第2話・幸せな毎日
「やっほぉーい!遊園地だぁ!」
タイムマシンから一番に飛び降りたのはドラリーニョ。
飛び降りてすぐに遊園地の門の前でドリブルしながらはしゃいでいる。
門の前は行列でいっぱいだ。
「ほぉ〜。大きいであ〜るなぁ・・・。」
次に降りてきたのはドラメッド3世。
大きい門と遊園地を見て、感心している様子。
しかし、次の瞬間。
ドラメッドの上に影がさした。
・・・と思ったら。
ドスン!
「ふぎゃっ!?な、何事であーるか!」
ドラメッドの真上に、王ドラ、ドラえもん、ドラニコフの3人が一気に降りてきて、乗っかってしまったのだ。
「あ・・・!すみません、ドラメッド。」
「ごめんね、ドラメッド!まさか下にいるとは思わなくって・・。」
「ガゥ・・!ワウワウ!?」(ごめん、ドラメッド。大丈夫!?」
「だ、大丈夫であ〜る・・・。でも、どいて欲しいであーる・・。」
その言葉を聞いて、まだ3人がドラメッドの上に乗っている事に気づいてあたふたと降りた。
もうドラメッドはヘロヘロ。
その傍にドラリーニョが駆け寄って来る。
「大丈夫?ドラメッド〜。」
「だ、大丈夫・・・・。でもないであーる・・。」
「本当にすみません、ドラメッド。ドラえもんが『早く、早く!』って押すものですから・・。」
そう言いながら王ドラはドラえもんを睨む。
ドラえもんは焦ったようにドラメッドと王ドラに言い訳する。
「だ、だって、早くしないと遊ぶ時間がなくなっちゃうし・・・!」
「だからって押さなくてもいいじゃありませんか?ドラメッドが押し潰されそうになってしまったでしょう!」
今日の王ドラは、やはり機嫌が少し悪いようだ。
・・・・・キッドとマタドーラの事だろうか。
「そ、そうだけど・・・。」
「『そうだけど』?何ですか?」
王ドラが得意の睨みと怖い笑顔を効かせてドラえもんに詰め寄る。
「う・・・。ご、ごめんなさい。」
ドラえもんも折れて、王ドラとドラえもんとドラニコフ、そしてもちろんドラメッドに謝った。
ドラえもんが謝ったのを満足そうに王ドラは見てから、口を開いた。
「さて・・・。じゃあ、行きましょうか。」
『やったぁーーーー♪』
そして、ドラ・ザ・キッドとエル・マタドーラを覗く5人は、一日どれでも乗り放題の切符を買った。
切符といっても腕輪みたいになっていて、それを見せるだけで乗り物などに乗れるのだ。
それぞれ切符を買うと、また行列に並んだ。
当分、かかりそうだ。
ドラメッドは、ドラリーニョが忘れたり無くしたりしないか不安でドラリーニョに言い聞かせている。
「ドラリーニョ。絶対に無くしてはいけないであーるよ?」
「うん!大丈夫!」
「これを見せるだけで良いであ〜るから。分かったであ〜るか?」
「うん!何を?」
(・・こりゃだめであーる・・・。)
ドラメッドは一つ、長い溜息をついた。
それに対して、ドラえもんとドラニコフは楽しみな気持ちでいっぱいのようだ。
「楽しみだね〜。ドラニコフ。」
「ガゥ!ガゥ〜。」(うん。楽しみだね。何があるのかな?)
するとドラえもんはキラキラと目を輝かせた。
「そりゃ、いっぱいおもしろい乗り物とかがあるんだよ〜。ドラ焼きとか売ってると良いな〜♪」
どうやら、ドラえもんの一番の目的は「ドラ焼き」らしい。
王ドラはその事に気がつき、クスリと笑った。
そして、空を眺めた。
(キッド・・・。マタドーラ・・・。ちゃんと直してるんでしょうかねぇ・・。)
「お次の方、どうぞ。」
ビクッ!
