが前もって馬車から降りていたんですね」


 隣に座るクレアがそう言って、俺に感心したような顔を向ける。


「そのとおり」

「あれ? でも……さっき領主様は荷車の歪みと馬の汗がって……」

「彼らがいる事には気づいていた。そこで用心のためにアリスを伏せた。荷車の歪み、馬の汗で確信を持った。わかるか?」


 カッコつけて、でっち上げただけだとはさすがに言えない。


「あ、なるほど」


 素直に頷いてくれるクレア。

 それより俺には、クレアに確認しておかねばならない事があった。


「ところでクレア。さっき魔法を使おうとした?」

「え?」


 野盗の頭に銃を向けられていた時、クレアは小さな声で呪文を呟いていた。


「使おうとしたのは風――風の刃を作り出して飛ばそうとしていた?」

「あ……えっと……はい」


 クレアが使おうとしていたのは、俺が野盗どもを脅すために使ってみせた、見えざる風の刃を飛ばす『風裂斬(エア・スラッシャー)』とほぼ同じような効果となりそうな魔法。

風裂斬(エア・スラッシャー)』は殺傷能力の高い風の攻撃魔法。

 唱えていた呪文の内容までは聞こえなかったけど、俺の目はクレアのマナと大気に漂うマナが彼女の右手に収束していくのを捉えていた。


「その……拳銃を向けられて、わたし、えっと、何とかしなくちゃって……」


 もちろん、俺はクレアに『風裂斬(エア・スラッシャー)』を教えた覚えはない。

 一度だけ『風裂斬(エア・スラッシャー)』を模した『自在光(トレイニー・ライト)』の魔法を見せたことがあるだけだ。

 あの『自在光(トレイニー・ライト)』から、独自に『風裂斬(エア・スラッシャー)』に近い魔法を生み出そうとしたのか。

 

「クレアは今視ている風景の中で、もしかして風というか、大気がより光って視えたりする?」


 俺の質問にクレアは目を凝らし、周囲のマナを視る。

 しばらくして、しょんぼりと肩を落として力なく首を振る。


「………………いえ、全部同じくらいに光っているように視えます」

「風も森も地面も?」

「はい……ごめんなさい」

「いや、あやまる必要は無いよ」


自在光(トレイニー・ライト)』を弄って独自に風の魔法を使おうとしたのなら、風か大気のマナに親和性が高いのかと考えたけど、森や地面と同じ程度の輝き具合なら違う。

 いや、違う。

 大気だけじゃない、森や地面とも親和性が高くて、どれも同じくらいに光って視えている?

 もしもそうなら、クレアはとんでもない魔法士としての才能を持っていることになる。

 万物の宿すマナと親和性を持つ魔法士。

 そんな存在など、聞いたことが無いが。


「あの……領主様?」


 難しい表情で考え込んでしまった俺に、何か悪い事でもしたのだろうかと心配そうな顔をクレアが見せていた。

 

「あ、いや、何でもないよ」


 俺は取り繕って笑顔を浮かべてクレアを安心させてやる。

 その一方で俺は、クレアの持つ魔法の才能と可能性について考えを巡らせていた。

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