挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
魔法少女になってしまった僕の受難 作者:yukke

激突の先の決着

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

24/27

第2話 100年に1度の――

 翌日、僕はリリンの父親のオルガさんに呼ばれ、あの歪な形をした家にやって来ました。
 リリンはここに住みたくないからって、別の家を持ってる。僕はそこにやっかいになってるから、こうやってオルガさんに呼ばれたらそこから来るんだけど……その間ひたすら僕に対して、街の人達が「あの人達からは離れろ」とか、「君はアンナと違って良い子なんだから、あんな奴等と絡むな」とか言ってきます。

 いったい誰の言ってる事が本当なんだろうか……過去に起きた事だから、僕に判断が付かない。でも、もしオルガさんが魔力の徴収を止めて、崩壊が起きたのを見てしまったら、僕はオルガさんの味方をすると思う。死にたくはないからね。

「さて、どうだ? 元の世界に戻れる手がかりはあったか?」

 そして、僕が2階のオルガさんの部屋に入ると、直ぐにそう言われました。本当に僕の事を心配して気にかけてくれている。それが言葉から伝わってくる。

 だけど、そんな情には流されない方が良いかも知れない。ここは平行世界。僕の居た世界とは、価値観とか道徳とかも違うかも知れない。だから油断はしません。

「あの、まだこれといっては……」

「そうか。まぁ、その事でなんだが――」

「あの! 反社会勢力の人達が昨日……」

「ん? あぁ、あいつらか……何かされたか? 君は気にする事はないんだがな」

 いけないとは思っていても、やっぱり何とか出来ないものかって思っちゃう。情に流されちゃダメなんだ。僕は僕の目的を達成しないと、元の世界に戻れるタイミングを逃しちゃうかも知れない。

 でも、この人は何故か僕に良くしてくれる。だからつい、僕にも何か出来ないかって考えちゃう。

「あの……それでも」

「あいつらは誰がトップになっても、あのような行動をするさ。反社会勢力なんて聞こえは良くても、ただ自分達のうっぷんを無差別にぶつけたいだけなんだ」

「えっ……」

「まぁ、だから気にするな」

 あぁ、何というか……僕の居た世界にもそういう人達いたね。そんな人達でしたか。それなら、なにかしようとしても無駄かも……放っておくしか……。

「とにかく、君が元に戻れるかどうかは分からんが。あの魔法少女機関の建物の中からな、こんな物が見つかったと、先程土屋が持ってきた」

 そう言うと、椅子に座っていたオルガさんが立ち上がり、その机の上に置いてあったあるものを取ると、僕の方にやって来てそれを手渡してきた。
 土屋さん……あれからちゃんと僕の言うとおりにして、魔法少女機関の中を探ってくれているんだ。

「これが……?」

 それは、綺麗なイヤリングでした。菱形で、真ん中にダイヤのような緑色の宝石がはまっていました。エメラルドかな? こっちの世界にもあるんだ。

「何か分かるかと思ったが、流石に分からんか。あわよくばなにか起こらないかとも思ったのだが……」

 何も起こらないですね。当然です。でも、今気付いたらこの世界には、宝石があまり見当たりません。存在してないわけじゃないけれど、絶対的に少ないです。

 だから、これが魔法少女機関の建物の中にあったという事は、重要なアイテムなのかもしれないということ……とは言っても、なんの変哲もないペンダントなんだよね。

「まぁ、持ち帰って調べるが良い」

「はい、ありがとうございます」

「おっとその前に、私発案のビルド体操を……」

「それじゃ失礼します~」

「おっ、ちょっと、体操を……」

 だけど、オルガさんが言い切る前に僕はその部屋から出て、扉を閉めて退散です。筋肉ムキムキにはなりたくないんで。

「ん~本当に普通のペンダントなんだけどなぁ。なにかあるのかなぁ」

 そして帰り道、僕はそのペンダントを手でぶら下げながら、それを観察します。でも、これといってなにも変わったところはないね。僕のいた世界にもある、ありふれたエメラルドのペンダントみたいだよ。

「んっ?」

 ただその時、その中央になにか黒いものが埋まっているのが見えました。なにかを埋め込んだ? なんなんだろう……。

「あっ、歩美~今帰り? パパはなんて言ってた?」

 すると、僕の前からリリンが現れて、こっちにやって来た。だけど、喋り終えた瞬間何かにけつまずいて、僕の方にタックルしてきました。

「きゃぁっ!! あっ……わぁ?!」

 本当にこの人50歳過ぎてる? とてもそうは見えないな~

 この世界で生活してみて分かったけれど、リリンみたいに精神が子供っぽくなってる人って、あんまりいなかったです。皆子供の姿なのに、ちゃんと心は大人でしたよ。行動もそれに伴ってだね。

