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45:未来の法律
 父は立ち上がって歩く。

「ジョゼフさん。私はどうあなたに謝ればいいか」

 母も父の横に並ぶ。

「未来から私たちを助けに来て下さったあなた方に、あんな事をしたのに。こうしてまた来て下さって、なんとお礼を申し上げればよいか」

 圭介の青い瞳の輝きは、別れた時と少しも変わっていない。

「私もあなたたちに言いたい事がありますが、それはあとにしましょう。今は逃げるのが先決です。マフィアが隠し持っていたタイムマシンを壊していくつかの武器を作ってきました。未来の法律上、問題無く武器を扱えるのは時間警察の人間である智だけなんですが。とにかく逃げましょう」

「分かりました」

 父は返事をし、母はしっかりと頷いた。

 両親と圭介は仲直りをしたようだ。知子は嬉しくなって智の顔を見る。智も笑顔で返してくれる。

「知子さん、走れる?」

 知子は智の腕から飛び降りた。

「うん。ちゃんとトイレに入って、体を軽くして、逃げる準備をしたんだよ」

「そっか。本当に賢いな、知子さんは」

 智は知子の頭を撫ぜる。

「日本に帰ったらタイムマシンを作るからね」

 圭介が知子を見下ろす。

「知子さん、あなたはどこまで気づいているのですか?」

「圭介さんが言った、過去と未来は常に影響し合っているってのだけ。だから、未来の知子さんも10歳の時に、今の私と同じ目にあったんでしょ。ちゃんと逃げて、日本に帰ったからタイムマシンを作れたんでしょ」

 圭介は感心する。

「そうです、知子さん。あなたはタイムマシンを使わなくても、未来を知る事ができるのですね」

「違うよ。圭介さんが言ったんだよ」

「私は、ここから逃げる話はしていませんよ。知子さん」

 クスリと笑ってから、圭介は外を確認する。

 智は、圭介と頷き合ってから、一番に部屋から出て通路の様子を確認する。

「僕について来て下さい」

 知子が智のあとに続こうとすると、圭介が止める。

「知子さんは私のあとについて来て下さい」

 知子は智王子と手を取り合って、可憐な姫として走りたかったが仕方なく諦めた。圭介のあとをついて行く。

「パパさんとママさんは、後ろを警戒しながらついてきて下さい」

「分かった」

「はい」

 知子たちは通路に出た。小走りで移動する。途中、ガルネオの子分が2人倒れている。圭介と智が倒したのだろう。

 知子たちは倒れている二人を避けて通り、螺旋(らせん)階段を上った。あの絵画と彫刻が並ぶ通路に出る。

 智は迷いもなく十字路を曲がって進んでいく。別荘の構造が頭に入っているようだ。

 いきなり前方にガルネオの子分が現れる。子分が懐に手を入れたのを見て、智は近くのドアを開けてその陰に隠れた。 知子たちも圭介の指示でドアが開いた部屋の中に避難する。

 銃声と共にドアが低い音を立てて鳴る。弾丸がドアに当たっているのだ。

 皮肉な事だが、ガルネオが大金をかけて豪華に作ったドアは、弾丸を止めて智たちを守ってくれているようだ。

 子分は声をあげ腕を振って、智たちがいる事を周りに知らせる。子分たちはぞくぞくと集まり、今度は金色のレーザー銃で撃ってきた。赤い光線は弾丸を止めていたドアをいとも簡単に貫通して、隠れている知子たちの目の前を通り過ぎていく。

 智はマフィアの様子をうかがいながら後退りをして部屋の中に入ってきた。

 知子は胸をハラハラさせて智の動きを見ている。こういう時、姫は戦う王子を見守る事しかできない。

 智は手を後ろに回す。

「手榴弾を2個」

 圭介は懐から手榴弾を出して智に渡す。智の手に載った手榴弾はソラマメくらいの大きさしかない。

 知子たち家族は手榴弾の小ささに目を見張る。特に戦争映画が好きな父の驚きは大きい。

 智は光線の間を見計らってドアの陰から出て手榴弾を1つ投げた。すぐに戻って身を隠す。

 投げた先で青い光りが発光し、部屋に避難している知子たちの目にも青い光りが届く。

 投げて爆発するのではなく、青く光る手榴弾。なぜだろうか?

 青い光りが収まった頃、辺りは急に静かになった。子分たちは撃ってこない。

 智は顔を出して周りを確かめる。

「OK、行ける」

 智は部屋を出て先に行く。知子たちも小走りでついて行く。

 さっきまでガルネオの子分がいてレーザー銃を撃っていたのに、今は誰もいない。一体、青い光のあとに何が起きたのだろうか。

 知子は考えながら圭介のあとをついて行く。

 十字路を曲がった直後、出会い頭に子分と遭遇する。子分は5人。

 智は間を取ることなくいきなり5人と戦い始めた。智は床を蹴って銃を向けた相手に飛びかかった。智の手足が伸びて銃を持った一人を倒す。そのあとに智に銃を向けた二人がほぼ同時に倒される。智の迅速な判断と予測行動により三人が床に倒れた。

残り二人も銃を向けて智を撃とうとするが、智は倒した相手のレーザー銃を拾って瞬時に動き、相手が智に照準を合わせているうちに一人を撃ち、残った一人が智の闘争心に恐怖し智に向けてレーザー銃を乱射するも、智は冷静に判断をしてレーザー光線を交わし最後の一人を撃ち倒した。
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