王ドラは久しぶりにビックリした。
ぼんやりしてたとはいえ、ここまでびっくりしたのは初めてだ。
ドラリーニョが笑いながら王ドラに話しかける。
「王ドラ〜。今『ビクッ』ってしたでしょ?」
王ドラは顔を赤くして慌てて否定する。
「し、してませんよっっ!さ、さぁ、行きますよっ!!」
そしてギクシャクと切符を見せ、入っていった。
その後をドラえもん達がクスクス笑いながら付いて入っていった。
* * *
「やった!!」
「おわったぜぇ・・・!あ〜。疲れた。シエスタシエスタ・・♪」
マタドーラは綺麗に元の通りにした修行場の地面に寝転がった。
キッドが慌ててマタドーラを起こす。
「おい、エル・マタドーラ。寝るなよ!王ドラ達に追いつかなきゃいけねぇんだぞ!」
「ん?あぁ・・・。そうか。」
「よいしょっ」と、マタドーラは起き上がる。
シエスタが出来なかった事で、少し機嫌が悪そうだ。
キッドが明るく言う。
「ま、元通りに出来たし行くか!マタドーラ。」
「・・・あぁ。行くか。」
「どうしたんだよ?何か機嫌悪そうだな。」
「いや、大丈夫。じゃ、行こうぜ!」
「おう!」
そして、キッドとマタドーラはタイムマシンに乗り込もうとした・・・。
だが。
「おい、キッド。タイムマシン持ってるか?」
「え。」
マタドーラはキッドの答えを待つ。
キッドはマタドーラの方を見て、恐る恐る尋ねた。
「ま、まさか・・・。お前・・・!タイムマシンを・・。」
「って事は・・・。お前も・・?」
そして、二人同時に叫んだ。
『タイムマシン持って無いのかよ!!』
予想していた言葉が相手から出ると、二人はへたへたとその場に崩れ落ちた。
「――――キッド。お前のせいだぞ。お前が、『余計な物持って行くくらいならお菓子を持っていこう!』って言ったから・・・。置いてきちまったじゃねぇか。」
キッドはマタドーラの方を見る。
「そ、そんな事言ったってよぉ・・・。だってドラえもんとか居るし、いいかなって思って・・・。こんな事になるって思ってなかったんだよ!」
「それは俺だって同じだ!!・・・・ったく。どうすんだよ。他に何か良い道具あるか?」
「良い道具なぁ・・・。」
キッドはブツブツ言いながら四次元ハットの中を良い道具は無いかと探してみた。
しかし、短気なキッドの事。中々見つからないとイライラしてきた。
「あ゛〜〜〜〜〜。畜生!そんな良い道具あるわけねぇじゃんか!マタドーラ!お前は何か持ってねぇのか?」
マタドーラは首をすくめた。
「おいおい、忘れたのか?俺の道具はほとんどレンタルなんだって。大体はドラえもんとかに借りてるよ。―――――愛用のヒラリマント以外はな。」
「くそっ。じゃあどうするんだよ・・・って、あ!!」
「え?何かあったのか?」
マタドーラはキッドの四次元ハットを覗き込む。
「取り寄せバッグだ!!これがあればタイムマシンを取り寄せられる!」
「おっしゃ!じゃあ、早く取り寄せろよ。」
「分かってるって。――――よし!タイムマシーン!」
キッドはタイムマシンを取り寄せバッグから取り出し、得意そうにしている。
「早くしろ、キッド!もうみんな遊園地についてるんじゃねぇか?」
「・・・だろうな。よぉし!行くぜマタドーラ!」
「おぅ!」
シュン!
