挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
魔法少女になってしまった僕の受難 作者:yukke

激突の先の決着

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

26/27

第4話 対立

 目の前に立ち塞がる2人は、余裕で僕に勝てると思っている。そうじゃないと、こんな表情は取らないよね。周りが見えていない、勝ち誇った表情をね。

「……もう1人の私、アンナお姉ちゃん……会った事はないのに記憶が」

 そして僕の後ろでは、エデン・ワールドにいたリリンが頭を抱えていました。だいぶキツそうですね。でもその前に……。

「そう言えば、こっちでの名前は?」

 僕はエデン・ワールドにいたリリンに向かってそう言います。

堀里香ほりりかよ」

「そう、里香。君はこの世界に親がいるよね? それを探しに行っても良いけれど……」

「……あなたと3ヶ月過ごして、情が湧かないわけないでしょ? 戦うわよ、私も」

 そう言いながら里香は立ち上がり、その手を光らせてくる。良かった、こっちに戻っても魔法は使えるみたいだ。つまり、体内に魔法を使う物質が残っているんだね。

「ふ~ん、ずいぶんと自信のついた顔付きになったね」

 すると、リリンがそれを見て不敵な笑みを浮かべながらそう言ってくる。でも、それを見て恐いとは思わない。全然平気だ。

「そう言えば土屋さんは?」

「逃げたわ」

 早い……なんか後ろにいる人が1人足りないな~と思ったら、もう逃げたの?! 何体かドールを抱えていたのに、良く逃げられたね。

「ちょっと、私達を前に少し余裕過ぎない?」

「おっと……グラビティ・フォース」

「ぐっ……!!」

「ほいっ……と」

「あぐっ!」

 僕がちょっと周りの確認をしていたら、アンナが僕の直ぐ近くまで迫っていて、重力物質で作った剣で突き刺そうとしてきた。
 それを見た僕は、重力の波動でアンナを突き放し、ある程度の距離まで後退ったのを確認したところで、彼女の首元に回し蹴りを放ちました。

「油断しているのはどっちだろうね」

 僕の攻撃に完全に対処出来てない所を見ると、重力で離されるのは予測出来ていても、まさか蹴られるとは思っていなかったんでしょう。

 僕を強者と見ていればこんな事にはならないよね。完全に舐めてる。

「グラビティ・マター≪ミトゥム≫!!」

「なっ?!」

「嘘っ?!」

 だから僕は、重力物質で装飾の施された大きなハンマーを作り出すと、それで2人を叩き潰します。

 2人とも凄く驚いた顔をしていたけれど、手応え的には防がれてるね。

「全く……なんでこんなに戦えるようになってるのよ!」

「そりゃぁ、向こうでそれなりに特訓していましたよ。ほら、次行くよ! ≪ゲイアッサル≫!」

 僕のハンマーを、リリンがぬいぐるみ達に指示して支えさせ、その間にブツブツ言ってるアンナが攻撃ですか。連携悪くないけれど、その攻撃ごと吹き飛ばすのが、僕の強くなった重力魔法なんだよね。

「えっ? ちょっ! 私の重力物質が! キャァァア!!」

 アンナの武器は全く意味をなさず、僕の重力物質で作った槍で壊れて、彼女ごと吹き飛ばしました。障壁張ってたから、貫くことは出来ない。それは分かってやったけどね。

「くっ……想像以上に強い……あぁ、もう!」

 すると、リリンが天使の白い翼を背中に出現させて広げると、そのまま空に舞い上がる。

 逃げる気? 逃がさないよ、リリン。君もアンナも危険だ。

「歩美! 私が浮かせるから、あなたは飛ぶイメージをして!」

「分かった」

 そして里香がそう言った後、僕に向かって手をかざし、僕を浮かせてきました。だから僕は、彼女の言うとおりにして飛ぶイメージを頭に浮かべます。すると、体が前方に進んでいきます。

「このまま追いかけよう。こっちの世界がどうなってるのか……」

「……あまり変わってない。でも……」

「……えっ、なんで分かるの?」

 分かる……全部分かる。リリンとアンナが何をしたのか、大輔、花音、心忍がどう動いたか、Dr.Jの居場所……政府の魔法少女機関。仁志官房長官の企み……全部、全部分かる! 僕の頭に映像として流れ込んでくる!

「仁志……あいつ。あいつか……!」

「えっ……ちょっ?!」

 僕の言葉に慌てたリリンは、突然向きを変えて僕の方に向かってくる。でもごめん……全部分かっちゃった。高い所に上がったからか、この世界の出来事が手に取るように分かるんだ。

 これが、創造主の力……。
 なんで僕がそれを受け取れたかは分からない。分からないよ……。

 でも、今は関係ない。僕の大切なものを奪った奴等は、絶対に許さない。

 例え、この国を敵に回してもね!!

