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フォーンキャッスル冷徹の姫 作者:佐久野宗希
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18話 槍と槍

誰もいない氷の洞窟前。
馬車には商人ギルドの代表オーキスと、フォーン軍兵士長ヘイアスが居た。

「もう傷はいいんですかい?」
「あぁ……随分良くなった」

シュネリアとウルリアが城へ潜入してすぐだった。
ヘイアスは目を覚まし、オーキスから状況の報告を受けていた。

「それにしても、上手く事が運んだか……」
「いやあ……ほんとさすがですな。さすが名軍師です」
「まだまだですよ」

他愛のない話をしながら、ヘイアスは次の手を考えていた。
とにかくオーキスを安全な場所へ移動させねばならない。
ここに居てはいつ敵が襲ってくるか分からないからだ。

「オーキスさん、ここから崖下にあるセカドフォレスへはすぐに行けるようにしていますので、そこへ避難していただきたい」
「それは構わねぇが……って、俺がいたんじゃ邪魔なだけだしな。うし、んじゃ後は任せましたぜ……。でもまぁ1つ心残りなのは、美女2人にヘイアスさんは俺が守ると言った事ですかね」

笑いながら話すオーキスを見て、ヘイアスは安堵していた。

「相変わらずオーキスさんは……」
「じゃ、あまり無理はなさらぬよう!」

オーキスは笑顔を向けると、馬車を降りる。
瞬間、何かが猛スピードで近づいてくる気配をヘイアスは感じた。
咄嗟に槍をオーキスの顔の前へ持っていく。

「へ!?」

当たり前だがオーキスは驚き、尻もちをついていた。
途端、ガキィン!と音が鳴る。

「さすがは兵士長様。いい動きです」
「……ダークエルフか」
「へ?へ?」
「申し訳ありませんが、死んでもらいますね」

腰まである長い髪のダークエルフは、そう言って微笑んだ。

「ひ、ひいい……!」

オーキスは立ち上がり、馬車の影へ隠れた。

「そこから出ないでください」
「もちろんですとも……!」

ヘイアスはオーキスの返事を聞き、馬車から飛び降りた。
ダークエルフは、槍を自分の体の後ろへ持って行き、構える。

「私はコル女王親衛隊四天王のアウリスと申します」
「フォーン軍兵士長ヘイアス」

ヘイアスは槍を両手で持ち、アウリスと名乗ったダークエルフへ刃を向ける。
先に動いたのはアウリスだった。
後ろで構えた槍をヘイアス目掛けて繰り出す。
ヘイアスは一歩下がり避け、肩目掛けて突きを放つ。
それを勢いよくしゃがんだアウリスに避けられ、次の瞬間には槍が振り上げられていた。

「くっ……!」

ヘイアスは槍で受け止める。

「いい動きです」
「それはどうも……!」

アウリスが後方へ飛び上がり、着地と同時に槍を突き出し突進してきた。
その突きは1回では留まらず、2回3回と連続したものだった。
ヘイアスは数回弾き返すが、あまりの早さの攻撃に腹と肩から血を流す。

「……強い」

このままでは徐々に攻撃を受け続けると判断し、ヘイアスは思い切り後方へ下がった。
だがアウリスは容赦なく接近し、突きを繰り出す。
ヘイアスは着地した瞬間、横一文字に槍を振るった。

「はぁああ!」
「……!」

アウリスは突きを弾かれ体勢を崩す。
それを逃すまいとヘイアスは肩目掛けて突きの突進を繰り出す。
アウリスはそのまま倒れて、ヘイアスの突きを避けた。
うつ伏せの体を仰向けにすると同時に槍を振り上げる。

「ぐ……!!」

ヘイアスは腕を斬られ、槍を落としそうになるがぐっと堪え力を入れる。
槍の矛先を地面へ向け、寝転がるアウリス目掛けて突き刺した。
転がりながら立ち上がったアウリスに避けられ、銅を狙った斬り払いをまともに受けた。

「……!!」

ヘイアスはよろけ、片膝をついた。

「まさか、ここまで押される、とは……!」

もし万全であれば、切り抜けられたと思うが、今考える事ではないとすぐに考えを切り替える。

「さて……少々手こずりましたが、終わりですね」

アウリスは槍を構え直す。
目線から見て、狙いは首……そう断定するが、今のヘイアスに防げるすべはなかった。

「それでは、さようなら」

アウリスの槍がヘイアスを襲う。

リア……ごめん……先に行く。
そんな事を心の中で呟き、目を閉じた。
途端、バキィン!という音が耳に届いた。
その音の距離はまさに目の前というほどだ。
驚き目を開けると、巨大な斧が槍を叩き落としていた。

「お前が死んだら、本当に悲しむ奴が居る事を忘れるな」

そう言いながら巨大な斧を真横に振るう。
その斧の刃がアウリスの体を斬り裂いた。
どっと鮮血が吹き出し、アウリスはその場に倒れた。

「グランさん……!?なぜ……!」
「女王が、嫁を取り戻してくれたんだ。リアの嬢ちゃんにも感謝しなきゃいけないがな」
「それは、どういう……?」
「オクルスがリアの嬢ちゃんの噂を聞いて持ち場を離れた。その隙を見て、だな。まぁオクルスも馬鹿じゃねえから残した兵士の守りは堅かったが、アイツ程じゃなかったようで……なんとか救出出来たんだ」
「なるほど……」

グランについては密かにプランシア女王へ情報を渡していた。
まさかこんなに早く動いてくれるとは思っていなかったので、結果を予想していたヘイアスも驚きを隠せずにいた。

「なんにしても、助かりました……相手は自分よりも格上だったので」

そう言ってヘイアスは槍を地面へ刺し、杖代わりにする。
もはや立っているのも辛くなってきていた。

「馬車で休んでろ。今、寝床を作ってやるから」
「こ、これはこれはグラン騎士長様……!」

馬車の影に隠れていたオーキスは、グランを見て安堵する。

「オーキス、お前も居たのか」
「助かりました……!ささ、ヘイアス様も早く馬車へ」

オーキスはグランに一礼し、ヘイアスの元へ。
倒れかかっているヘイアスを支え馬車まで誘導する。

「オーキスさん、すまない……」
「何を言うんですか!背中の傷はまだ完治していないのに私を守ってくださいました……」

オーキスが喋り終わると同時に、体が倒れるような音がした。
その方向をヘイアスは見る。
すると自分達目掛けて飛んで来る何かを目視した。
長く、先端が尖っている。

「!?」

アウリスの槍が、2人を目掛けて飛んできていた。
倒れた音はアウリスが槍を投げた際に気絶したか力尽きたかで鳴ったようだ。
2人共串刺しになると思ったヘイアスは、オーキスを突き飛ばし……。
槍は、ヘイアスの体に深々と突き刺さった。
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