キッドの操るタイムマシンはやはりキッドの物だけあって、すごいスピードで超空間を進みあっという間に22世期についてしまった。
キッドが得意気にマタドーラに言う。
しかしマタドーラは呆れたように答えた。
「どーだ。俺のタイムマシンは。早いだろ。」
「へーへー。早くていいですね。どーせ俺のは旧型だよ。」
「あ、わりぃ。そういうつもりじゃなかったんだ。」
「・・・もういい。行こうぜ。」
そうマタドーラは言うとスタスタと先に遊園地目指して歩いていってしまった。
慌ててキッドは後を追う。
「おい!待てよ。俺を置いて行く気か!!」
「あぁ。早く来ねぇとおいてくぜ。」
「〜〜〜〜〜っ。待てっ!」
そしてまた追いかけっこが始まり、気がつくと遊園地に着いていた。
「ハァっ。つ、着いた・・・!シエスタしてぇ〜〜〜!」
「バカ!こんなトコでシエスタすんじゃねぇ!早く入るぞ!」
キッドはマタドーラを殴ると門の中へ入って行き、切符を買い、遊園地の中へ入っていった・・・。
* * *
遊園地の中はものすごく広かった。
まるで、一つの町や国のようだ。
「ガゥガゥ!」(すごーい!広いね・・)
「広い広〜い♪わぁ〜〜〜い!!」
「さぁ、どこに行きますか?」
「う〜ん。どこに行く?」
「わ、我輩、水系はいやであーるよ・・・?」
ドラメッドは「水」という言葉だけで怯えている。
ドラリーニョがふいに、王ドラを見て尋ねた。
「でもさぁ、王ドラ。キッドとマタドーラ達はどうするの??」
「『どうするの??』って・・・。きちんと修行場を直せば来るでしょう。ただ・・・。」
王ドラの目がギラリと光る。
「たとえ来ても、きちんと直していなければ腕一本は確実に犠牲になりますよ・・・!」
その時の王ドラのオーラは凄まじく恐ろしい物だった。
この場にいた誰もがぞっとしただろう。
それ程までにあの修行場は大事だったらしい。
ドラニコフがそっと王ドラに近づいた。
「ワゥ・・・。ガゥガゥ!ガウゥ〜。」(落ち着いて?王ドラ・・。ジェットコースターはどう?ドラえもんが言ってたんだけど・・・。)
ドラニコフの後ろを見ると、ドラえもんが小さくなってコソコソしているのが分かった。
おそらく、今の恐ろしいオーラを発している王ドラには怖くて話しかけられなかったのであろう。
それで、ドラニコフに頼んだという事がすぐに王ドラには分かった。
それで王ドラがドラえもんに話しかけようとした。
が。
「おい!王ドラ〜〜〜〜!」
「ちゃんと直したぞ!!」
(この声は・・・。)
王ドラが振り返ると、予想していた人物がいた。
エル・マタドーラ。
そして。
ドラ・ザ・キッド。
その二人の姿を見ると王ドラは一瞬ほっとした表情をしたが、すぐにキッと二人を睨んだ。
「・・・・で?ちゃんと直したんですか?」
二人は顔を見合わせニッと笑い、同時に言った。
『もっちろん!!完璧だぜ!』
王ドラは口元を緩めると、キッドとマタドーラに近寄った。
「―――よく出来ました。さぁ、遊びましょうか。」
『やったぁ〜〜〜〜〜!!』
二人はガッツポーズをして飛び跳ねたり空気砲をぶっ放したり騒いでいる。
その様子を見てドラえもんがコソッとキッドに近寄ると耳元でささやいた。
「キッド。・・・あんまり空気砲撃つとまた王ドラに怒られるとおもうよ?」
その言葉を聞くと、キッドはピタッと止まり、マタドーラも聞こえたのか、二人とも大人しくなった。
その様子を見て、ドラリーニョはドラメッドに話しかけた。
「ドラメッド。」
「何であ〜るか?」
ドラリーニョは笑って言った。
「―――キッドとマタドーラ。よっぽど王ドラが怖いんだねぇ〜〜♪」
そしてドラメッドも笑い、キッド達を見て呟いた。
「・・・そうであーるな・・・。」
幸せな毎日。
この幸せが、ずっと続けばいいのに・・・・。
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