「待ちなさい! 歩美!!」

「ごめん、リリン……君がやろうとした事も分かったよ……殺気向けてごめん」

「分かってるなら行かないで! 政府の、仁志の目的はあなたなのよ!!」

「うん……Dr.Jも、僕を逃がすために苦肉の策に出たって感じだね。仁志はどういう訳か、僕と会った時には既に、僕が創造主の力を受け取れると分かったみたいだね」

 リリンを通り過ぎ、そのまま魔法少女機関に行こうとした僕の前に、彼女が慌てて飛んで来た。

「はぁ、はぁ……お姉ちゃんと協力して、なんとかあなたをあの世界に留めさせようと思ったけれど、まさかあんな大きな歪みが来るとは思わなかったわ」

「……本当にそうなのかな? アンナは、僕の力を欲しがって――」

「政府に取られるくらいなら、私が使ってやろうと思ったのよ。私の世界を復活させるために。でも、今回の歪みで修正がなされて……もうあの世界は……」

 あぁ、そっか。なんとか僕は戻れたけれど、今回は修正をされた。平行世界に飛ばされた人達の修正を。つまり、もう向こうの世界は崩壊を待つだけになっている。その崩壊を止めるのは、この力を使っても、もう無理みたいだね。

「だから僕を助けるの? アンナ」

「癪だけどね。だから、そのまま魔法少女機関に行って貰ったら困……」

 だけど、僕はその場から瞬時に移動して、2人からはかなり離れた所まで行きました。ここなら追いかけられないね。

「ちょっと……!」

「歩美!」

「2人の気持ちはありがたいよ。でもね……僕は行かなくちゃいけない」

 すると、その僕の言葉を聞いた後にリリンとアンナが同時に叫びます。

『幼なじみ3人と戦う事になっても?!』

「望むところだよ。僕達の絆は、敵対するくらいじゃ壊れない」

 でも、僕は直ぐにそう返す。

 3人を取り返すためなら、僕は悪にでも何にでもなってやる。この世界に戻るまでは、リリンをアンナから守ろうとか、3人を色んなものから守らないとと思っていたけれど、その全てを台無しにされて、奪われたのなら……もう後は戦って奪い取るしかないんだよね。

 そして……。

「僕は革命を起こす。先ずは食い尽くされた政府を壊してやる」

 そう言うと、僕はそのまま魔法少女機関に向かって飛んでいく。1度きっかけがあれば、もう後は里香の力を使わなくても、僕の重力魔法で簡単に空を飛べる。

 飛ぶ感覚が掴めなかったから飛べなかったけれど、これなら次は飛べる。

 そのまま、僕はスピードを上げる。ここはちょっと離れている。僕の住む街の県境の山だったよ。

 でも、今の僕なら……ほんの数分だ。

 そして、目の前に見えた魔法少女機関の2階の窓、その先に佇む人物に向かって、僕は突撃する。ついでにもう1人、そして良く知った人物もいるね。だから、僕は思い切り窓ガラスを蹴り割って、近くに立っていた人物を蹴り飛ばします。

「――――っ!!」

「なっ!!」

「おや……君は」

 そして僕が飛び込んだ直後、それに驚く声と、ただ静かに僕の登場に対応する声が聞こえます。ただ残念ながら、静かに声を出した方が、仁志官房長官ですね。

 驚いたのは……。

「Dr.J……何捕まってるんですか? それとも、元仲間同士だから腹を割って話そうって事ですか?」

 Dr.Jの方なんだよね。しかも、僕の言葉を聞いて更に目を見開いています。あなたがそんな驚いた顔をするなんてね。

「ほぉ、これはこれは……君の方からご足労頂けるとは。しかも、この感覚。そうですか、やっぱり……」

 突然現れた僕を見た後、仁志官房長官は何とも言えない表情を取ります。嬉しいのか感動しているのか、興奮を押さえているような感じですね。

 だけど、僕はただお仕置きするだけです。

「さ~て、悪の魔法少女ミュアーが来たからには、そう簡単にハッピーエンドにはならないよ! 正義のヒーローさん!」

「そうですか……では正義のヒーローらしく、正義の魔法少女達と共に、ハッピーエンドとさせて頂きますね」

 正義とか悪とかもう関係ないけどね。Dr.Jの様子を見て、Dr.Jを殴りまくっていたのが分かる。
 僕の居場所を突き止めるために、Dr.Jを拷問していたんだ。だから、もうどっちが悪でどっちが正義とか関係ない。

 自分の信念を貫き通した方の勝ちなんです!

 そう決意した僕は、重力魔法の物質で、白い翼と黒い翼の生えた大きな杖を作り、それを握り締めて仁志官房長官を睨みつけました。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