 ただ、リリンはなんだか違う。違和感がある。

 タックルしてきたリリンを重力魔法で浮かせ、その後僕はリリンを観察します。

「ちょ、ちょっと歩美? 助かったよありがとう。でも、なんでそんなに見てるのかな?」

「ん~」

 ただ、今の状態でその違和感を伝えたところで、当然誤魔化すよね。だから、何も言えないままリリンを降ろすしかなかったです。

「もう……たとえ人だけとは言え、ちゃんと道路を整備してくれないと……」

 あれ? 今のもなにか違和感が……う~ん、気になったらキリがないので、この辺にしておかないと。

「リリン、どうしたの? 迎えに来てくれたの?」

「そっ。あなたはまだこの世界に慣れてないし、襲われでもしたら大変だからね~」

 そりゃ大変だけど、今のところ簡単に追い払えているから、別に1人でも帰れますよ。
 何だろう、僕の方がお姉ちゃんって気分になっちゃってるよ。なんでかなぁ……。

「ん? それは?」

「あっ、オルガさんに呼ばれたのはこれ。土屋さんが機関の建物からこれを見つけたんだって」

「なにかあるの?」

「今のところない」

 リリンが結構真剣な顔付きでそう言ってきたけれど、それだけ僕の事を真剣に考えてくれてるんだな~というのともう一つ、リリンの目も真剣でした。

 う~ん、数ヶ月一緒に過ごしてみて、リリンが1番話しやすくなったけどさ……。
 徐々にリリンも素を見せてくるようになってきて……尚更実年齢と精神年齢が一緒だと思ってしまう。

 そして、僕の頭の片隅にある事。思い出せずに凄いモヤモヤする……なんだろう。なにか引っかかる。リリンと過ごしていた時よりも前、出会った直後……そのくらいの時でなにか違和感があるんだよ。

「歩美! ぼうっとしない! パパを呼んできて!」

「へっ? えっ? ちょっ! 何これ!!」

 すると、ずっと考え事をしていた僕の耳に、リリンの叫び声が聞こえてきます。
 それに驚いた僕が前を見ると、更に凄い光景が目に飛び込んできました。

 目の前の街並みが歪んでいる! これ、歪みか何かですか?!

「なに! なんですかこれは! 崩壊とかいうやつ?!」

「違うわよ! 私も知らないわ、こんなの! だから早くパパを呼んで!」

「そ、そう言われても……」

 既に地面まで歪んでいるから歩きにくいというか、歩くと危ないですよ!

「うわわわ!! こんな事が……100年に1度の大歪み(おおひずみ)じゃ!」

 すると、近くにいた乳幼児がそんな事を言ってくる。ほとんど赤ちゃんに近い人が……って、これご老人だ! 多分7~80歳いってる!

 これだけは未だに慣れないや。

「ちょっと、100年に1度のってどういう……」

「そのまんまじゃ! 歪みは普通一部の空間なんじゃが、こいつは街1つ覆うほどの広範囲と、歪み自体もかなり大きなものとなり、何が起きるか分からない状態なんじゃ!」

「ちょっと、それって……その前は何が……!」

「おぉ、お主等は知らんかったな。なるべく話さないようにして、若者に未来をと思ったのじゃが、こんな事になるとはのぉ」

「だから何が……!」

 ご老人ってもったぶるんですよね~しかも、リリンがその人に話しかけている間に、歪みが更に酷くなっていって、空には信じられない光景が広がっていました。

 それは、僕の居た世界の街並みです。航空写真のようにして、上空からその街を見ているような感じですね。

 もしかして……向こうと繋がったんじゃ!

「えっ……ペンダントが光って」

 しかも、土屋さんが見つけたペンダントが光ってます。

「おやおや、そのペンダント……なるほど、やはり運命は決まっておったか」

「ちょっと、良いから前に起きたことを――」

「終焉じゃよ」

『えっ?』

「この世界はとっくに、終わっておったのじゃよ」

 終わってって、えっ……? いったいどういう事?

「上書きさ……この平行世界は既に、ある世界に上書きされていたのさ」

 すると慌てる僕達の前に、オルガさんが現れました。急いで来てくれた見たいです。ダンベル持ったまま……こんな時にもう……。

「さて、今回はいったいどうなるか。前回は終焉を与えられ、人の年齢が狂った。なんとか今もってるが、トドメを刺しに来たのか? 創造主よ」

 そして、そう言ったオルガさんの視線の先には、巨大な手が迫っていました。
 当然僕は腰が抜けて動けません。これは、本当にどうにもならないやつです!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