第2章 一人の夜
優太に半ば襲われた夜から一週間がたとうとしていた。
互いの想いを確かめ合い秘密の仲になれたのはいいけど、会社ではイチャイチャできるわけがない。
そう思い、
━会社ではアヤシイ行動は慎み、ただの同僚として接する事━
と約束した。
約束したはずだった…のに…
『ん…優太…だ…だめ…人来ちゃう…』
『大丈夫…ここには誰も来ないよ』
早速約束が破られていた↓
何故こうなったかと言うと…
優太は俺と年はそう変わらないが一応上司である。
その上司から
『君…ちょっと俺の手伝いをしてくれないか?探し物をしてて、資料室まで一緒にきてくれ』
とマジな顔して言うもんだからノコノコ資料室までついて行ったが…
カチャッ…
と何故か鍵の閉まる音がした。
振り返り優太を見るとキリっとした顔が、ニヤっと笑い、
『やっと二人っきりになれた…☆』
と言葉使いも二人でいる時のモードに入ってしまっていた。
『もう…優太!会社にいる時は駄目だって言ったじゃん!』
約束を破られた事にふくれて説教をしようとしたが、優太は何も言わずだんだんと俺に近付いてきた。
圧倒されて後ろに下がったがいつの間にか壁まで追い詰められていた。
『…優太?』
何も言わない事に不安がつのり彼の名前を呼んだ。
すると優太は顔を俺の耳元まで近付け囁いた。
『…俺は十分我慢したぞ…キスだけでもいいだろ?…』
と言うと俺の答も聞かずに口は塞がれていた…『んっ……』
手で押し退けようと抵抗したが、ガッシリと抱かれて何もできなくただ優太が満足するまでヤられるだけだった…
随分と長く、濃厚なキスを終えるとその頃には俺も心が折れていた。
優太は満足そうな顔をしている。これで仕事に戻れる。
と思ったのに…
『ねぇ…ここでしちゃおっか?』
いつもの小悪魔な笑みで交渉してきた。
当然しても良いわけがなく、
『はぁ…優太、今度ね?二人きりの…!?』
軽く受け流すつもりだったが、その前に優太は飛び付いて来ていた。
『待ち切れないって…』
耳元で囁かれた。
いつもだったら嬉しいかもしれない。
でも今は仕事中で、もう20分は二人とも職場から離れている。
俺は心を鬼にして全力で抵抗した。
頭に一発パコン!
『いってぇ〜なにすんだよ康ぅ?』
一瞬の出来事に優太は驚いていた。
『もぅ〜優太!時と場所を考えてょ!こんなに聞き分けが悪いなんて…呆れた…』
俺は吐き捨てるように言うとスタスタと資料室を出て行った。
後ろから『や、やっちゃ〜ん』と情けない声が聞こえたが知らない!
俺は一人で仕事に戻った。━━━━━━━━━━━━━
黙々と仕事をしていてどれくらいたったんだろう。
もう終業時間も近付いていた。
その頃には優太へのイライラも冷めてきて、そろそろちょっと話をしよっかなぁって思い始めた。
『よし、今日一緒に帰ろうって誘ってあげよ♪』
そう思い優太のところまで近付いて行くと目を疑う光景を目の当たりにした。
『優太さ〜ん☆今日どこ行きます?』
『いいところ見つけたからそこ連れてってあげるよ』
なんと優太は女の人と仕事終わりに出かける約束をしていた。しかも女の人と密着して。
優太の近くにいるのは…夏美さん!?
俺は驚いた。夏美さんといえばどんな人でも振り向いてしまう位の綺麗な人…そんな人と約束…
聞き耳をたてながら俺は崩れるような思いになった。
━はぁ…そうだよ…優太だって男…男と女が惹かれあうのがこの世の摂理だもんな━
俺は何も言わず、優太を避けて仕事場を後にした…
気付くと俺は自分の家に着いていた。どうやって帰ってきたか、どれだけの時間できたかもわからない…それだけショックだった。
優太の気持ちを聞きたい…
優太と話したい…
でも電話を手にしたがcallボタンを押せずにいた。
俺は魂が抜けたように携帯の画面だけを見つめていると、
チャンチャララ〜ン♪
突然携帯が鳴った。相手を見てみると…
《優太》の文字…
俺は焦った。あんなに話したかったのに…あんなに気持ちが知りたかったのに…怖い…気持ちを知るのが怖い…
臆病になって出ないでいるといつの間にか電話はキレていた。
またかかって来ると思い俺は携帯の電源を切り、ベットに潜りこんだ。
その日の夜はいつも以上に長く感じた… |