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フォーンキャッスル冷徹の姫 作者:佐久野宗希
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9話 シュネリアの心


「助かりましたウルリア」
「い、いえ……!丁度討伐の報告をしようとした所だったので」

フォーン城の王室間に、シュネリアとヘイアス、そしてウルリアが居た。

「……討伐の報告、確かに承りました。ありがとうございます」
「はい」
「次の討伐をお願いしたいのですが、よろしいですか?」
「なんなりと」

頭を下げるウルリアをシュネリアは見つめる。
どれほど剣の腕が立つのか、気になっていた。
一度手合わせをしてみたいなどと思いつつ、口を動かす。

「場所は変わらず、なのですが、次はそのリーダー格のモンスター討伐をお願いします。氷の洞窟を住処としている"ブリザードゴーレム"と、マディーナ荒野で争い続けている"ゴブリンキング""オークギガント""トロルストレングス"……この者達の討伐です」
「分かりました。それでは、氷の洞窟から行きたいと思うので……その」

口籠るウルリア。
訳はきっと氷の洞窟へ入るための許可証の事だろう。
そう思ったシュネリアはヘイアスを見る。
その視線を受け取ったヘイアスはウルリアに言う。

「ウルリア殿。氷の洞窟へ入る許可証をお渡しします。しかし、この許可証はウルリア殿だけが使用出来る物。他の方が使おうとした場合、この許可証は無効となり、その者には相応の罰を受けていただきます」
「分かりました」

討伐の報酬と共に、許可証をヘイアスから受け取ったウルリアは一礼し、この場を後にした。

「しかし……本当に助かりましたね、姫」
「ええ……全くです」

ダークエルフ軍はウルリアに本陣を奇襲された。
その指揮をとっていた将軍は容易く倒され、ダークエルフ軍は撤退を余儀なくされたのだった。
ウルリアが言うには、
『帰り道に邪魔な敵が居たが、それを倒しながら報告へ向かえばいいか』
ぐらいにしか思わなかったらしい。

「あの冒険者殿、ブリザードゴーレムもすぐに倒してきそうですな……」
「私の予想では、今日中には報告へ来るのではと思っております」
「……え?」

シュネリアの一言を聞いたヘイアスの顔は、今までにないぐらい変な顔だなとシュネリアは思った。







シュネリアの予想は当たり、ウルリアは今日中に報告へ来た。
そしてすぐにマディーナ荒野へ出発した。

「……なんという強さだ」

ヘイアスは驚いていた。

「……一度戦ってみたい」
「……は、な、なんと?」

今日はへイアスの変な顔ばかり見る日だなとシュネリアは思い、微笑んだ。

「リ、リア……今」
「……あ、え、えっと……!」

シュネリアは慌てて玉座から立ち上がった。

「こ、これは」
「……なんだ、笑えるようになったのか」
「え……?」

意外な言葉に今度はシュネリアが驚く。

「……良かった。もう、心の傷が深すぎて、その笑顔が見れないのかと……思っていたから」

ヘイアスは今、兵士長ヘイアスではなく、シュネリア……リアの幼馴染として話している……そうシュネリアは思った。

「……へ、ヘイアスは……」

シュネリアはヘイアスを見るが、すぐに俯いた。
なぜなら、ヘイアスが求めるフォーン軍の王……姫の姿はこんな姿ではないと思っていたからだ。

「……リア?」
「ヘイアスは……!れ、冷徹の姿こそが、フォーン軍の王……姫であるのが一番だって、思ってるんだよね……?」

その言葉を聞いたヘイアスは、固まった。
しかしすぐに微笑んだ。

「そんな事、言った覚えはないよ」
「……そ、そんなはずない!あの日!私の部屋で……!ヘイアスは言った!」

その事は鮮明に覚えている。
『復讐はしないよ。でも。良し悪しを見定める力は、今以上に厳しくするべきだ』
確かにこう言ったのだ。

「……あぁ。確かに言ったけど……何も冷徹になれなんて思っちゃいないさ。リアには……早く心の傷が癒えてくれればそれでいい……それを願ってばかりいた」
「……ヘイアス」

シュネリアは、長い間自分が勘違いをしていた事に気づいた。

「嬉しいよ、俺は……。少しでも癒えてくれているのなら……」

シュネリアはヘイアスの言葉を素直に聞いていた。
昔のように接していい……そう思っただけで心が軽くなっていくのを感じていた。
今すぐヘイアスに抱きつきたい……そう思いシュネリアが一歩踏み出そうとした瞬間。
慌ただしい足音が王室間に近づいてきていた。

「ほ、報告!!!」

扉の向こう側からひどく慌てた兵士の声が聞こえる。

「……何事か」

ヘイアスが警戒した声で聞き返す。

「エ、エルフ軍と、ダークエルフ軍が攻めてきました……!!」
「……なんだって」

ヘイアスは驚愕し、シュネリアもまた同じだった。
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